平ガ岳先ノ沢遡行

山頂
平ガ岳
分類
沢登り
日程
2008年8月14日〜17日
概要
雨池橋〜中ノ岐林道〜ジョウ沢出合〜6段100m大滝〜二俣〜姫ノ池〜平ガ岳〜鷹巣口
コースタイム
8/13(水):京都22:30発
8/14(木):雨池橋7:50〜林道終点9:20〜ジョウ沢下流入渓点12:23〜ジョウ沢出合12:45〜逆くの字滝14:00〜6段25mの滝15:45〜スノーブリッジ下通過16:30〜〜大きな雪渓上17:00〜100m大滝6段下18:12〜大滝1段目上右岸ビバークポイント20:00=就寝23:00(泊)
8/15(金):BP 7:50発〜トイ状の滝10:15〜ゴルジュ泳ぐ12:20〜5mヒョングリ滝12:50〜7m堰堤状滝下流右岸テント場13:30(泊)
8/16(土):BP 8:10発〜源流部やぶこぎ開始11:50〜姫ノ池12:40〜水場横テント場13:20=テント設営〜平ガ岳14:35
8/17(日):BP5:10発〜鷹ノ巣9:10

 沢合宿は癒し系の沢のはずが・・・

夏の沢合宿は4パーティに分かれて行われた。我々初級6人組は、癒し系の沢に行こうということになった。有名な只見川・恋ノ岐川を当初計画していたが、日程的に余裕があるので、平ガ岳先ノ沢を遡行して、比較的簡単な恋ノ岐川を下降しようということになった。
 さて、天気予報は曇一時雨ということだったので、悪天の場合は先ノ沢の枝沢のジョウ沢をつめて、尾根のコルにでて、恋の岐川へ下降しようという案も考え、とりあえず出発した。

 天気は思いのほか上々

奥只見は遠い。22:30に京都を出発し、夜通し車を走らせ、取り付きの雨池橋についたのは、翌日午前7:30。7:50に中ノ岐林道を歩き始めた。途中から二岐林道にはいり、小屋のある終点には9:20着。ここからは、崩壊した林道跡を藪をかきわけかきわけ、時々ルートを見失いながらもなんとか踏み跡を探し出し、やっとのことでジョウ沢の少し下流に到着。しかし、なんのためにこんな林道を作ったのだろう。疑問に思った。
 20分ほど歩くとジョウ沢の出合だった。このときは、薄日が時折さす空模様で、悪天にはほど遠かった。そこで、ジョウ沢をつめる案は廃棄し、先ノ沢を遡行することにした。これが、予想外の困難の始まりになるとはこのときは誰も想像しなかった。    

 滝や雪渓の通過に手間取る

入渓してからは、なかなか手ごわい滝が出てきて、高巻いたり、直登したりするのにロープを出す頻度が多かった。また、雪渓も出てきて、はじめに出てきた雪渓は下を容易に通過できたが、次に出てきた雪渓は50mほど奥に滝をかけ、中は暗く、とても通過できるとは思われなかった。高巻くしかないかと思案していたら、F上さんが中に入っていき、しばらくすると雪渓の上から顔を出した。ちょうどいい穴が雪渓の左に空いていて、側壁を登って、上に出たそうだ。それでも、いやらしい登りなので、ロープを出してプルージック登攀で全員が雪渓上に出た。しかし、それからもロープを出して、右岸のズルズルの側壁を高巻きして、尾根を乗越し、谷に下りなければならなかった。
 そんなこんなで予想外に時間がかかり、大滝下に着いた時には18時を回っていた。なんとか、ガイドブックにある大滝上のビバーク適地まで行きたかったが、暗くなってくるし、雨も降り出し時間的にも無理だった。
 大滝を1段上がったところから、右岸を少し登ると傾斜地ながらなんとかビバークできるところがあった。タープ、ツェルトを張りビバーク体勢をとった。炊事もし、キムチボッカ丼を食べた。みんな不安であるはずだが、明るくにぎやかな食事であった。
 就寝したのは23時だった。
 幸いなことに、夜には雨は降らず、時折雲間から星が覗いていた。   

 谷中でもう一泊

翌朝は曇り。朝食のラーメンを食べ、ビバーク地点から懸垂で谷にもどった。
 遡行は昨日同様なかなか厳しかったが、ナメ滝を快適に登ったり、ゴルジュを泳いで突破したり、気持的にも余裕がでてきて楽しい遡行であった。
 昨日の疲れもあるので、13時過ぎ、堰堤状の滝の手前左岸の台地に、藪を切り開きビバーク地を作った。
 焚き火をして、衣類を乾かし、炊事もして楽しい夕餉をすごした。この日はH内さん特製ゴーヤカレーだった。夜半にかなり激しくタープをたたく雨が降った。   

 いよいよ稜線へ

 かなり激しい雨が降ったので、沢の増水が気になっていたが、上流域に入っているためか、それほど水量は変わらなかった。
 雨が時折降る中の遡行だったが、かなり源流部に入っても次から次に登れる滝がでてきて飽きさせることがなかった。
 やがて、それも細い流れとなり、最後には草付きに出た。上部には石楠花と笹の藪が見えていた。
 急斜面をだましだまし登り、藪に突入。池ノ岳から北に伸びる稜線に出て、さらに藪をこいで南に姫ノ池を目指した。40分ほど格闘していたら、踏み跡を発見。かなりはっきりした踏み跡で、それに導かれて楽に姫ノ池に到達することができた。
 平ガ岳に向かう途中の水場の横に板張りの恰好のテント場があったので、そこにタープ&ツェルトを張り、平ガ岳を往復。
 快適な板張りの上で夕食を楽しんでいたら、終わりかけに激しい雨が降り出し、タープ下に避難。それが、なかなか止まなかった。
  今回の山行では、どうでもいいときに雨が降り、テント撤収など降ってほしくないときには降らないという、非常にラッキーな巡り合わせであった。

 核心はヒッチハイクか

 その夜は、かなり激しく雨が降ったが、板張りの上でいたって快適だった。
 翌日は、帰京なので午前3時起き、5時出発とした。
 鷹ノ巣まで4時間で降り、そこから車のデポ地までは18kmある。歩けば4〜6時間かかるだろう。ヒッチハイクで一人が車まで行き、ふたたび迎えに来るしかない。
 さて、車は見つかるかと思っていたら、釣り人の車が来た。T村さんがさっそく交渉。荷物を少し前に移動してもらって、快く雨池橋まで送ってもらった。
 途中、銀山平の近くの白銀の湯で汗を流し、京都に向かった。山科駅には午後9時40分到着。渋滞にもあわず、スムーズに帰って来られた。

 感想

今回は、悪天候が予想される上での入渓だったが、幸いにも天候のめぐり合わせがよかったおかげで、無事に遡行することができた。私にとっては、技術的にかなり厳しい沢だったので、これで悪天候も重なっていたらエスケープもままならず、窮地に陥っていたかもしれない。ガイドの記述は、雪渓がかなり残っている時のもので、あまり参考にならなかった。
 6人という人数、そして技術レベルを考えると、なかなか内容的に厳しかったのではないだろうか。
 装備に関して一言。こういう大人数での遡行ではプルージック登攀が多くなるが、片手でプルージックを上げていく作業はむずかしいのぼりになるほど大変である。私は、タイブロックを使用していたが、これは軽い上に非常に有用なので、是非持参することをお勧めする。
 リーダーのF上さんには、終始リードをお願いしているような状況で、かなり負担をかけたのではないかと思う。グチも言わずにがんばってくれたリーダーに感謝したい。
  貴重なビバークの体験も共にし、緊張する中、楽しい笑いを振りまき合い、助け合って遡行できた仲間にも大いに感謝したい。
  今回の遡行をこれからの一助としたい。

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14日9時の天気図

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逆くの字滝

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6段25mの滝

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滝横を遡る

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はじめのスノーブリッジ

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1日目ビバーク地点の朝食

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トイ状の滝を登る

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ゴルジュを泳ぎ滝に取り付く

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源流部でも滝は続く

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ヤブこぎの途中

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姫ノ池でポーズ