赤岳・天狗尾根登攀

山頂
赤岳
分類
無雪期アルパイン
日程
2008年10月18日
概要
美の森駐車場〜出合小屋〜天狗尾根〜赤岳〜真教寺尾根〜羽衣池〜美の森駐車場
コースタイム
10/17(金):京都19:30発〜諏訪湖SA23:30(仮眠)
10/18(土):諏訪湖SA4:15−美の森駐車場5:20=5:35〜川俣林道〜出合小屋7:35〜天狗尾根取り付き8:03〜稜線8:25〜カニバサミ基部9:45〜大天狗基部10:30〜一般縦走路11:07〜赤岳頂上11:42=11:55〜牛首山13:55〜羽衣池15:02〜美の森駐車場15:27

 ひとつの目標

赤岳・天狗尾根は昨年冬に登攀する予定だったが、メンバーの都合で中止になった。今年は、是非登ってみたいと思ったので、偵察の意味も兼ねて、この時期に踏査することにした。
  岩稜歩きの経験はあまりないが、11時間歩行もいとわないK西さんが意欲的にも手を挙げてくれたので、二人で行くことになった。
  ネットやガイドブックなどで調べると、核心はやはり天狗尾根の取り付きにあるように思った。

 美の森駐車場から出合小屋まで

京都をいつもより早めの19時30分に出発して、諏訪湖SAには23時30分に到着。午前4時までゆっくり仮眠できた。夜明け前の道を、美の森駐車場を目指す。はじめての道だったが、5時20分に無事到着。観光案内所横の階段を上がり、舗装道を左に行くと、すぐにゲートがあった。その川俣林道を出合小屋まで歩く。このルートも途中で分岐がいろいろあって確認しながら進んだ。結局、一番しっかりした道をまっすぐ行くと「本谷 出合小屋 T.A.C」へという金属の看板があり、そのまま林道を進むと、谷沿いの道に入った。道は谷沿いに左岸、右岸と続いている。テープなどもあるので、適当に歩いていくと、左手に出合小屋が見えた。

 出合小屋から天狗尾根稜線まで

出合小屋ポストに登山届を入れ、上流に向かう踏み跡をたどると、すぐに道標があり、赤岳沢に入った。
  赤岳沢にはいっても、しっかりした踏み跡があるが、谷中を辿った方がいいところもあった。小滝が3つ連続するところを過ぎて、すぐのところに、赤テープがあった。右岸にルンゼが入り、その右の尾根に赤テープが上方に続いているのが見えた。たぶん、ここが取り付きだろうということで、尾根上の踏み跡をたどると、藪漕ぎもなしに、20分あまりで稜線に出た。 

 第1岩峰でヒヤリ

尾根上の踏み跡は、しっかりしたところもあれば、藪の中につっこむところもあった。倒木などもあり通過は楽々というわけではないが、沢をやっている人なら、別にどうということのない道である。ほぼ、稜線上についているので、見失ってもどこかで、また出てくる。
  地図の2280m付近のガレ記号のあるところには、9時に到着した。このあたりからは、樹林帯を抜けるのかと思ったら、しばらくは樹林帯の中を通った。カニバサミには、9時45分に到着。ヘルメットをかぶり、ハーネスをつけて出発。
  カニバサミは左から巻くとあっけなく通過できた。
  第1岩峰はフィックスロープが右上方に伸びていたので、それを利用させてもらった。なにもなしでは、かなりいやらしいトラバースだ。K西さんはプルージック、私はタイブロックをセッティングして、さて登ろうとしたときに、いきなりロープが揺れた。K西さんが足を踏み外して一段低いところまで、落ちたのだ。私もそれに引っ張られる形で、下の段まで落ちた。ロープが切れなかったからよかったものの、ひやっとした。
  トラバースを終えると、草付きの登りである。このあたりも慣れていないと怖いかもしれない。

 大天狗でロープを出す

大天狗の手前で踏み跡は、正面と右下に別れた。右下への踏み跡はしっかりしていたので、そちらに進んだ。岩壁が正面に出てきたが、よく見ると、ジグザグに登ったところに、ハーケンがあり赤い残置スリングがぶら下がっていた。その上はバンドになっているように見えた。
  K西さんには、「怖いと思ったら、いつでもロープを出すので言ってください。」と告げていたので、聞くとロープがほしいということだった。ビレーはしたことがないということだったので、8mm30mのロープの端を、木に固定して、私がロープを着け、K西さんにはロープがこんがらないように送り出してもらうことを頼んで、登りだした。ホールドは豊富にあるので、別にむずかしくはない。赤い残置スリングでランナーをとり、右に体を乗り出すようにして、バンドに上がった。そこはやや緩傾斜のバンドになっていた。右にトラバースをすると広場があったので、その上にある這い松でビレーしてK西さんを迎えた。

 小天狗から一般道まで

前に見える小天狗まで踏み跡をたどると、小天狗では左に続いていたので、ジグザグに草付きを登ると簡単に越えることができた。。
  権現岳や甲斐駒、仙丈、北岳などが見渡せ、このあたりの展望は抜群であった。
  写真を撮ったりしながら、のんびり辿ると一般道に出た。11時7分であった。一般道も梯子などがあり、鎖や梯子があることをのぞけば天狗尾根と大して変わらない。

 赤岳から真教寺尾根を下る

時間も早いし、せっかくなので赤岳に登ることにした。文三郎尾根からは、たくさんの人が登ってきていた。K西さんは、八ヶ岳自体がはじめてだったそうで、その景観に感動していた。
  記念写真を撮り、下山にかかった。帰りは真教寺尾根だ。下りはじめは急だということを聞いていたが、本当に岩稜の急な下りが長く続いた。
K西さんは、岩稜が不慣れということもあって、なかなか苦労しているようだった。
  それでも、ほぼコースタイムどおりに牛首山を越えて美の森駐車場には、15時30分ごろ到着した。10時間行動だった。
  「天女の湯」で汗を流し、ビール、チュウハイ、赤ワイン、ワンカップ、おでん、唐揚げ、焼きそば、つまみ各種を買い込み、長坂ICから高速に入り、八ヶ岳PAで車中宴会した。
  ゆっくり車中泊し、午前4時起床。京都には午前8時30分頃到着した。高速料金は夜間割引が効くし、なかなかお得だった。

 感想

天狗尾根は、岩稜に至るまでのアプローチが長く、それを楽しみにするには、その岩稜自体がすぐに終わってしまう。冬になるとアプローチも少しは楽しいのだろうか。この冬に登ろうという意欲が少し萎えた。
  K西さんは、それほど岩稜の経験がないのに、1級のバリエーションルートにチャレンジしてくれた。その意欲には敬意を表したい。

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月と朝焼け

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この小滝を越えるとすぐに取り付き

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第1岩壁とカニバサミ

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カニバサミ

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大天狗のバンドのトラバース

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雄大な景色の中で

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天狗尾根を振り返る

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真教寺尾根の牛首山をのぞむ

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赤岳頂上にて