西穂高岳単独行

山頂
西穂高岳
分類
積雪期ハイキング
日程
2008年12月20日~21日
概要
新穂高ロープウェイ西穂口駅~西穂山荘~西穂高岳往復
コースタイム
12/19(金):自宅20:10発~東海北陸自動車道:ひるがのSA(車中泊)
12/20(土):ひるがのSA5:40ー新穂高温泉駐車場7:20-ロープウェイ8:35-西穂口9:05=9:10~西穂山荘10:10(テント設営)11:10~西穂独標12:07~ピラミッドピーク12:40~ 西穂高岳13:35~ピラミッドピーク14:20~西穂独標14:35~テント場15:15(泊)
12/21(日):テント場発 07:50~ ロープウェイ西穂口8:30~新穂高温泉駐車場9:20=9:40発ー自宅14:20着

 単独で西穂高岳へ

2年前の3月、西穂高岳に二人で登ろうとしたが、そのときは大型の低気圧が接近しており、西穂山荘の人から到着したその日に、「今日中に降りないと明日はロープウェイも止まるかもしれない。」と言われ、西穂独標まで往復して下山した。ふもとの民宿で泊まり、温泉とおいしい食事を楽しんだことを思い出す。
 さて、今回は他のメンバーと日程があわず、一人で西穂高岳往復を目指した。1日目は西穂山荘まで、テント設営・偵察。2日目に西穂高岳往復し、下山の予定だった。しかし、天気は、土曜日はよいが日曜日が下り坂ということで、予定を変更して1日目に西穂高岳往復、2日目は下山のみとした。さて、問題は1日目にテント設営後、西穂高岳を往復して帰ってくる時間があるかということだ。日の入りは16時40分ごろである。帰りはヘッドランプでの行動も覚悟していた。

 予定は順調

新穂高ロープウェイは8時45分始発ということになっていたが、10分早く、8時35分に出発した。写真の会らしい35人ほどのグループに混じって、ゴンドラに乗る。他に登山者は4パーティほど。その人たちは、西穂口の展望台で雄大な穂高連峰の景色に歓声をあげ、高級カメラを向けていた。
 西穂口を予定より早く、9時10分に出発できた。道はちゃんとしたトレールがついていて歩きやすい。夏のエリアマップのコースタイムは1時間30分だが、約1時間で西穂山荘に到着した。
 小屋にテント泊の申し込みに行く。1泊300円。水はミネラルウォーターのみ200円で販売。他に1張りのテントがあった。テントの主は昨日から張っていて、本日、西穂高岳まで往復してきたそうだ。
 昨日から始まった日本山岳会の天気予報だと、稜線はかなり強い風となっていたので、吹き飛ばされないよう、入念にテントを設営した。アライのエアライズ1~2人用である。冬用の外張りは買っていないので、3シーズン仕様である。遅くなって帰ってきてからのことも考え、ビニール袋に水用の雪も集めておいた。

 いざ、出発

テント設営などに1時間かかり、出発は11時10分となった。今回は念のために8mm×30mの補助ロープとスリングやカラビナ類、ハーネス、ヘルメットも持参した。実際は使わなかったが、不安な箇所には安全のために使えるように準備した。
 出発する頃、北の空にはやや厚い雲が現れ、ちょっと不安がよぎる。トレースがしっかり付いているのでアイゼンをきしませて稜線上を歩いていく。時折強い風が雪を運んできて顔に当たり痛い。
 1時間あまりで独標に着いた。以前と同様、前穂高から奥穂高の吊尾根が雄大である。笠が岳も大きな姿で西に控えている。ここまででも景色は抜群である。多数の人は独標までの往復のみである。

 積雪期初めてのルートへ

ここから先は、積雪期には初めてである。夏には、ここからジャンダルムを越えて、奥穂高、槍、笠と縦走し、新穂高温泉に降りたことがある。 さて、積雪期にはどんな風になっているのかを楽しみに、独標から急な岩場を降りた。トレースは付いているので一応安心であるが、自分なりにルートファインディングをしながら進む。
  途中で風が強く、また雪が顔に当たって痛いので目出帽をかぶった。30分ほどで、ピラミッドピークに到着。この頃からは、北にあった雲も消え、きれいな青空が広がっていた。西穂高岳のきれいな三角錐がみごとである。

 西穂高岳頂上

上高地側に張り出している雪庇に近づき過ぎないようにルートを取った。いくつかの雪の悪場は岩を回り込んだりして慎重にこなした。だいぶ疲れてきた頃、ルンゼ状の斜面を登りきると西穂高頂上だった。独標から約1時間半かかった。
 頂上からは、西の笠が岳から双六岳、西鎌尾根から槍にかけての飛騨沢の雄大な空間が広がり、北には槍穂連峰、ジャンダルムの奥には、奥穂高、そこから右に吊尾根を経て前穂高岳・明神岳が険しく凛としてそびえている。東の遠くには八ヶ岳、その右には富士山、南アルプス、南には乗鞍岳、さらに右には中央アルプスが控え、まさに360度の大展望だった。

 趣のある下山

行動食をほおばり、ホットレモンを飲んで、5分ほどで頂上を辞した。これからのくだりも油断できない。登ってきた稜線はなかなか迫力があり、それを眺めながらの下山は楽しいものだった。慎重に悪場を下って、約40分でピラミッドピーク、そこからは独標に10人前後の人が居るのが見えた。最後の急な岩場を登りきり、15分で独標に着いた。ここまで来れば一安心である。
 後はのんびりと山荘まで下るだけだ。少し頼りなくなった太陽に向かって、きれいなシュカブラを眺めたり写真に撮ったりしながら、時折雪煙を上げる稜線をのんびり歩くのは趣があってよかった。
 結局、テント場には15時15分に到着。4時間あまりで往復できた。

 翌日は下り坂

その夜は、ウイスキーを飲みながら、エビピラフと岳食のデミグラシチューを食べたが、シチューはいまいちだった。ひとりだとあまりすることもないので、ラジオを聞きながらシュラフに入っていたが、午後6時には就寝した。
 翌朝は、5時ごろには星も出ていたが、6時半ごろはガスの中で、ご来光の写真を撮ろうと思っていたが無理だった。朝食は前夜に用意していた五目御飯と卵スープでの雑炊だったが、これは、まあまあのお味だった。
 9時発の朝一番のロープウェイで下山したかったので、7時から撤収開始、7時50分出発。途中、笠、槍などの頂上は雲に隠れて見えなかった。雲が厚く、いまにも雨が降り出しそうな天気だった。西穂口8時30分着。駐車場には、9時20分に着き、高速道路も渋滞なく、自宅には14時20分ごろに着いた。
 早いので、いつものようにフィットネスジムでランニングと腹筋・背筋・ストレッチなどをして、今夜の夕食をK寿司に取りに行った。

 感想

天気予報を信頼して予定を変更、入山日に西穂高を往復したのがよかった。好天に恵まれて、すばらしい景色を楽しむことができた。トレースがあり、条件もよかったので、標準コースタイム6時間を4時間で往復することができた。
 いつでも、天候によって予定を変更して行動できる体力を日頃からつけておくことが必要だと、いまさらながら思った。
 今回は、久しぶりの単独行となった。単独行のよさはもちろんあるが、仲間と登る山のよさも再認識した。 

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独標直下を登る登山者

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独標にて

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堂々とした笠が岳

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ピラミッドピークから西穂を望む

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登ってきた稜線を振り返る

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ひとりの西穂頂上

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槍穂連峰を望む

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吊尾根

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独標からの帰路

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1日目の夕焼け