宝剣岳縦走

山頂
宝剣岳・木曽駒ヶ岳
分類
積雪期アルパイン
日程
2009年1月17日〜18日
概要
千畳敷〜サギダル尾根〜サギダルの頭〜宝剣岳〜木曽駒ヶ岳往復〜乗越浄土〜千畳敷
コースタイム
1/16(金):京都24:10発〜名神高速:多賀SA(車中泊)
1/17(土):菅の台駐車場8:20ーロープウェイ9:50−千畳敷発10:40〜サギダル尾根登攀〜サギダルの頭13:20〜宝剣岳山頂14:45〜宝剣山荘15:00〜天狗荘(テント泊)
1/18(日):テント発 5:30〜 木曽駒ヶ岳山頂6:00〜テント場(撤収)7:20発〜千畳敷ホテル8:05〜菅の台駐車場9:50ーこぶしの湯ー明治亭ー京都14:40

 懸案の宝剣岳へ

3年前の3月に千畳敷から木曽駒ヶ岳を往復した。その時は、朝は快晴だったが、乗越浄土あたりでガスが出始め、木曽駒ヶ岳頂上はガスの中、帰りの中岳ではホワイトアウトになり、足下の雪の高低もわからない斜面をGPSを頼りに乗越浄土までもどった思い出がある。さて、今回は,ザイルパートナーに滝谷でも一緒だったS木さんを得て、宝剣岳縦走にチャレンジした。S木さんは中央アルプス自体がはじめてということだった。

 出発遅れで、バス乗り遅れ

S木さんの仕事が長引き、22時出発が24時出発となってしまった。夜に弱いヒロティとしては、早めに仮眠を取りたいところ。結局、多賀SAでの仮眠となった。5時30分までぐっすり眠り、出発。S木さんにはそのまま寝ておいてもらった。またまた眠くなったため恵那峡SAで40分ほどシュラフに入り、仮眠。ふたたび起き出して運転。駒ヶ岳SAで少し休憩して、駒ヶ岳ロープウェイの駐車場、菅の台についたのは、8時20分だった。
 始発のバスは8時12分に行ったばかり、タクシーを呼ぼうとしたが、冬期は、ロープウェイ乗り場までは行けないとのこと。しかたないので、ビーコンチェックやパッキング、身支度を整え、9時12分のバスに乗ることにした。
 9時50分発のロープウェイで千畳敷へ。天気はよく、千畳敷カールの雄大な景色をしばし、楽しんだ。てっきり先のバスで登山者がおおぜい詰めかけ、乗越浄土、または極楽平へのトレースがバッチリ付いていると期待したのだが、きれいな雪面が広がるばかり。唯一、ホテル前の社から真っ直ぐにトレースが上方に伸びていた。単独行者が登っているのが見えた。私たちもそのトレースにしたがって登ることにする。
 雪が結構深かったので、ワカンを着けて登りだしたが、新雪の下にアイスバーンがあり、ワカンではすべって登れないので、アイゼンを付け直した。そんなこんなで時間をくった。

 期せずしてヴァリエーションルートへ

やがて、単独行者に追いついたが、その人は12時をリミットに降りる予定だったらしく、これから降りるとおっしゃっていた。私たちは、それからいやらしい雪の斜面を登ったりしたが、岩が出てきたので、ザイルをだして、スタカット登攀に切り替えた。灌木がビレー点として使えたので、S木さんリードで登ることになった。上の岩を見上げると、リスに残置ハーケンが見えたので、これはなんらかのヴァリエーションルートなのかなあと言いながら1ピッチすこしいやらしい岩を登った。3級程度か。ビレー解除のコールの後、私が登り、S木さんのビレー点に到着、そのまま急な雪稜を登り、30mいっぱいで終了点の緩傾斜帯に着いた。この頃からガスが出始め、宝剣岳もガスに隠れるくらいだった。

 宝剣岳頂上はガスの中

稜線に上がってから10分ほどで、三ノ沢岳への分岐に到着した。ガスの合間に見え隠れする宝剣岳は、まだまだ遠いような気がした。稜線に上がってからは、コンティニュアスで行動していたが、途中5mほどのいやらしいリッジがあったので、スタカットにしてもらった。
 宝剣岳への南側からの登りは、聞いていたとおり、大きな岩が累々としていて、鎖がないと厳しい気がした。
 宝剣岳頂上は、小さな木の立て札らしいものがあるだけだったが、一応記念撮影した。ガスで展望はなく、風も強かったので早々に下りにかかった。宝剣山荘への下りは、ちょっといやらしい雪壁のトラバースがあるが、気が付いたら山荘が目の前に見えた。

 夜明け前の木曽駒ヶ岳山頂

宝剣山荘が冬期小屋として開放されていることを期待していたのだが、回りをぐるっと回っても入り口らしいものが見あたらず、仕方がないので、強い西風を防げるような場所を探して歩いていたら、天狗荘の東側に、適当な場所があったので、テントを張ることにした。
 夜半から風が強くなり、テントをはためかせたが、天気はよく、駒ヶ根市の夜景や星がよく見えた。
 S木さんは、日曜日は早く帰りたいが、木曽駒ヶ岳にも登りたいということで、朝早く出発することにして、午後7時ごろには就寝した。
 翌日は4時起床、5時半には出発できた。月明かりがあるので、ヘッドランプもあれば十分歩けた。中岳を越え、頂上山荘に向けてくだり、木曽駒ヶ岳山頂には6時に着いた。東の空が赤みを帯びてくる頃で、北東には八ヶ岳、東の南アルプスの向こうには富士山も望むことができた。
 テント場にもどり、撤収。7時20分には出発できた。

 始発のロープウェイに間に合う。

浄土乗越から千畳敷カールを下った。前日に2人パーティが登っていたが、そのパーティは雪崩の危険を避けるため、和合山への尾根を登ったらしい。
 私たちは、早朝で気温が低いこと、雪質が安定していることなどから、乗越浄土からそのまま千畳敷ホテルに下った。ふかふかの雪を踏みながらの快適な下りだった。ホテルには8時5分に到着。登山指導員らしき人から聞いたら、私たちが登った尾根はサギダル尾根というらしく、もっとも雪崩の危険の少ない尾根らしい。下から見えていたらしいが、装備もちゃんとしているので、心配していなかったとのことだった。(後でネットで調べたら、たくさん記録が出てきた。私たちは、そんなことも知らずに登ってしまったわけだ。)
 始発9時のロープウェイに乗って下山。こぶしの湯に入り、有名な「明治亭」のソースカツ丼も食べて、S木さんの期待通り、早い時間に京都に着くことができた。

 感想

一度、厳冬期の宝剣岳を縦走してみたいと思っていたが、今回S木さんという頼りになるパートナーを得て、成功できたことはうれしい。加えて、意図せずサギダル尾根というヴァリエーションルートの登攀も楽しめて望外の喜びだ。
 天気予報が良かったにもかかわらず、この週末に木曽駒ヶ岳に登ろうとしたパーティは3パーティ(うち一人は日帰り)のみで、静かな山を楽しめた。

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朝の宝剣岳

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サギダル尾根の登攀

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サギダル尾根の登攀(ビレー点にて)

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サギダル尾根ルート

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宝剣岳への登り

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宝剣岳頂上

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乗越浄土からの下り