阿弥陀岳・北稜

山頂
阿弥陀岳
分類
積雪期アルパイン
日程
2009年2月28日
概要
美濃戸〜行者小屋〜阿弥陀北稜〜阿弥陀岳〜中岳沢〜行者小屋
コースタイム
2/27(金):京都23:00発〜中央高速道・諏訪湖SA(車中泊)
2/28(土):諏訪湖SA7:00〜美濃戸口〜美濃戸8:45〜行者小屋11:30=11:55〜第1の岩場取付13:55=14:10〜阿弥陀岳頂上15:30=15:40〜行者小屋17:30(泊)

 八ヶ岳集中山行

今年も会で八ヶ岳集中山行が実施された。昨年はどうしても抜けられない仕事があり参加できなかったが、今年は日程がちょうど合い、是非にと参加した。
 登攀組3名とピークハント組6名に分かれての山行だ。登攀組は、赤岳主稜と阿弥陀岳北稜、ピークハント組は赤岳&阿弥陀岳となった。私は、八ヶ岳主稜を希望。アルパインルートを自分たちの力で登るという念願がかなうこととなった。
 ベースは行者小屋手前の樹林帯の中に置いた。

 核心は林道か

さて、当日は諏訪湖SAで車中&テント泊し、午前7時出発。美濃戸口でチェーンをつけ、美濃戸口駐車組のザックを積んで、美濃戸まで車で向かった。路面は一部凍結していたが、チェーン&スタッドレスタイヤ&4駆の威力で無事通行できた。それよりも問題は、轍(わだち)で車の底を何回か擦ってしまったことだった。美濃戸の駐車場は1日1000円。下の美濃戸口は1日500円。2倍の値段であるが林道を歩くよりは、快適だった。

 阿弥陀岳・北稜へ

八ヶ岳西面が見えると行者小屋は近い。登山道から見る大同心、小同心は真っ黒だった。今年は雪が少ないのだろうか。行者小屋には11時30分に到着した。登攀に使わないものをデポして、11時55分に出発した。今日は、阿弥陀北稜に挑戦だ。メンバー3人のうち、H井さんは一度登られたことがあるそうだ。
 中岳沢の手前の沢にトレースがあったので、そちらに向かうことにした。上から大学生らしい数名のパーティが降りてきたので様子を聞くと、今日は北稜の偵察のみということだった。
 トレースに従い沢を詰めていくと、やがてダケカンバの疎林になった。トレースは先で左の尾根に登るものと右の尾根から降りてきているものに分かれた。右のトレースに従い登り、尾根に登り着くと前方にジャンクションピーク、その奥に岩峰が見えた。ジャンクションピークには、南側の尾根からもトレースが上がってきていた。直下は急斜面になっていて、雪が不安定なときは怖そうだった。ジャンクションピークから少しのところでトレースは途切れていた。
 先の大学生のパーティは、南側の尾根から登ってきてジャンクションピークに到達した後、少し登ったところで引き返し、帰りは南側尾根よりは傾斜のゆるい北側の尾根を下ったものと推察された。
 我々は、トレース終点から岩峰基部に向けてトラバース気味に登ったが、そのまま尾根上を登ることもできたようだ。下から見ると岩峰基部へは下降が必要なように見えたのでトラバースしたのだが、その必要はなかった。
 取り付きは岩峰のやや左側にあった。ハーケン2つがありそれを確保支点とした。ペツルのハンガーボルトの軸だけが残されていた。14時に登攀開始。

 やはり勝手がちがう

リードはS木さんだ。見た目には簡単な3級くらいだったが、初めは不慣れな手袋とアイゼンでの登攀にちょっととまどいながら登って行った。次は私の番だったが、まだアイゼン登高になれていないせいか、やたらと手に力が入っていることが自分でもわかった。足で登るように心がけ、S木さんの待つビレー点まで登った。ちょうどよい大きさのピナクルでビレイしていた。八ヶ岳の雄大な景色を背景に気持ちよく登ることができた。H井さんも私に続いて登ってこられた。
 2ピッチ目もS木さんリード。ちょっと時間があってコールが聞こえた。今度はH井さんが先に登り出す。岩峰を越えるころに私も登りだした。登りだしてすぐペツルが二つあり、ここが本当のビレイ点のようだった。ピッケルの処理も、まず上方にピックを刺してから体を持ち上げるようにするとスムーズにいくことがわかった。この頃からガスが出始め、赤岳も見えなくなってきた。岩峰を登ってみるとよく写真でみるナイフリッジがあった。リードで登ると怖そうだなあと思いながら慎重に通過した。S木さんは、這松から掘り出した枝とピッケルをビレー支点にしていた。なるほど時間が少しかかったはずだ。
 そこから先はロープ不要なので、ザックにしまって阿弥陀岳の頂上に向かった。

 下山が核心

頂上には15時30分に到着。 誰もいない。小休憩、記念撮影の後、下山にかかった。これからがちょっとした危機だった。ガスでまわりは何も見えない。視界やトレースがあれば、中岳とのコルまで降り、後は中岳沢を下ればよい。これまでの雪の状態をみると雪崩の危険はなさそうだ。普通だと1時間程度見ておけばよいのだ。ところがトレースなし、視界なしなので、方角を頼りに下るしかない。ときどき尾根らしいものが南東方向に見えるのだが、岩尾根で険しく、とても一般ルートのようには見えなかった。方角を頼りに初めは、やや北東方向に降り、後は東方向に降りたのだが、だんだん傾斜が強くなり、とても降りられなくなった。そこで、少し登って右手の尾根(東南東にのびる尾根で実はこれが正解だった。)にルートを探しにいったS木さんが道らしいというので、私も見に行ったがそれを南稜と勘違いして、もう一度頂上までもどって確認するなど手間取った。ガスは一向に晴れず、時間も16時30分を過ぎ、あたりは薄暗くなってきた。H井さんは体調がすぐれないようで、ビバークすることを提案してきた。まだビバークを決め込むのは早いということで、今度はしっかりコンパスで方角を合わせ、先ほどいったん下った尾根を方角を確認しながら下ることにした。やがて、夏道の尾根だということがはっきりしてきて自信をもって下った。急な雪壁を後ろ向きになって降りるところなどもあったが、20分ほどでコルに到着。中岳沢を快適に下ってベースに到着したのは17時30分。我々のテントも他のパーティが立ててくれていて、お茶などを振舞っていただきありがたかった。
 夕食を食べ、宴会もほどほどにして就寝したのは21時前だった。
 八ヶ岳は何度も来ているので、普段持ってくるGPSも用意はしていたものの持ってこなかったこと、阿弥陀岳からの下りをシミュレーションしていなかったことなど、反省点の多い山行だった。

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行ってきま〜す!

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ジャンクションピークへ

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第1の岩場

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ナイフリッジ

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阿弥陀岳頂上へ

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真っ白な阿弥陀岳頂上