赤岳・主稜

山頂
赤岳
分類
積雪期アルパイン
日程
2009年3月1日
概要
行者小屋〜文三郎尾根〜赤岳主稜取付き〜赤岳山頂〜文三郎尾根〜行者小屋
コースタイム
3/1(日)行者小屋5:00〜赤岳主稜取付6:20〜赤岳主稜〜赤岳頂上12:30〜文三郎尾根〜行者小屋13:30

 八ヶ岳集中山行2日目〜いよいよ赤岳主稜へ〜

翌日、午前3時30分起床。H井さんは体調がすぐれないということでテントキーパーをしていただいた。餅&ウィンナー入りラーメンを食べ、5時出発。ヘッドランプを点けて、赤岳主稜の取り付き点に向かって文三郎尾根を黙々と登る。昨日の疲れがまだ残っているようで足が重い。我々が一番乗りのようだ。
 取り付きへのトラバース地点には6時20分に到着。この頃にはまわりは充分明るくなっていた。トラバースの雪面も安定していて雪崩の心配はない。

 チムニーの登り

何度も見ているチムニーに向かう。取り付きで、雪の斜面を削り平らにしてロープの準備。二人なのでツルベで登ることにした。まずは、S木さんリードでチムニーのチョックストンを乗越すが、なかなか苦労していた。しばらくしてコールがあり、私の登る番になった。見た目は左手の壁にもホールドがたくさんあり、簡単そうなのだが、傾斜があるため、バランスを保つのが難しい。チョックストンの上には雪が詰まって凍っていて手のホールドにできない。チョックストン左手にかかっていたスリングをつかんで、足を上げ、ピッケルを上方に打ち込みホールドとしてなんとか乗り越えた。息が上がってしまった。雪の壁を少し登って右に回りこみ、S木さんの待つビレー点に到着。ルベルソの受け渡しでリードフォローを入れ替え、私が登りだした。
 2ピッチ目、岩稜の登りだしでちょっと落ちかけあせったが、その後は順調にロープを伸ばしビレー点に到着。
 3ピッチ目、S木さんが岩雪ミックスの斜面を登り、ハーケン2枚を支点にしていた。  4ピッチ目、私が岩雪ミックスの斜面からルンゼの雪面を登った。雪がところどころ氷になっていた。慎重に、ピッケルのピックを刺し、アイゼンの前爪を蹴りこみ、ロープを伸ばした。雪面から出ていた這松の枝を掘り起こして、支点を作った。

 上部岩壁

 5ピッチ目、ルートはルンゼの雪面を登りきった上部岩壁の右すそに向かうように見えたが、S木さんは岩壁正面に見えるハーケンと残置スリングのある壁に向かった。斜めジェードル状の岩をなんとか登れそうだと、しばらくトライしたがなかなか難しそうだった。私は、ルンゼを登りきったところにルートを変更するように勧めたが、そのジェードルをA0でも登りたいということで、もう一度トライした。2本の残置スリングとピッケルを使い、なんとか上部に抜けた。そこから右手に少しクライムダウンし、さらに右に向かって移動し支点をとった。いよいよ私が登る番だ。近づいてみると、右手の斜面になんとかフットホールドがあるが、左手はなめらかな岩でアイゼンが効きそうなホールドがなかった。2本の残置スリングをつかんで体を立て、アイゼンを岩に押し当て、右手のピッケルを上方の岩にひっかけ強引に体を引き上げた。息が上がり、かなりショッパイ登りだった。途中、アイゼンが片方だけ落ちていたのが不気味だった。ビレイ点はハーケン2枚だった。
 6ピッチ目、S木さんのビレー点から少しクライムダウン、バンドを右手にトラバースして岩稜のバンドを回り込んだ。ここから下を見ると登りやすそうな感じだったので、どうやらここが正規ルートらしい。ここから凹角状の岩場を直上しようとしたが、ロープが重い。ぐるっと岩稜を回っているので当然である。体を持ち上げても引き戻されるくらいなので、あきらめてピッチを切ることにした。残置ハーケン2枚があったので支点としてS木さんを迎えた。
 7ピッチ目は、S木さんがさきほどの凹角状の岩の続きを登り、さらに右に岩と雪のやさしいミックスを登ってロープを伸ばした。
 8ピッチ目は、私が雪の詰まった岩の溝状のところを、小さなピナクルで支点をとりながら直上した。後少しで、雪稜にでる感じだったが、その先では支点がとれそうもなかったので、少し手前の岩角の出っ張りで支点をとりS木さんを迎えた。
 9ピッチ目は、S木さんが雪面を5,6m登り、雪のテラスに着いた。そこから先はロープ不要ということで、ビレーを解除し、ロープアップした。登攀終了は11時45分。テラスからの眺めは雄大で、ガスに見え隠れしながらも硫黄岳から横岳の稜線、さらに正面に阿弥陀岳がで〜んと控えていた。私たちの後続のパーティは登ってくる様子がなかった。しばらく行動食をとりながら休憩した後、雪の斜面を稜線まで歩くとすぐ頂上山荘の前に出た。南峰の標識のところまで行って、記念撮影をした。他のパーティが南稜リッジからちょうど登ってきたところだったので、一緒に写真に入った。雲海からそびえたつ富士山がきれいだった。

 核心は林道

帰りは文三郎尾根を下った。途中、赤岳主稜の5ピッチ目を私たちと同じA0ルートで登るパーティがあったので、どのように登るのかしばらく見学していたが、一向に登りきる気配がないのでその場を後にした。
 ベースには13時30分に到着。ピークハント組と、個人山行で阿弥陀北西稜に来ていたI野さんT口さんらのパーティはすでに帰幕していた。紅茶のふるまいを受け、記念撮影をした。
 美濃戸までの道は、まだところどころ氷結していてアイゼンで歩いた。帰りの林道では、何回も車の底を擦り、ひやひやものだった。「樅の湯」で入浴し、「山の幸」で豪華な夕食をとり帰京した。京都駅に着いたのは最終ぎりぎりの23時30分だった。

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取り付きのチムニーへ

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ミックスの登り

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雪稜のビレー

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雪のルンゼ(上部岩壁下部)

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雪の稜線へ

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振り返ると阿弥陀岳

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赤岳頂上で記念撮影

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ベースで振り返る赤岳