爺ヶ岳・東尾根

山頂
爺ヶ岳
分類
積雪期ハイキング
日程
2010年4月17日〜18日
概要
鹿島山荘〜爺ヶ岳東尾根〜P3(泊)〜爺ヶ岳山頂〜赤岩尾根〜大谷原〜鹿島山荘
コースタイム
4/17(土)鹿島山荘10:15〜1240mピーク11:10〜1476m地点12:10〜1765mピーク13:00〜P3テント場14:00
4/18(日)テント場5:15〜2190m地点6:00〜主稜線6:55〜爺ヶ岳山頂8:12〜赤岩尾根分岐9:34〜2278m地点10:35〜高千穂平11:25〜西沢出合13:50〜大谷原15:00〜鹿島山荘15:45

 雪模様

雨が激しく降る中、待ち合わせ場所の山科駅に車を走らせた。H内さんを乗せ、22時50分出発。高速道路情報では、雪でチェーン規制というニュースが流れていた。恵那峡までは大丈夫そうだ。恵那峡手前のPAで仮眠。
 少し寝坊して6時30分に出発。8時に松川道の駅で東京からのW坂さんと待ち合わせの約束。ところが、W坂さんから8時に電話がきた。もう鹿島にいるという。そのまま待っておいてもらう。
 私たちが鹿島山荘前についたのは9時30分。4,5人のパーティ(以後Mパーティと称す)がすでに出発準備をしていた。 私たちも急いで用意する。ヘルメット、ワカンは車に残置することにした。  

 新雪の尾根を登る

鹿島山荘に登山届を提出し、10時15分に出発。オババの碑の横には、爺ヶ岳冬山探索路という道標が立っていた。赤布とMパーティのトレースに導かれて、歩を進める。地形図を見て、向かって左の尾根からとりつくのかと思っていたら、沢筋に入り、ひとつ北の尾根から登るように登山道が続いていた。前日の雪が20cmほど積もった滑りやすい急坂を慎重に登る。汗が噴き出てくる。やはり冬山とは気温が違う。木の枝からは、雪解けのしずくがしきりに落ちてくるが、あまりの暑さにヤッケを脱いで登ることにした。
 1時間強で尾根上に出て、爺ヶ岳が顔を出した。曇っていた空も青空に変わってきた。気持ちのよい雪稜をMパーティと前後しながら登った。稜線上は風が強かった。  

 テント設営は入念に

やがて、P3と思われるピークあたりでテント場を探した。P3の少し先、樹木が数本生えたドーム状のふくらみのちょうど真ん中が窪地になっていたので、そこにテントを設営することにした。
 スノーソーとスコップ2本で3段に掘り下げ、ブロックをL字型に積んだ。1時間半をかけてテントを張り終わった。入念に設営したおかげで風の音は激しかったが、テントがばたつくことはなく、快適だった。Mパーティは、私たちより下の斜面にそれほどブロックを積むこともなく、テントを張っていたが、かなりの風に悩まされたのではないだろうか。
 夕食は、なんと近江牛のすき焼きだ。H内さんが重い食料を運び上げてくれたのだ。5人前くらいありそうな量を3人で平らげた。デザートにパウンドケーキまで持ってきてくれたのだが、さすがにそれは朝にいただくことにした。
 夜中には風もやみ、大町の夜景がきれいだった。  

 快晴の中を頂上へ

朝方、再び風が強くなった。3時起床。朝食はいつもの餅入り棒ラーメン。それとパウンドケーキにカフェオレとなかなか豪華。
 天気は雲一つない快晴。日の出とともに、鹿島槍、爺ヶ岳の頂上が輝きだした。もっとも山がきれいな瞬間だ。写真をとったりしていて、出発はゆっくりになってしまった。
 Mパーティが横を通り過ぎる。日帰り往復らしい。挨拶を交わし、私たちが赤岩尾根を回って降りると聞いて、驚いておられた。
 途中のナイフリッジでMパーティは、初心者がいるのでロープを出すということだったので、先に行かせてもらった。いつのまにか核心部をすぎ、最後の主稜線にあがる雪壁は、20cmほど積もった新雪の下に凍った雪面があり、アイゼンが効きにくかったので、しっかり蹴り込んで慎重に登った。
 主稜線に上がると、立派な道標が立っていた。爺ヶ岳まではゆるやかな斜面が続いていた。途中で30cmほど沈むようになったので、若いW坂さんに先頭を替わってもらい、ひたすら一歩一歩登った。頂上に着くと、いきなり剱岳方面からの強風にさらされた。ヤッケ、帽子もかぶらずに登ってきたので、そのままでは10分ほどで凍傷にやられそうなくらい冷たい強風だった。写真だけをとって、再び一段下にもどり、ヤッケと帽子をかぶって休憩した。
 そのうちMパーティも頂上に着いた。  

 赤岩尾根へ

我々は、縦走路に向かう。左からの強風なので、フードをしっかり閉め、顔を右に向けながら歩いた。
 トレースはなかった。風で雪が飛ばされて、夏道がところどころ出ていた。東側には、巨大な雪庇が張り出していた。赤岩尾根取り付きまでは、すぐだと思っていたので、気分的に長く感じた。
 赤岩尾根のトラバースルートの入り口にある道標のあたりは雪庇が出ていて、斜面に入れなかったので、それより上部の雪庇のないところを一旦下り、その先からトラバースすることにした。サイドステップでいけるところまで行き、途中からは、壁を向いて横向きにトラバースした。高度感があるので、初心者がいればロープを出したかもしれない。  

 西沢の誘惑をはねのけて

赤岩尾根はリッジ状のいくつかのピークが続いていて、いかにも苦労させられそうだった。
 それにくらべて西沢はスムースな斜面を下方に広げていた。3年前に、鹿島槍・東尾根を登ったときは西沢を下降した。出合まで1時間半くらいで下ったことを覚えている。雪は安定しているようだし、西沢を下降しようかなという誘惑は強かったが、万一のことを考え、安全を優先して赤岩尾根を下降することにした。
 赤岩尾根は、予想通り嫌らしかった。雪の状態は最悪で、表面をシャーベット状の雪が覆い、その下には凍った雪面があった。2,3歩ごとにピッケルでアイゼンについたダンゴ雪を落としながら歩いた。
 また、ところどころに隠れシュルンドがあり、いきなり肩まで雪穴にはまったこともあった。幸いにもけがはなかったが、非常に神経を使う下降だった。
 雪の状態が悪いので、すこし急な斜面はほとんどバックステップで降りた。高千穂平で一旦アイゼンをはずし、しばらくは快適に下ったが、樹林帯にはいると表面は粉雪で一見簡単そうに見えるのだが、その下はカチカチに凍った雪で、急坂も多く、ふたたびアイゼンをつける羽目になった。樹林帯の中の道は完全に氷になっているところもあり、上部よりも悪かった。
 慎重に降りたため時間はかかったが、なんとか尾根の末端までたどり着いたときにはホッとした。
 河原にはなぜかテントが2張りあった。山スキーのパーティだろうか。そこから林道沿いに大谷原まで歩き、さらに鹿島に向けて車道を歩いた。Y本さんのようにはうまくヒッチハイクすることはできなかった。
  

 感想

今回は、爺ヶ岳・東尾根がメインディッシュだったが、赤岩尾根というサブメニューのほうが、ボリュームはあった。東尾根は爺ヶ岳への登路としてとくに難しいところもなく快適なので、初心者の春山入門にうってつけではないだろうか。  

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鹿島山荘(登山口)

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オババの碑

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顔をみせた

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稜線

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入念にテント設営

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モルゲンロートの鹿島槍

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爺ヶ岳

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日の出

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朝の登り

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主稜線に出る

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爺ヶ岳頂上

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剱岳の雄姿

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縦走路を行く

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赤岩の頭のトラバース

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赤岩尾根を下る

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凍った急坂をバックステップで

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駐車場横で福寿草を見つけた