61.「天使は瞳を閉じて」

主なキャスト:佐藤アツヒロ・天野ひろゆき・純名りさ・辺見えみり・大高洋夫
作・演出:鴻上尚史 舞台監督:飯田貴幸
公演記録:2003.12.5〜10@近鉄劇場(大阪)
あらすじ>>いろんなことがあって、もうほとんど人類が残ってないみたいな地球に、天使がふたりというか二天使。二天使の受け持ち区域には、一人の人間も生き残ってなくて、タヌキや亀を見守るしかなくてなんかもどかしい。そんな時、天使2は、不思議な街を発見する。街は、透明な壁というか膜に囲まれていて、この透明な壁が、放射能や宇宙線から街の人達を守っているのだ。けれど、街の人達は、そんなことも知らず勝手に元気に暮らしながら、街の外へ飛び出そうとしている。天使が街を訪ねると、街では結婚式の真っ只中だった。人々のあまりの幸せそうな顔に感動して、天使2は、突然、人間になると宣言する……。

「天使は瞳を閉じて」と言えば第三舞台の有名なお芝居ですがー。でもそれが初演だった頃ってあたくし、中学生だったりしたんですねい。(恥)なもんでいちお知ってはいたけどまだそんなにお芝居ってのに興味もほとんどなく思えばもったいないことしてたもんだなー、と。で今回ミュージカルで甦った(言い方悪いな。苦笑)と言うか書き直されたって言うか。うーん、やっぱりミュージカルはどうもなんだかこっぱずかしいことには変わりないし(おい)なんだかなー?と思わないでもないんですが。これを逃したらずっと逃したまんまだよなってわけで。天使役が天野(ひろゆき)くんだってのにもちょっと違和感なくはなかったんですが。観てるうちに「えー?いいじゃんいいじゃーんっ!」って感じでしたからこれも鴻上(尚史)マジックってやつでしょうか?(え?)天使は人間には見えなくているかどうかすらも分かんない存在なわけだけど。でも守護霊とかそんな感じかなー?とか。「そんなことやっちゃダメだよー」なんて口出しはしないし悪い状況に陥っててもそれを黙って見てるだけで止める力なんてなかったりして。でもそれが神様だったらもっとたちが悪いなーって気がするけど天使だからちょっと許せる気がするっていうか。ま、神様だって結局のところ信じるか信じないかに結論つけられるわけだけど。あたしの好きな小説の中で神様の話が書かれてて。それこそ世界中のあらゆる状況を見るためのモニターテレビの前に座ってるだけの神様だったりするんだけど。戦争でどんどん人が殺されてても何もしないし怒ったりもしない。一体神様は何をやってるんだっ?!っていうお話で。でそのオチに「神様はテレビの前で居眠りをしていた」っていうとっても素敵な(?)結末が書かれてるのね。神様は大きい子供だって言ってる人もいるぐらいだし神様は長い長い冬眠を繰り返してるわけだと思うとなんか可愛らしい気持ちになったりなんかして。(笑)天使だって子供の格好はしてるけど絵とかに描かれてる顔なんかは「おっさんか?」って思わせるぐらい老けてたりするよね。(苦笑)それと同じなんじゃないかなー、と。天使は瞳を閉じてなんて言うけれどホントのところ天使には目を閉じることなんて出来ないんじゃないかって。見たくない聞きたくないことにも全開で目を閉じることなんて出来ないって。そもそもまぶたの閉じる機能ってのがない感じだったらどうだろう?って。そう思ったら天使って可哀想でしょう?人間は愚かだ。何度同じ過ちを繰り返しても学習することがない。それは忘れるっていう機能がついてるからだ。便利だけど不便な機能。それがないと生きてはいけないしそれがないから恐ろしいほど人は死ぬ。「人間になりたいっ!」って堕ちていった天使は満足したかしら?人間に近づいて人魚姫は声を失ったように天使はその羽根を失った。それでよかった?楽しかった?街はちっとも幸せなんかじゃないのに。受け持ち区域に明日にでも戻ろうと思うと言いながらいつまでたってもその場所を立ち去れない心の優しすぎる天使。天使は所詮人間にはなれないしそれでも人間であろうとした元天使は疑心暗鬼になった人間に撃ち殺されることになる。やっぱり人間は愚かだ。守られてるはずの透明な壁の向こうに無理矢理行こうとしたんだから。でも人間はみんなそうだよね。生まれてくる時みんなお母さんのお腹の中から出て来るんだから。ずーっとお腹の中にはいられないから当たり前っちゃ当たり前なんだけどさ。でも何が待ってるか分からない透明な壁の向こうへ出て来たわけだ。そうやってお母さんから切り離されてどんどん人間は免疫力を弱めていく。生まれて来た時が一番ピークらしいよー。(よくは知らないんで突っ込みはなしで。苦笑)守られてたことも忘れてね。(笑)もっと広い世界へもっと自由な場所へと望みながら後は朽ち果てていく最後へとひた走っていく。壁の向こうに行って人間は幸せだったか?その疑問は天使が堕ちて幸せになれたか?って質問と同義だね。(苦笑)でもだから最後の「History」ががつんっ!とパンチ効いてくるんだよねー。泣けるわー。なんか普通にじーんときちゃったよ。めずらしく。(おい)あぁでもやっぱり普通のお芝居で観たかったー。(おい)

で今回チケット取りに失敗かまして。(苦笑)オークション狙いでちょびびっとだけ高めでげっと。楽日にF列31番ってのはかなりいい感じー。天野くんの歌はやっぱり無駄に上手いな。(だから)ブラック・ビスケッツの時も思ってたんだけどビビアンは日本語がたどたどしいし南原(清隆)さんはちょっと…(黙)だし。(おい)その中でかなり上手かったもんねー。どんな人が歌ってるのか見ないで聞いてた時の槇原(敬之)さんぐらい上手い。(失礼)純名(りさ)さんはさすが宝塚出身だしフライングも決まってるし歌姫ーって感じがするよね。間違いなく乙女役トップって感じで。(佐藤)アツヒロくんもロックスター(崩れだけど。おい)っぷりがかっちょいいしー。だんだん舞台の上がきまって来た感じするもん。元々を勝村(政信)さんがやってたってのも意外な気が。ちょっと想像出来ないなー。アツヒロくんを観てたらってことだけど。(辺見)えみりちゃんとのラヴラヴっぷりも楽しいー。(笑)電通太郎@橋本(さとし)さんとトシオ@京(晋佑)さんの2人の嫌らしい感じも好きー。(え?)嫌な奴なんだけど「もう嫌ーっ!」って感じではないよね。狭い世界の中でだから仕方ない悪役って感じで。(え?)でも一番びっくりしたのは始まって30分ぐらいで舞台の真ん前ど真ん中辺りの席のお客さんが急に苦しみ始めたことだね。こうぴたっ!と静かになった瞬間に「うーっ!!!」って言い始めはったから初め何が起こったか分かんなくてあたしなんか「新しい演出か?」って思ったぐらいさ。(そんなわけない)このままおろおろして舞台が中断したり中止になったりしたらどうしようー?(さもしい)と思ってたんですが。かなり普通に舞台が進んで行ってくれてよかったです。(ほっ)インタミバンド(笑)も「先ほどのお客さんは大丈夫」ってご報告があったぐらいだからよかったわー。そうそう。インタミバンドー。楽日ってことでアツヒロくんまで飛び入り?参加っすよ。豪華ー。「気楽に観てください」って言われたけど気楽になんてしてられませんてば。(焦)今回席が近すぎて(あたし的に。笑)もうまじまじと舞台が観れなくて困ったー。そんなお目当ての人がいたわけでもなんでもないのに目が泳いじゃうの。(苦笑)アキラ(根田淳弘さんの役どころ)なんかもう毎回壁を壊す時に目の前でどきどきしちゃうしー。(思い上がり。笑)絶対惚れられてるよ。(だから)そしてそして楽日カーテンコールはとっても豪華でしたことよ。鴻上さん&音楽監督の森雪乃丞さんまで登場だしー。しかも鴻上さんの挨拶ってば「近鉄劇場、小劇場を閉鎖することに決めた近鉄の上の方の偉い人に馬鹿野郎っ!と言いたい」でしたもんねー。好きー。(え?)その通りっ!(おい)決まったことは仕方ないけどなんかすっきりしましたよ、ホント。(笑)アツヒロくんやえみりちゃんの優等生的挨拶に対しての京さんや橋本さんのちゃらけっぷりも素敵だったし。(笑)天野くんはどっかーんとジャニーズばりのフライングを最後に観せてくれたしねー。祝福されてるわー。(何)でもやっぱり歌が始まるとこっぱずかしいので(おい)「ミュージカルー」って言わずにこっそり観に行ったら「え?ミュージカルだったのー?」ってのにしてください。(意味ないから)