77.「MIDSUMMER CAROL〜ガマ王子VSザリガニ魔人〜」

主なキャスト:伊藤英明・長谷川京子・山崎一・犬山イヌコ・山内圭哉・片桐仁・瀬戸カトリーヌ・加藤みづき・木場勝己
作:後藤ひろひと 演出:G2 舞台監督:二瓶剛雄
公演記録:2004.7.28〜8.1@シアター・ドラマシティ(大阪)
あらすじ>>両親の引越しでマンションに念願の一人暮らしを始めることになった浩二。だが新生活のスタートには、両親が故意に忘れたとしか思えない「仏壇」の存在が微妙に影を落としていた。引取り業者を呼んだつもりが、現れたのは一人の老人。「この人の口癖を知っていますか?“お前が私を知っているというだけで腹が立つ!”」「じゃあ、何故その人に会いに来たなんて言うんですか!?」奇妙な老人・堀米は、いぶかる浩二を横目に、仏壇に置かれた絵本を手に取る。絵本のタイトルは『ガマ王子VSザリガニ魔人』。堀米は浩二の質問に答える代わりに長い物語を語り始めた。

それは、ある総合病院で起きた「奇跡」の物語だ。入院患者は変人ぞろい。偏屈頑固じじいの大貫、子役から大人の役者へと転身できずに自殺未遂を繰り返す室町、自動車事故の賠償金吊り上げ目的に入院を伸ばす主婦・木之元、消火作業中に消防車に轢かれた消防士・大滝、被弾して入院中の暴力団員・龍門寺、大貫をからかうことを日課にする堀米、そして不思議な佇まいの少女パコ。病院スタッフも負けず劣らずの個性派で、病院内で釣り・虫捕りに興じる医師・浅野、大貫の甥・浩一の妻で野心家の看護士・雅美、その後輩看護士・光岡は誰に対してもタメ口という面々だ。そんな、わがまま勝手な病院生活を送る人々を結びつけたのが、絵本『ガマ王子VSザリガニ魔人』。

がまの王子はわがまま王子。すいすい泳ぐミズスマシ、ぴょこぴょこ泳ぐアメンボ家来に今日もまたまたはっぱの上から意地悪命令を出してます。

けろっけろっけろっ!王子はおなかがへったぞよ!いそいでおやつを持って来い!はちのこどもをさらって来い!

小さな池を舞台に奇妙なキャラクターが活躍する絵本は、少女パコの宝物。それは病気や怪我よりもっと難しい、心の傷に効く「奇跡」を呼び起こす絵本でもあった…。

結構最初は乗り気で初日チケット(22列30番台)も押さえてたんですが。お昼の公演がいいなーってことで急遽一般発売で楽日昼公演を探したら取れてしまい。(苦笑)しかもそっちの方が席がよくて20列1番とかだったし。(苦笑)そうなったらなったでなんだか面倒臭くなっちゃって(爆)初日チケットがもういいような気がしてきたりなんかして。(おい)なもんで初めてオークションで出品しちゃいましたよ。(苦笑)でもまぁあんまりいい席でもないしってので仏心を起こして定価以下で出品、そのまま落札へ。(黙)他見てみたらあたしの持ってる席よりもっと後ろの方の席(25列までしかないのに)でも定価で出てたりなんかしてちゃんと落札されてて普通に売れるんだなってことが分かりました。(遅い)考えてみればハセキョー(長谷川京子嬢)も伊藤(英明)くんも人気あるもんね。需要があるわけだわ。ま、あたしも伊藤くんは好きですが。(「僕の魔法使い」以来ハマってると言ってもいいぐらい。でも半分以上クドカン(宮藤官九郎氏)効果と言えなくもない。←おい)それより(犬山)イヌコさんだったり(山内)圭哉さんの方がツボにくる。でも「ダブリンの鐘つきカビ人間」(観劇日記No.26参照)とか「人間風車」(観劇日記No.38参照)と続いての3部作(連続作品じゃないけど)童話シリーズの割には前2つみたいにひやっとなる要素があんまりなかったかなー、と。このお話の方がありえそうなところが余計に泣けてくる。前2作も同じように泣いたけどまとめて言えば全部「可哀想」って言葉に集約されるのかもしれないけどでも全然違う。今まで傍若無人に生きて来た大貫(木場勝己さんの役どころ)の周りには今まで自分にとって損か得かしか考えてない人間しかいなくてその典型的なのが甥夫婦(瀬戸カトリーヌさん&小松和重さんの役どころ)みたいな人間だったりしたわけで。「お前が私を知っているというだけで腹が立つ!」ってのは自分という人間性とかそういうのじゃなくて名前だけがもう一人歩きして崇め奉られたりなんかしてる状態が見苦しいっていうことなんじゃないかなー、とか。ワンマン社長ってのはなりたくてなるわけじゃない。周りが自然とそういう態度で振る舞うから作られていくんだと思う。大貫は流されていく自分に乗り切れなかったんじゃないのかなー?どこか罪悪感とかを持ちながらでも偉そうにしてる自分が止められなくてまたそれも自己嫌悪の原因だったりなんかして。名前を知ってほしいんじゃない!自分という人間を知ってほしいんだ!そんな素直な欲求が叶えられないままどんどん大きくなっていってしまう名前。社会人は名刺が命だなんて言うけれどあたしはこれまで生きてきて名刺なんかただのいっぺんも持ったことありません。(苦笑)ちゃんとした会社(どこをどう取ってちゃんとしてるなんて言うんだろう?)に就職したことがないから。(黙)でもパコは違う。パコには記憶を入れておく箱がない。連続していくものがない。だからこそそのパコに覚えていてもらうことはそこにちゃんと自分が存在した証だ。それでいてパコに「君は突然ここに生まれ落ちたわけじゃない」ことを伝えるためでもあるんだ。毎日が誕生日っていうことは普通に考えれば楽しいことであるはずだった。でもパコはそうじゃない。何度も何度も真っ白になって生まれ変わって来てしまうんだ。突然急に降って湧いたようにそこに生まれ落ちるんだ。それはとっても所在無い。だからパコのことを忘れない。その代わり君も僕のことを忘れたりなんかしないでほしい。そんなささやかすぎる望みを叶えるためにみんなみんな一生懸命になる。その時やっと大貫は名前だけの存在じゃなくなる。それにしたって少女ってやつはそこにいるだけで残酷だ。覚えてないから仕方ないんだけど昨日もそのまた昨日も会ったのに「あなた誰?」から会話が始まるんだもの。あぁ残酷だ。(何)でも主軸は大貫とパコの一本に絞った方がよかったんじゃないのかなー?いくら人気俳優&女優の初舞台で華を持たせてやらなくちゃってのは分からないでもないけど室町(伊藤英明くんの役どころ)と光岡(長谷川京子ちゃんの役どころ)のほんのりロマンスになるかならないかのビミョーなお話はなくてもいいとまでは言わないけどそこまでスポットライトを当ててやらなくてもいいんじゃないかなー、とか。(爆)ハセキョーが男の子のやうに毒舌を吐くってのは一種飛び道具ですらあるけど。今までそういう感じの役なかったもんね。(あったらごめん)でもどこかやっぱり無理がある。最初から破綻してる。(おい)啖呵ってのは頑張って切るもんじゃない。うわぁぁぁぁぁぁっ!!!!!って突き上げるもんがあって啖呵になるんだと思う。「なんだってあたしこんなとこにいるんだろ?」っていう卑屈な魂でもいいから。それがなんだかちょっと残念。それにしたって木場とパコの物語はなんだってこんなに泣かせるんだろう?って感じで。1幕ラストの「涙を止める方法を教えてくれ」(@木場)に対して浅野(山崎一さんの役どころ)が言う「それなら思い切り泣くことです」ってのがもう号泣ものだ。えーい〜やーあなたにもらい泣き〜♪ってもんだ。(おい)はう。

で。後半はもうガマ王子VSザリガニ魔人劇中劇に萌えですよ。(は?)うもー。ミズスマシな圭哉さんったらもう最高ですったらーん。瀬戸カトちゃん(瀬戸カトリーヌ嬢)のザリガニ魔女なんかもう「うっはぁーっ!弾け飛んでるよっ!!!」だわ。そこにはもう何もないです。(は?)あぁなんて素晴らしい。そんなあなたも美しい。(え?)で本日大目玉の飛び道具はザリガニ魔人@伊藤くんでしょうっ!きゃーっ!おかまキャラでそれでいて諸悪の根源ザリガニ魔人なんですったら。これ以上のことがいまだかつてありましたか?(え?)隣に友達でもいたらど突き回して笑い転げてたことでしょう。(おやめなさい)今までの弱々しくて自殺しようとしても死に切ることなんか出来なくて毎日枕抱えて泣いてた(そんなシーンはない。笑)室町大変身っ!ってやつですよ。これからは堂々と昔子役で可愛かったキャラじゃなくておかまも出来るスーパー役者として励んでください。(それもどうか?)もちろん大王(後藤ひろひとさん)の意味不明な(爆)ヤゴも面白すぎるー。それまでも池より大きなタニシとか爆笑モノなんですけれど。いい大人が真剣になって他人を笑かすことに命を燃やしてるってのがいいのかな?(おい)あ。あと龍門寺(山内圭哉さんの役どころ)が結局飼い猿に撃たれたんだったっていう真相が明らかになるところもきつい。笑いすぎ。(おい)でも大滝くん(片桐仁さんの役どころ)の見せ場とも言うべき雨の効果もぐっと来るねー。なんていい人ぞろいなんでしょう、この病院は。あぁもうホント盆と正月とクリスマスと誕生日がいっぺんに来たかのやうな幸福の伝道師の集会ですか?(は?)それでも「医療の限界を感じるよ。本当だったらいつ死んだっておかしくない体なのに」(@浅野)の台詞なんか聞いたりすると普通寿命の順番通りに大貫が限界超えて生きてるんだなって思うじゃないですか?年寄りから先に逝くんだって思うじゃないですか?それがホントはパコのことだったなんて酷すぎる。でも世の中にはもっともっといっぱい悲惨なことがあってせっかく生まれて来たのに先天的な病気だったりして何年も生きられませんって言われてしまったりだとか移植手術を受けても上手くいかなくて寿命を終えてしまう短い人生しか送れなかった子供だっているんだよね。だから年が若いからって死なないわけじゃないんだよね。生きてる、生かされてるっていうことは無数の奇跡の連続なのかもしれない。そんな風に思えたらもっともっと爆泣だよ。(苦笑)でも「泣く」ことは「弱い」ことじゃないと思う。ちょっと人よりそういうアンテナが多過ぎるだけなのかも。でも少女はやっぱり残酷だなー。あれが大人の女だったらあんまりぐっと来ないじゃない。(冷静)儚い人生だったからこそ絶対的に思い出に刻み込まれてしまう。もう忘れられることはない。死んだら永遠なんて綺麗ごと言うわけじゃないけどそれは生きて行く者、残された者に課せられた宿題なんだと思う。とまぁ前日ダークでへびぃで「もうあたし立ち上がれませんっ!コーチっ!(誰?)」みたいなお芝居観たおかげで余計に美しく輝いて見えたのかもしれませんが。(おい)いやいや、ウソですってば。でももう1回ザリガニ魔人な伊藤くんが観たかったのにもったいなかったかなー?(そこかよっ!)