85.「ディファイルド」

主なキャスト:長塚京三・大沢たかお
作:リー・カルチェイム 翻訳:小田島恒志 演出:鈴木勝秀
公演記録:2004.11.30〜12.4@シアター・ドラマシティ(大阪)
あらすじ>>アメリカのとある都市。19世紀後半に建てられた由緒ある図書館に、ひとりの男が爆弾のリモコンを手に立てこもっている。ここで15年間司書として働いてきたハリー・メンデルソン。彼は図書検索システムのコンピューター化に抗議し、カード目録を残すよう上司に請願して首になったばかり。ならば実力行使と、「カード目録を残さなければ、建物ごとすべてを爆破する」との声明を突きつけている。彼には、このたった独りのレジスタンスこそ、「価値ある使命」だったのだ。

そこに、ひとりのベテラン刑事が現れた―ブライアン・ディッキー。説得交渉にかけてはプロ中のプロのブライアンは、「君は、自分の『生きがい』を『死にがい』にしたがるようなやつじゃない」と、頑ななハリーの心を徐々に開いてゆく。図書館の一室という閉ざされた空間の中、緊張感あふれる二人の駆け引きはシーソーのごとく展開し、その会話は時に笑いさえ誘う。二人の間にはあたかも父と息子のような一瞬さえ生まれて―。
果たしてブライアンは、無事にハリーを自首へと導くことができるのだろうか。

あーチケット取っておいてよかったー。(ほっ)この11月末から12月頭にかけて観たいお芝居の演目が多過ぎて実際日程かぶってるのもあるしどうしようかなー?なんて思ってたわけですが。「ハンブルボーイ」のいのっち(井ノ原快彦氏)と散々迷ったあげくこっち取ったんですけれど。(それにしたってぎりぎりまでオークションで「ハンブルボーイ」のチケット覗いてたくせに。往生際悪し)大沢(たかお)さんの舞台って初めてだったっけー?とか思ってたんですがずーっと以前に「ロミオとジュリエット」(Play3参照)でロミオ役やってたのを観たのをすっかり忘れてました。(おい)にしても某サイトで大沢さんが「可愛いー可愛いー」と評されていたんでどんなもんかなー?と気になってたわけですが実際問題ものすんごく可愛いー。(すっかり洗脳されてる。笑)あの毛糸の黒い帽子に黒のジャケットに白のシャツを合わせて袖口がカフスになってて折り返しになってるのをちらりと覗かせて。で黒のスリムなGパンに黒のブーツ合わせてもうそれそっくりそのままあたしも真似てみたいー。(でもあんたがやっても可愛い方向にはどうやったってならない。黙)時には理知に富んだ台詞で頭よさげーな感じなのかと思ったら一転して駄々っ子のやうに振る舞う姿にも萌え。それに長塚(京三)さん見るとどうしっても(長塚)圭史くんが目の前をちらついて仕方がないったら。(爆)あたしの妄想の中ではすっかり義理のお父さんですから。(え?)確かに現実問題として図書検索カードごときで図書館を爆破させるなんてどうかしてるとしか思えない。死ぬんだったらどこかで勝手に1人で自殺でもなんでもしてくれと思われても仕方がない。でもブライアンにとっては目の前にある片付けないといけない仕事のひとつだったかもしれないけどハリーにとってはそれが全てで今まで生きてきたことの全部だったと言ってもいいぐらいのことだった。彼の頭の中には図書館にある全ての本とまではいかないにしても司書としての知識、ここにはどんな本があってどんな内容でどんなことに役立ち他にこんな本を合わせて読んでみると更にいいなんてことがいっぱいいっぱい詰まってる。でもコンピュータ化されて一元化したデータベースに落とされてしまえばそんな司書なんか必要なくなってしまうのだ。図書館に司書はいらない。事務的に受付業務をして本を貸し出せる手続きを済ませる職員がいればそれで充分になってしまう。明日からハリーみたいな人員はいらなくなってしまう。自分にとっては意義ある仕事だったことも必要なくなってしまう。そして本との楽しい出会いも永遠に失われてしまうのだ。あたしも病院で事務の仕事をしてるから似たような境遇と言えばそうなのかなー?なんて。カルテもいつかは全部の病院が電子カルテになって医者が1人で書き込んで電算作業をして事務なんてそれこそもうお金の清算しかしないでいいようになってしまう時がやってくるだろう。お金の清算すらいらなくなってしまうかもしれない。だって大きな病院だったらカードで引き落としが出来るところも増えてるぐらいだし。(苦笑)今やってるコンピュータの打ち込み作業やレセプト業務なんてしなくてよくなるしCD-R1枚提出すればそれで終わってしまうだろう。買い物だってそうだ。ネットで注文さえしておけばすぐに自宅まで届けてくれるじゃないか。そうすれば店舗もいらないしそこで働くたくさんの人もいらない。あたしも実際ネットで本も買ってるし本屋で「こんな本買うんだー」とか思われてるんじゃないか?なんて心配もしなくて済むしいいなとも思う。(別にそんなに恥ずかしげな本を買ってるって意味じゃあありません。ラルクのでかでか写真集とかはまだいいけどクドカン(宮藤官九郎氏)のエッセイ本なんかタイトルが恥ずかしげなのもあったりするじゃないですかー?おぶおぶ。つか気にしすぎなんだけど。苦笑)でも表紙が綺麗だったり(ジャケ買いじゃないけど表紙で本を選んでしまうってことはよくある。笑)「あ、またこの人新刊出たんだー」みたいな嬉しい出会いも確実に減ってる気がする。(それにしたって「あんたは出かけるたびに本買ってくるから困るー。床抜けたらどうしてくれんのー?」なお小言は毎度言われてるんだけど)確かに便利だ。でも便利だっていうことは人手がいらないっていうことでまたそうやってどんどん失業者を増やしてるだけじゃないのか?一部のほんの一部の人間が働いてるだけで他はみんな職にあぶれてしまうんじゃないのか?杞憂に終わればそれでいい。でも便利になった世の中はなんだかどんどん住みにくくなってやしないか?ハリー(大沢たかおさんの役どころ)は言う。「コンピュータに検索キーワードを打ち込んだとしてもそれがちゃんと自分が望んだ本に導かれるとは限らないのだ」と。確かにコンピュータの検索システムなんて結構アバウトなものなのかもしれない。図書館でないにしてもサイトの検索だってそうじゃないか?検索に上がってこない無数のサイトの中にもしかしたら自分が探してるぴったりのサイトがあるのかもしれない。それに思いも寄らないキーワードで自分のサイトが引っかかってくる時もあるぐらいだし。(笑)全部を正しいやり方でコンピュータにぶち込むなんて所詮は無理なことなのかもしれない。その昔あたしも図書館のコンピュータ検索が上手く使えなくて困ったことがあったりしましたよ。(苦笑)ただ単にその時はパソコンなんて触ったことがなくてちゃんと親切丁寧にやり方を書いてくれてるにもかかわらずしかもその通りに打ち込んだはずなのに「ぴーっ!」なんてエラー音が鳴り響いてしまってそそくさとその場を何もなかったやうに立ち去るってことがよくありました。(おい)それこそ司書の人が気が付いてブースから立ち上がるのが見えた途端「あたしがやったんじゃないもーん」なんて顔して。(苦笑)いまだに図書館のコンピュータ検索はなんだか苦手。(苦笑)昔よき図書検索カードを司書さんのところに持って行って取り出してもらう方がよっぽどいい。ブライアン(長塚京三さんの役どころ)はそれをスペースの問題だと思った。確かにハリーの言いたいことはなんとなく分かるし彼にとって図書検索カードが大切らしいことも納得がいく。だけどそれと心中するのは間違っている、と。そこだけがどうしても二人が分かり合えないところなんだよね。「ディファイルド」ってのは「気高く、神聖なものが汚されるということ」っていう意味らしいですが。ハリーにとって図書検索カードを含んだその空間は聖域だったんだよね。なんとなくだから図書館の内装全体が真っ白なのかなー、とか。誰にも犯されることのない彼の頭の中みたいに。そこに入って来たブライアンが敵だと見なされたのかそれとも味方だと見なされたのかは分からない。でもコンピュータにウイルスが侵入してくるみたいにハリーはその行動を狂わされてしまった。確かに最初から死ぬ気は充分だっただろう。でもその死期が必要以上に早められてしまったのかもしれない。いさぎよく自分の手で決着をつけるつもりだったのに外から弾丸を打ち込まれて。彼はそんなに極悪人だったか?それこそ「ちょっと半日図書館の通常業務を滞らせただけ」なのに。その終わり方がまた美しくて哀しい。ちょっぴりあたしの気には入らないけど。(爆)

と。今回11列 16番となかなか。が。普通に中日だったのにカーテンコールになった途端隣に座ってたお嬢が立ち上がって「大沢さーん」コールするのには参った。(黙)しかも真剣になってやってるのはその人だけだったし。あーあーあー手まで振っちゃってるよー。と1人完全にお目立ちスタイルだったのでみんなちらちら振り向いたりするしー。つかあたしの友達じゃないですからー。(そっち気にしてたのかよ?苦笑)とこっちが恥ずかしくなってしまいましたことよ。(黙)分からないでもないけどね。でもジャニさん系のお芝居ではよくある風景だけど大沢さんもそうなんだなー。(変なとこで感心するな)ハリーは何度も繰り返す。「あの素敵な喫茶店がスターバックスに取って代わる前に自分の故郷を旅した方がいい」と。そうなんだよね。見慣れてる風景なのに。何度もその建物の前を通り過ぎてるはずなのに。1日で取り壊されてその何もない空間になった途端そこに何があったのかすら忘れてしまう。喫茶店だったのか本屋だったのかただの普通の家だったのか。ちゃんと見ているようで見ていなかったのか?いや、そうじゃない。余りにもいつも見慣れた風景過ぎてそれがなくなった途端周りの風景そのものが全部なくなったような印象になるからかもしれない。きっとこの図書館もそうなるんだろう。取り壊されて新しいものが建ってしまえばそこに昔何があったのかなんて忘れられてしまうのかもしれない。そこで図書検索カードとたくさんの本と心中した図書館司書がいたことも忘れられてしまうのかも。彼が作り出した爆弾には一瞬の間が出来る。リモコンを押したはずなのに爆発しない。誤作動か?このまま爆発すらしないのか?進化進化って言うけれどコンピュータなんて結局それほどのもんじゃないのかもしれない。だって結構壊れやすいし。今の電化製品は弱くなってるらしいですしね、実際。携帯だって水がちょっとでも入ればアウトだしコンピュータだってウイルスでいとも簡単にデータがめちゃくちゃに破壊されてしまうし。いたちごっこだ。それに雷でも落ちれば全壊だし。昔の電化製品はちょっと悪くなっても蹴ったり叩いたりしたら直ってましたよねー。(無理矢理だよ)今そんなことしたらますますやばい。(笑)でもこんなに毎日携帯にパソコンに振り回されて今更これが全部なくなるなんて考えられないことだけど。一旦便利な世の中に慣れ出すと昔無くても上手く生活出来てたことが思い出せない。そっちの方が見慣れた風景だったのに。そうだったはずなのに。それでまたスローライフだのスローフードだの叫ばれてるけど。今更立ち止まれるか?戻れるか?それが一番難しいことだと思う。そうそう。結末がちょっとばかし気に入らないなんて言ってますけども。あの最後のシーンで吹き上がる図書検索カードの紙吹雪ですが。あれって全部ブライアンが昔気に入って読んでた「ハーディー西へ行く」(でしたっけ?)の図書検索カードになってるんですねー。(感動)ちらっと1枚掠め取って来ちゃいましたよ。(おい)今も大事にパンフの後ろに挟んであります。(笑)この本って実際にある本なんですかねい?ちょっと気になるところですが。もし情報があれば教えてくださいー。(って自分で調べろよ。笑)