1061.「人間合格」

主なキャスト:青柳翔・塚原大助・伊逹暁・益城孝次郎・北川理恵・栗田桃子
作:井上ひさし 演出:鵜山仁  舞台監督:宮崎康成・森和貴
公演記録:2020.8.8@兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール(兵庫)
あらすじ>>「ちくしょう、三人いるとイヤになるくらい盛り上がるなあ。」「…ぼくでいいのか。」「君だからいいのだ。」

昭和五年春、東京帝国大学に合格した青年、津島修治のちの太宰治。「この世が今のような涙の谷であってはならぬ。われわれはこの世から涙を退治する民衆の友でなければならぬ」と帝大生の佐藤、早大生の山田、三人は生涯の友情を誓い合う。
そこに青森から大地主である津島家の番頭、中北が大切な話があるとやってきて…。

ほんっとはもっと5月だったか…??それぐらいの先行でもってチケット販売が決まっておったんだけれどもどうにもコロナ禍の影響でもって公演の続行もどうなるか分からないまま緊急事態宣言が出されて保留になったまんまずーっと残っておったんだけども。(黙)それが劇場も営業してよし!とはなったわけだけれどもキャパ数??みたいなのが限られてしかもソーシャル・ディスタンシングっつーので座席も1個空けで販売することが決まってそんなの、1日しか公演打たないっつーのにどうやって…??(わなわな)と思っておったらば意外と劇場先行でさくっと取れてしまった件。(え)しかもC列 4番って…近っ!!!最前列は飛沫噴射(おい)の影響大ってなわけでか人を入れずに2列目から通常通りっつかまぁ1個飛ばしでもって着席。前方席に人が被ることもないので快適vvvそう言えば「人間失格」は映画は観たことがあるけれどもちゃんとした文庫版だとか本では読んだことがないなー…と。(黙)冒頭「ここにその男を写した3枚の写真がある」をもじってっつーのか「6枚の写真がある」ってなことでその写真と共に話は進んで行くことになる。まず青森から上京して来ての下宿屋でもって「風呂敷劇団」なるモノを開いておる佐藤(塚原大助さんの役どころ)と山田(伊逹暁さんの役どころ)なる人物と出会うことになる。この2人は下宿代を支払うのにも汲々としておるっつーのに「プロレタリア運動」に血道を上げておってそっちの方面にばっかりお金を注ぎ込んでおるっつーのか…。何だか騒々しい2人に巻き込まれるっつかまるめこまれるやうな形でもって「プロレタリア運動」に踏み込んで行く津島(青柳翔さんの役どころ)。…ってか青柳(翔)くんも何度か舞台で観てはおるけれども結構しゅっとした感じ…っつかもそっと細かったやうな気がしないでもないんだけれども今回はー…太ったー…??…っつか浮腫んでる??(爆)何だか顔がパンパンだったやうな気がしたんだけれども気のせいか??(おぶおぶ)とにかくもホントのことを言ってしまえば津島は地元では有名な大地主の息子なのであって「プロレタリア運動」をやってる者たちからすればどっちかっつーと「敵視」されるべき者ではある。でも津島自身も家の仕事のことは嫌っておるっつーのか地主だけじゃなくて金貸しも同時に行っておることにどこか後ろめたさを感じておるっつーのか何っつーか…「恥」と考えてるところがあってそれだから2人に誘われたらばイヤとは言えずに言われるがままに活動にも参加して…っつか東京で初めて出来た友達が嬉しかったっつーところもあったのかもしれない。そこんところは「イーハトーボの劇列車」(観劇日記No.558・969参照)の宮沢賢治の境遇にもどこか似ておるのやもしれん。宮沢賢治もいいとこの坊ちゃんっつか実家が金貸しも同時にやっておるやうな大地主の息子でもってそれだから父親への反抗心からどんな人であっても差別されずに同じ共通言語を話して平等に暮らせる楽園のやうな場所を目指してっつか宮沢賢治も実家のことを「恥」だと考えてるところがあるわけじゃないですか??それでも実家から逃れることが出来ないっつかかんっぜんに切れて勘当されて自分だけの足で立って稼いで生活して…が出来ればいいわけだけれども暮らしぶりは実家からの仕送りで賄っておってまぁーったくもって貧乏過ぎてじっと手を見る…みたいなとこまで落ちぶれたりはしないわけじゃないですか??津島だったってそう。何だかんだ言いながら実家からのお目付け役っつか何かっちゃぁ中北(益城孝次郎さんの役どころ)が東京での暮らしぶりを偵察(!)にやって来てどっちもがどっちもの言い分でもって主張し合ってそうやって相容れないままで平行線を辿るわけだけれども「そんなにプロレタリア運動を続けたけりゃお父さんに言って仕送りを止めて貰いますよ?!」っつー脅し(?)っつか実力行使が発動されるわけでもなく…。これまた津島自身が「やれるもんならやってみろ!」つて反発して新聞配達でも土木作業員でも…ってか今だったらばそやってガテン系な仕事でもって手っ取り早く稼ぐ手段っつか世間の波に揉まれて…ってのだったらばそーんな感じになるわけだけれどもこの時代だったらばアルバイト的なモノって何やってたんだろね??(素)どっちにしても仕送りで送られて来たお金をそのまんま横流ししてっつか余った分は女性解放活動やら何やらに寄付をして…みたいなことでただただぐるぐるとお金を回してるだけでしょう??っつー話じゃないですか??よくもまぁそれで他2人も「お前も汗水垂らして稼いでみろよ?!」とか言わなかったなー…と。(苦笑)…や、まぁ津島にくっ付いてれば喰いっぱぐれることもないし何かっちゃぁ面倒看て貰えるから…な損得勘定だけで一緒にいたとは思えないんだけれども何がそれほどまでに津島に引き付けられたっつか「一緒にいる理由」だったのかなぁ??と。確かに太宰治(=津島修治)としては女にだらしなかったり心中騒ぎを起こして自分だけ生き残ってしまったりー…とそゆ噂には事欠かないっつか何っつーか…寂しがり屋で人たらしみたいなとこがあったんですかねい??(え)それだから2人も津島から離れられなかった…??何にせよ本気の活動家然としてのめり込んで行く佐藤とたまったまビラ配りの途中で立ち寄った浅草の小劇場でもって「人手が足りない…!」つて言われて見るに見かねて??「役者として舞台に立ってみたい…!」つて活動よりも自分の夢を優先させて出て行ってしまった山田とそうして津島家では修治の兄が選挙に出るっつーのでそんな人の弟が東京で活動家のやうなことをやってるとなったら聞こえが悪いっつーので無理くり精神病院送りにされて一旦2人とは袂を分かつ…っつか…の前に警察に踏み込まれるの何ので2人はてんでバラバラに逃げたんだけれども津島だけが中北に取り押さえられて警察に差し出されてそれも津島家の口利きでもって出して貰って病院送りだったっけか??(え)とにかくもきてぃがいでもないのに病院送りで閉じ込められて「こっちの気が狂いそうだ…!」な日々を余儀なくされる、と。(滅)…ってか太宰が精神病院に入れられるんだったらば絶対的に女性関係のことでだと思っておったんだけれども(苦笑)こんなことがあったとはー…!

確かに太宰治もとい津島は座の中心にいるし出ずっぱりではある。他の2人はと言えば佐藤は警察に追われながらも地下活動を細々と続けておって入院ちうの津島のところにも命懸けで(?)病院に忍び込んで来て会いにやって来る。山田はと言えば役者として大成して今は大変な人気らすぃー…。あの時活動を続けるばっかりじゃなくて夢を追い駆けてっつか役者に転向して頑張った甲斐があった、と。そうして修治の兄の選挙運動後押しのために山田が主宰する劇団が青森にまでやって来て公演を打つことになる。…だけれども今の山田は「むかーしとても人気のあった役者・山田」なのであって今はそれほどでもないっつかむかーしの栄光に縋って何とかやって来れてるっつーだけの落ちぶれた「山田」だ。(黙)しかも東京??から急遽青森にやって来るっつー強行突破をやってのけたために劇団員全員の旅費が工面出来ずにそのまま座長の山田と主役を張れる女優が1人連れて来れただけであとは各自それぞれ現地集合(!)でもってやって来い、と。しかも今までのお給料も未納でもって「青森に来たら払ってやる!」とは言ったもののほぼほぼ夜逃げ同然のやうにして劇団員たちの中には「山田座長は女優を連れて逃げた!」と思われてるところもあって「こんな劇団、辞めてやる…!」ってなわけで衣装部??のおなのこが「それだけは止めて…!」つて必死に止めるのも虚しくだーれも青森には来ません…っつー報告のためにその子がやって来て「役者がいなくて衣装も届いてないって…どうすんねーん??!!(おい)」なとんでもな状況に追い込まれる…。(滅)しかも戦時ちうは「欲しがりません!勝つまでは…!」でもって兵隊さんばんざーいwwwな内容の芝居を掛けておったのが戦争に負けた途端にアメリカさんに媚びを打った「G.I.ジョー」大活躍wwwな時代の波に乗った??内容の舞台を掛けて舌の根も乾かないうちに…っつか結局のところ「お前の言いたいことは何だ??」みたいなことで…。(黙)ただ単純に山田に人望がなかったっつーだけなのか、それとも「戦争のせいだ!」つてやさぐれて時代のせいにしてまた何かきっかけさえあればまた主役の座に返り咲ける…!今はその機会をじっと待ってるだけ…とうそぶくか…??何にせよ今までプロレタリア運動をバカにしておったっつか「貧乏人の戯言」だつて見向きもしなかった中北が戦争に負けた途端にいきなりと主義主張をひっくり返して「女性が選挙に参加する初めての選挙になるわけですから…!女性にそっぽ向かれるやうじゃいけません!」っつーので「元」ではあるけれども(苦笑)山田を呼び込めば女性層をも取り込める…!っつー思惑は確かにあるわけだけれどもまぁでも「女性が政治に何をぬかすか…!」つて言っておったその口が…!今は女性に好かれんとしていろいろやり方を考えたりなんかしておってほんっつどの口が…!なわけだけれどもさ。(苦笑)そんな中にあっても太宰もとい津島は傍観者なのであってそれに関してはノーコメントっつか積極的に意見をすることもないし無関心…っつかそもそもが兄が選挙に勝とうが負けようがそんなことは修治には関係のないことだし実家の内輪揉めっつかそこに口を出せるやうな立場でもなし…っつーのが正直なところなんだろうけれどもだったら山田に「お前はそれでよかったのか??」つて言えばいいんぢゃね??(え)確かに山田の本意はそこにはなくて「戦争反対!」つて声高には言えないところを兵隊さんと家族との別れのシーンでお涙頂戴でもって「こんなことは嫌だ!」「こんなことは絶対にしちゃダメだ!」で「戦争には行きたくない…!」「戦争なんか止めちまえ…!」な気持ちを描いたつもりだったのに兵隊さんと家族のお涙頂戴の別れのシーンを描けば描くほどに「お国のために…!」っつー気持ちが余計に強まるっつか「みんなして一致団結して天皇陛下のために頑張ろう…!」みたいな??(え)さすが時代の空気を読んだ素晴らしい作品だ!つて持て囃されて今更「違います…!」とも言えないし言ったところで「戦争反対!」が真意でしたなんっつったらば銃殺刑でもってその場で撃ち殺されても文句は言えないわけでそんなこと嫌だし…。(死)何っつーかだてちん(伊逹暁氏)が外部公演に出ると悉くいやーな感じの役っつか安定の「うわー…」つてみんなが顔顰めたくなるやうなダメーな感じの役だったりで「山田、お前もかー…」(黙)だったわけなんだけれども(苦笑)何なんだろなー…??日頃の「俺が!俺が!」感が今ここに来て「やっぱ付いてくの、もう無理だわ…」に繋がったっつか給料もまともに払われてないっつーのに自腹切って青森まで来い!とか何様??ふぅーざけんな!ばーかwwwっつーことだったんですかねい??(滅)最終的に津島1人生き残ってしまって恐らくは山田は自殺だったのか死んでしまってその後佐藤も精神病院送りになっておったのが山田が死んだ後立て続けに死んでしまってそやって友達を続けて2人も見送って知り合いのオヤジ??ってか外見中北さんなんだけど(苦笑)あの独特の津軽弁もしっかり矯正されて東京で屋台出せるほどになった…のか??(おぶおぶ)とにかくも津島が泥酔に近いほどにべろっべろに酔っぱらってカウンターの隅で寝入ってしまったところに屋台近くの工場から流れて来た若い労働者たちが新しい労働組合を結成してそれに新しく2人加入してくれたっつーので打ち上げにやって来る。「今日のところは静かにしておいて欲しい…」っつーので一度は断ったおやっさんなんだけれども若い子たちの残念そうな素振りに負けて「1杯だけならいいよ」ってことで乾杯だけで解散をば。あんなに必死で「女性解放!」「労働者解放!」つて声を上げ続けてそれでも手に入らなかった権利がアメリカに戦争に負けた途端にかんったんに手に入って世の中は民主主義へと様変わりして…。津島はそれについて行けなかったのか…??「昭和」っつー時代に負けたのか…??5ヵ月ぶりにやぁーっとこ劇場解禁になってのこの舞台。ちょっと気持ちの中でハードルが上がってしまっておったみたいでもそっと素直に受け取っておったらばもうちょっと楽しめたのかもしれないけども。(え)とりま劇場に通うのもリハビリみたいなモノでぼちぼちやって行くとしますか。(えー)