111.「キレイ〜神様と待ち合わせした女」

主なキャスト:鈴木蘭々・高岡早紀・阿部サダヲ・岡本健一・片桐はいり・橋本じゅん・大浦龍宇一・宮藤官九郎・秋山菜津子
作・演出:松尾スズキ 舞台監督:青木義博
公演記録:2005.8.6〜12@シアターBRAVA!(大阪)
あらすじ>>三つの国に分かれ、100年もの間、民族紛争が続く“もう一つの日本”。民族解放軍を名乗るグループに誘拐され、監禁されていた少女が、10年ぶりに地上へ逃げ出す。過去を忘れた少女は自らケガレと名乗り、戦場でたくましく生きるカネコ一家に加わる。カネコ一家はダイズでできているダイズ兵の死体回収業で生計を立てていた。回収されたダイズ兵は、食用として加工される。その頂点に立つダイダイ食品の社長令嬢と奇妙な友情で結ばれていくケガレ。戦場をうろつき、死体を拾って小銭を稼ぐ、そんな健気なケガレを見守るのは、成人したケガレ=ミサだった。時空を超えて交感するケガレとミサ。しかし、二人は、もう一つの視線におびえ始める。それは一体、何者なのか?過去、現在、未来の時間が交錯する中、ケガレは、忘れたはずの忌まわしい過去と対決してゆくことになる。

なんで5年前の初演もチェックしてないのか謎まくりなんですが。(黙)今回も先行電話予約だったんですがいつもと同じく抽選。(苦笑)ま、1時間ぐらい?でかかったので良しとしましょう。(何様)その割には10日昼公演がR列 15番で12日千秋楽昼公演がS列 17番とかだったんでそんなに変わりもなく。(苦笑)ちょっとビミョーに遠い?とか思ってたんですが会場行ったらそんなでもなく思ったより狭かったのでよかったかなー、と。が。途中東京公演すら始まる前に主役の酒井若菜ちゃんが急性胃腸炎で降板とかで。稽古途中だったし大阪は若菜ちゃんだったりしてーとか思ってたら全公演鈴木蘭々ちゃんに交替するとかで。最初全然ホント申し訳ないんですけど期待してなかったんですよねー。(失礼)なんか若菜ちゃんのいめいじとも違うし(あたしのいめいじでは蒼井優ちゃんとかの方がしっくり来るんですけれど。同じ事務所とかじゃなかったのかなー?)むかーしの蘭々ちゃんの不思議ちゃんキャラ(ちょっと前の千秋とかそんな感じの)のまま止まってたのでなんか違うーと思ってたんですが。全然そんなことなかったですっ!むしろ遥かに超えてるしっ!確かに主役の降板なので「若菜ちゃんじゃなかったら観ないー」って人もたくさんいただろうしそれでキャンセルしちゃった人もたくさんいたかもしれません。でもそれ絶対もったいなかったよっ!あたしはもう主役とかそういうことよりも大人計画公演が観たい方が強いので(おい)せっかく取ったチケットを無駄にするなんて出来ないんですけれど。なんかそのちょっとエキセントリックな感じが初演主役だった奥菜恵ちゃんと重なる感じもあってすっごいぴったりで。歌も上手いし(そりゃまぁちょっぴりアイドルっぽく歌ってたりしたもんねー。と。今でも歌ってらっさるんでしょうか?)期待してないなんて言っちゃってごめんなさい(平謝り)って感じで。松尾ちゃんのめっせいじとして戦争反対!って言うわけでもないしミュージカルだからってきばってこう背筋ぴんっ!と張って大げさに歌い踊るわけでもなくなんかこう延長線上にまぁちょっと歌ってみました風でミュージカルさぶイボ感もなく。(おい)歌の歌詞が聞き取りにくいってのも何度か見かけたんですが。そうかなー?10日の1回目観た時よりは12日に観た時の方が分かりやすかったしホールの音響の問題もあったのかな?人間はこの世に生まれ出た瞬間からもう後は穢れて行く一方なんだろうし物理的にも精神的にも綺麗なままでいる人なんていないもんね。皮膚だって弛んだりしみだの出来たりするし心の中だって傷ついてぼろぼろになっていくわけで。そりゃぁ仏様のやうに優しくていつもにこやかで誰からも好かれる人もいるけど完璧な人だって肉を喰らうし下痢ったりもするわけでさ。(爆)でもだからってそれが悪いってわけじゃなくてそれは当たり前のことなんだってことだと思う。特になんつーの?女の人って昔から穢れてるだのご不浄だのって山とか登っちゃいけないとか相撲の土俵に上がっちゃいけないとかいろいろ禁止事項も多かったりで。それは言い方は確かに悪くてなんで男は自分1人で生まれて来たわけでもないのに女の人が産んで育ててやらなくちゃ何も出来ないしこの世に存在することすら出来ないのに「穢れてる」とかって遠ざけたりするんだろ?ってのはあるけどでも体力的にやっぱり男には敵わなくてそれで禁止されてることもまぁ少なからず理由としてはあるわけだと思ったりするんですけども。つかそもそもあたしはそういうの全然どうとも思ってないし山とか極力登りたくないし(え?)土俵に上がれたからってそれどうなの?なウーマンリブ(それはくどちゃんのプロデュース芝居ではなく。笑)活動な人たちからしたら「そんな奴がいるからいつまでも現状が良くならねぇんだよっ!ふーざけんなっ!」とか言われるかもですが。(おぶおぶ)でもアレがあるからまぁ女の人は長生きだっつー説もあったりとかするわけで。でもそうだよねー。考えてみれば死ぬまでに赤ちゃんとして存在する可能性があった卵子を数限りなく見殺しにしてるわけだよなー。(遠い目)ヘビーメ●ンスシスターズ(黙)も歌っておられますが1年で12回、とりあえず30年ぐらいは軽くあるわけでしょ?普通に考えたら360人分は少なくとも死んで行ってるわけだ。(適当な)ま、あたしはそもそも産む可能性も低いけどね。(爆)すげぇのな。(そこ感心かよ?)でお嬢様って言うと大体いめいじでこう純粋無垢で世の中のことなんか何も知らなくて綺麗で誰からも愛されてー…ってなるわけだけどそれさえもみんなと同じところまで引き摺り落とす。そんなの嘘だと。優しく見えるだけでそれは偽善なんだと。差別することはいけない。障害のある人にも優しい目線を注がなければいけない。道徳的にはそれは正しいことだしそうしなくちゃいけないことも分かってる。でも助けを求められたら「そんなことはいけない」って常々言っててもその手を振り払ってしまうことはないか?「こんな自分は自分じゃない!」って思っても咄嗟に汚い物を見たみたいな気持ちになったりしないか?いつも正直でいられるか?でも松尾ちゃんはそれを真っ直ぐ突きつけて来たりはしない。首筋に切先鋭いナイフを押し当てながらぢつはそのナイフの刃は自由自在に引っ込むタイプのやつだったんですよー、えへへーみたいな感じで逸らしどころもちゃんと用意されてる。だからこっちも思わず怯えながらもついつい近づいて自爆しかかってしまうのよねん。(苦笑)ハリコナA(阿部サダヲさんの役どころ)だってそうだもん。みんなにバカだ、バカだって言われてそれも受け入れてすっかりバカに慣れ切ってても自分よりバカ(に一見見える)なケガレ(鈴木蘭々ちゃんの役どころ)の前では「オレよりバカがいた〜♪」って喜んだりするんだよね。きっと普通に真面目に演じられれば結構それって差別だしいけないことだって言われることだけどあんなに天真爛漫に喜ばれたら「あぁーん。もうーかーわーいーいー(え?)」って見えちゃったりするのよねん。(苦笑)ジュッテン(大浦龍宇一さんの役どころ)だってもう人が人を殺すところを見たくない、自分を助けてくれた人が次の瞬間地雷で吹っ飛ぶところなんか見たくないなんてそこだけ聞いてればものすごく切なくて苦しくて痛いのに結局目を開ける瞬間に見たいと望むものは好きな人の裸だったりするわけでさ。そういうのだって「真面目に聞いて損した」だの「呆れるね、全く」だったりするわけだけどなんかそれも可愛らしくて平和っぽくていいじゃん。(は?)なんかそういう風に思えたりもするんだよね。死体回収だって汚れ仕事じゃないですか。でも誰かがやらないとその死体はずっとそこで腐って行く一方だしダイズ兵ってのは確かにリサイクルだし(え?)汚い仕事、悪い仕事だって言ったって生きて食べて行かなくちゃいけないじゃないですか。職業に貴賎の差はないって言いながらやっぱりそこで差別してるわけで。そこから目逸らしたってそれが消えて無くなるわけじゃない。ただ自分の目の前からは見えなくなるだけでやっぱりそこには存在する。いい子ぶってんじゃねぇっ!ってものすごーく遠くでちいちゃな声で言われてる感じ?(分かんないよ)きっと戦争でさえなければちゃんとケガレ(=ミサ)の親だって捜索願出してそれなりに真剣に探し回ったかもしれないけど。軍の官僚だしテロリストにでも狙われて、そうでなくても戦争で死んでしまったんだからって諦めてそりゃぁ心配しただろうしどこかで生きててくれればと願っただろうし会えれば涙流して喜んだのかもしれないけど結局ちゃんと探さなかったわけでしょう?ま、戦争じゃなくたっていなくなっても探してもくれない親は今の時代たくさんいるけどね。(苦笑)そう思ったら1年以上帰って来ない父親とそれをすんなり喜んで受け入れちゃう家族っていう形態だって相当壊れてるしイカレてるけど「ただ生きててくれて嬉しい」っていう点だけで言えばそういうことなのかなー?とも思っちゃうし。何が正しくて何が間違ってるかなんて基準なんて曖昧なものなんだってことなのかなー?

にしてもハリコナAのサダヲの可愛いっぷりったらないー。頭良くなったちょっと大人のハリコナB(岡本健一さんの役どころ)もいい感じだけどさ。あー最前で抱きつかれた人がうらやまひー。「きゃーっ!」とか叫んでる場合じゃないからっ!あー…でも自分だったら「ひーっ!!!!!」とか言ったまま失神するかも。(え?)それこそ人間じゃないです、その瞬間。(バカ)「キスしてもいいじゃろか?」って気が狂いそうです。(病)でもね。今ラルク月間ちうなので。(は?)すぐにはいのんがわきわきわきーっとそこ押し退けて出て来ちゃうんですけれど。(苦笑)ごめんなさいね。(知らない)Bのゲイっぷりももうダメ。面白過ぎ。その中途半端なおばちゃんコスも最高ー。何だこれ、何だこれ、何だこれー?!(はいのん軍服ばりに来ました。←は?)あと松尾ちゃんの父っぷりね。出て来るたびに引き笑いだよ。つかドンキホーテ道頓堀店店員がマジビミョーにリアル感たっぷりだよっ!(驚)10日に初めて観た時は信じちゃったよっ!ペイズリーっ!(笑)で。もう(片桐)はいりさんは言うことないです、ハイ。どぉーんと来いっ!(は?)「キグリ軍隊」の歌なんかが一番印象的ですかねい。と。もう1つの世界の地下世界の方ですが。マジシャンー。(宮藤官九郎さんの役どころ)悪いやつでも素敵。(は?)きっとミサのこと好き過ぎてどうしたらいいか分かんなくてついちょっと力ずくで誘拐して来ちゃってそのまま側に置いておきたくてずっと監禁しちゃいました風で。(え?)狂ってるんだけどそこにあるんじゃないかな愛を勘ぐっちゃったりなんかして。カウボーイ(皆川猿時の役どころ)が犯してたことも全部知ってただろうし最初はそれも黙認してたんだろうけどある日突然暴発しちゃったんだよね。「食料が足りない」とか難癖つけてカウボーイを殺させるように仕向けて。そうやってカウボーイを殺させればもっと自分の物として支配出来るし。食料も与えてるし催眠ガスで眠らせて洗脳してるとは言えその気になればいつだって逃げ出せる瞬間はあったはず。10年もだ。でもカウボーイを殺した(殺させた)って言う罪は消えない。外の世界は戦争でいっぱい人が人を殺してる世界だから人1人殺したことなんてどうってことなかったのかもしれないけど自分にとってはその1人だって手を下したことには変わりなくて消しても消しても消えなくて外に出れば糾弾される、責められる、間違ってるって言われる、そう思ったら逃げられないよね。逃げる気力すら失われるよね。ここにいれば間違いじゃない。食料がなくなった、食い扶持を減らすため。それは間違ったことじゃない。そう思ってれば救われるし。きっと何度も何度も繰り返しマジシャンはそうやって言い聞かせたことだろうし。逃げられないように。二度と離れられないように。そうすることでしか確められない気持ち。うーん…ここまでロマンチックに読んじゃっていいのかしら?(おぶおぶ)つかマジシャンに愛入ってるよね。(苦笑)ダイズ丸(橋本じゅんさんの役どころ)もハリコナBに比べてみれば「ミサさんを守りたい」だの「何が何でも守り抜く」だのめちゃくちゃ綺麗に見えるけどそれだって綺麗じゃなくて綺麗ごとにしか過ぎないし。結局そうやって自分の生きてる意味だの子孫を残すことだのそれが根本原因にあってさ。「死にたい」ってことは「生きたい」ってこと。「穢れてる」ってことは「綺麗」ってこと。裏を返せば同じこと。人間に裏表があるように。本音と建前があるように。それは隠したってそこにある。目を逸らすな。見ろ!目しっかり開けて見ろ!いや、ちょっとよかったら見てくださいー(哀願)ぐらいか?(苦笑)ケガレとミサだって精神的双子だし。そこにはいつだって片一方はいたんだから。ミサが外で生きて来たミサをそっと抱き締める瞬間はすごくキレイだったから。とても透明でなんだかとっても純粋で。にしてもダイズ丸ったらだんだん見た目ぐちゃまらになってくんだもん。ぐちゃまらになればなるほど精神的にはキレイに見えて。でも結局腐ってんじゃん。(爆)だってあたし、納豆食べられないもん。(違)ダイズ兵ってことはやっぱり遺伝子組み換え大豆だったりするのかなー?(そこまで考えるな)にしてもちょっとばかしこっぱずかしくなっちゃったのが「ここにいないあなたが好き」ですか。最初観た時は全然そんなこと思わなかったんだけど2回目観た時村杉(蝉之介)さんのパートがもうダメー。寒いー。(爆)花屋って花屋って…のーん。(おい)でもその花投げ入れて次の瞬間サダヲちゃんとじゅんさんが「返せ返せ」っていう演技をするんだけど。千秋楽ホント真面目な人に当たったのかマジステージまで返しに行っちゃってるしー。うーん、いい人だー。でも千秋楽カーテンコールでちょっとばかし思ったんですが。松尾ちゃんは松尾ちゃんなりに相当気を遣ったんだろなーなんて。きっと若菜ちゃんが体調崩してそれをすぐさま「ごめんね。降板してくれる?」って頼むのも心苦しかっただろうし途中参加の蘭々ちゃんにも気持ちよくしてもらうために楽しく盛り上げていい雰囲気にしようとしたんだろうし。なんか最後松尾ちゃんと蘭々ちゃんの2人だけで出て来た時にものすっごくそんな感じがしてさー。「あたしは途中参加させてもらって…」「こらっ!そんなこと言うんじゃない!しーっ!」って突っ込み合ってるとこなんかもうめちゃくちゃ微笑まー。大人劇団員だけだったら適当にしてても全然大丈夫なんだろうけどなんか「こっちまで胃炎になりそうだー」だったのかなーなんて。ご苦労様でした。って…そんなこと言われたかないか。(笑)えへ。