250.「幸せ最高ありがとうマジで!」

主なキャスト:永作博美・近藤公園・前田亜季・吉本菜穂子・広岡由里子・梶原善
作・演出:本谷有希子 舞台監督:宇野圭一+至福団
公演記録:2008.11.21〜22@シアター・ドラマシティ(大阪)
あらすじ>>舞台は「エリートが書いたもんをヤクザが売る」とからかわれる、とある町の新聞販売所。
慎太郎の留守中に、彼の愛人を名乗る得体の知らない女・明里が突然現れる。もともと慎太郎の女癖の悪さは病的とも言えたため、妻と子供たちはその話を信じ込んでしまう。が、家族は一丸となって明里の存在を無かったことにしようとする。嫉妬でおかしくなったように家に上がりこもうとする明里を、妻と息子と娘は協力して阻止。
明里は道に放り出されるが、住み込みバイト・えいみの手引きによって、なぜか敷地内のプレハブ小屋に密かにかくまわれることに。こうして、誰にも予想できない復讐劇の幕は上がった……。

本谷ちゃん(どうしても「もとや」と読むのは知ってるけれども「ほんたに」と読んでしまうあたし…。苦笑)の作・演出舞台は観たい観たいと思いながら東京公演ばっかりでどうしっても観たいって人もいないし(爆)いっかなぁー??ってのでスルーしてたんですけれど。今回初大阪公演アリってことでこれは観に行かなくちゃでしょっ!と。が。最初簡単にチケ取れるもんだと踏んでたんですけどぴあの先行で完全落選…。(滅)第二のちゃーんすっ!ってことでe+の二次先行に申し込んだらやっとこ当たったよ…。(苦笑)でも席が22列 4番って…終わってる…。(ずもーん)ま、二次先行だから仕方ないわなー。とかやってたら追加公演後から出るしさー。あれだったら追加狙った方がよかったんじゃね?(爆)何でしょう?みんな本谷ちゃんに興味アリアリなんでしょうか?(え?)キャスト的にも売り切れそうには思えなかったのに…。(完全に失礼)本谷ちゃんのは映画「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」で観たぐらいでどういう傾向かもあんまりよく知らないままだったんですけど何だろなー??松尾(スズキ)ちゃんとか(長塚)圭史くんみたくダークでどんよりしてて救いようがない世界ではあるんだけど松尾ちゃんだとか圭史くんのだとかがどっちかっつーとありえそうでない世界っつかぎりぎり繋がってるんだけどどこかでファンタジーっぽく(それが明るいっつー意味ではなく)「これは現実ではないですよ」ってのを持って来るじゃないですか?圭史くんのだったらカブトムシが出て来たり水子が喋ったり舞台上だから成立する話であってま、現実にもそういうことはあるかもしれないけどだからって現実ってわけじゃないですよ?って感じがどこかするんだけど本谷ちゃんのは絶対的にリアル。どこにも逃げ場がなくて「あー…こういうことってあり得るかも??つか自分にも起こり得るかも??(おぶおぶ)」と思わせちゃうとこがあるっつか。この話だったら明里(永作博美さんの役どころ)が新聞屋さんに「旦那さんの愛人です」って乗り込んで来るんだけどそれだって本当に愛人ってわけじゃなくてとにかく手当たり次第に目に付いた家に飛び込みで入ってって「旦那さんの愛人ですけど何か?!」って引っ掻き回すのが目的だったり。飛び込みでってとこがそれって新聞屋とかぶってんじゃね??(おい)と思わせるとこですがそうやって「愛人です」アピールをしてお金をふんだくろうとかそういうのを求めてるんじゃない。愛人が乗り込んで来たことで家の中がしっちゃかめっちゃかになりどんどんと加速をつけてそれまでも壊れてたんだろうけど(ホントかどうかはともかくとして「愛人」がいてもおかしくない家庭環境だったらますます、ねぇ?)もっともっと壊れた方向へ転がってく様を見たいだけっつー本格的に歪んだ女なんだけど「人の不幸は蜜の味」って言うぐらいだし観てる側のお客さんたちだって多かれ少なかれそういう「他人の不幸」にことごとく反応してしまうとこってあると思うんだよね。ここまで極端ではないにしろ毎日毎日ワイドショーだの女性・男性週刊誌だのが世の中に吐き出されてるぐらいだから興味が全然ないですぅー!なんつー人は少ないのだと思う。自分に関係があったら困るけど関係ないとこで沸き起こってる出来事だったらちょっとはしゃぎ気味で見ちゃうとことかあると思う。芸能人の誰それが誰それと結婚しただの、不倫で揉めてるだの、離婚しただのそれだけでもテンション上がっちゃう人っているでしょう?それと同じだとおも。明里まで行っちゃうと病んでるっつか病的ってことになっちゃうのかもしれないけど…。快楽殺人者とかと同じ。人を殺してはないけど傷付けて喜んでるんだから。しかもそれが無差別テロみたいなもんだし…。でも乗り込んで来られた側の美十里(広岡由里子さんの役どころ)がこれまたテンションひくーい感じなんだ。明里が「もうちょっと反応したらどうなの?!」って文句言うぐらいに「はぁ…。そうですか、愛人ですか」って感じで動じてないと言うのか感情に乏しいと言うのか…。で「何年(愛人だったか)って聞きなさいよっ!」って言われてとりあえず「…何年ですか?」って聞いたら「7年よっ!」って明里が言うんだけど「(あたしは)1年半です」って言うからは??と思ったら再婚なのだそうな。慎太郎(梶原善さんの役どころ)の奥さんが逃げちゃってそれでその後すぐに見合いだか誰かの紹介だかで知り合って再婚してから1年半しか経ってないらすぃー…。それだからそんなに執着心がないって言いたいの??でもとりあえず旦那寝取られてたわけでしょう??騙されてたわけでしょう??(ウソだけど…)それにしては反応が薄過ぎるっつかこの人って空っぽなのかなぁ?とか思っちゃう。結局「今仕事忙しいから…」ってので追い出されて締め出されて完全スルーされる明里…。何、この全体に漂う敗北感。(苦笑)イタイ女が常識人に負けた??でその明里を拾う山里(吉本菜穂子さんの役どころ)。山里はと言えばここの新聞屋で住み込みのアルバイトをしてるらすぃーんだけどそれが31歳…。それって大丈夫なの??(何)「あたしもリスカ(リストカット)やってるからあなた(=明里)のことはよぉーく分かる」とか同類に見られちゃう明里なんだけど明里はそれに猛然と抗議する。「リスカなんか今時流行んないわよ??ちょっと前までは市民権得てかっこいいなーとか思われてたかもしれないけど今そんなのやってても恥ずかしいだけ。そんなあんたみたいなのと一緒にしないで!」みたく言われて何もそこまで言わなくても…とか思っちゃうんですけど…。でも山里には山里なりの理由があるとかで衝撃発言!「あたし、店長にレイプされたんですっ!」…ここまで全然慎太郎(梶原善さんの役どころ)出て来てないんだけどどういう人なんですか、一体…??完全に救いようがないじゃないですか…。(黙)でもそれを聞いて嬉しそうな明里だったり。そういう不幸話、マジで大好きなんですねい。(苦笑)

でこう店長からは何も言って来ないんだけどリスカとか繰り返して傷口をわざとアピールしたりして結構トラウマなんです風を装って「わたし、恨んでます」な空気感を醸し出しながらいつか復讐する機会を待ってるって話だったのに山里ってば間違っちゃってました。(え?)そう言いながら流されて店長の愛人として囲われてるのだそうな。住み込みってそういうこと??しかも「いっぱいすればいいと思ってるんですっ!木を隠すなら森ってのでいっぱいやればやるほど最初のレイプがなかったことになると思ってるんですっ!そうやって愛あるSEXを重ねて行けば最初のも合意の上だってことになると思ってるんですっ!」って悔しそうに言うんだけど…だったら付き合わなかったらいいんじゃん??はっきり「あなたのことが嫌いですっ!」って言えばいいんじゃん??他の仕事探せばいいんじゃん??(爆)でも明里はそんなじめじめしたのは大嫌い。(え?)「復讐するんだったら今しかない!」ってことで自分の目の前で山里が店長に復讐するように勧めまくり。(苦笑)それに乗っかっちゃう山里も山里だけど…。どうやら流されやすい人ってことなんでしょうか??そーんなとこに帰って来ました!慎太郎がー。が。…なぁーんだ、結構な小市民っぷり。(は?)功一(近藤公園くんの役どころ)に「父さんの愛人って女が来たよ」って言われたら動揺しまくりで完全におどおどしっぱなし。つかもうすでに愛人だったらプレハブに住み込みで山里のこと囲ってるしねぇ…。(黙)そのことまでバレたら大変!ってことでいろいろ画策しようとするんだけど全然空回り…。奥さんの美十里はと言えばいろんなことを1万回許して来た女って娘・紗登子(前田亜季さんの役どころ)に評されるぐらいに何でも心の中に飲み込んで処理して来たと思われてるけど全然違う。実際のとこ許してなんかない。ぢつは山里が愛人だってこともぜぇーんぶ知ってたりなんかして。(爆)でも奥さんに出て行かれてその後山里と結婚しなかったのは「それって従業員が増えないからでしょう?新聞屋続けてくために人手が欲しかったんでしょう?だからあたしと再婚したんでしょう?そうやってあたしに仕事手伝わせて紗登子にも勧誘とかいろいろ手伝わせて。じゃなかったら奥さん出て行って半月もしないうちに再婚するなんてないわよねぇ??」ってぶちまける美十里。すげ。それも全然怒ったトーンとかじゃないの。淡々とただもう事実を申し上げてるだけですばりに独り言みたく喋ってるだけで詰め寄って「さぁどうするのっ?!」って言ったりもしないしそれでどうかして欲しそうなわけでもない。それで慎太郎が「悪かった!」って謝るんだけど「謝られたって困るのよ。それで謝ってあなたは気持ちが良くなるかもしれないけど、それで終わりに出来たって思うかもしれないけどそれじゃ困るのよ。こっちは全然気持ちよくなんかならないんだから。ずーっとずーっとそのことを気にして貰ってた方がいいんだから」とか言っちゃってぢつは美十里の方が明里とかより全然怖いんじゃね??みたいなさー。完璧ホラーだよー!(おぶおぶ)それでも別れない理由って何?プライド?見得?愛人より奥さんの方が評価が高いから??うっわぁー…何だろなー、これ。こんなのに巻き込まれたらちびっちゃうわー。(は?)謝るってことが手っ取り早く楽になることとしか捉えられてないってどうよ?じゃもう何やったらいいんですかぁー??(泣)って感じで。だってもう何やっても許してもらえないんだよ??怖いわー、それってめちゃめちゃ怖いわー。でいよいよ山里が明里にそそのかされて新聞屋に乗り込んで来るんですがー。何かもう灯油のポリタンクとか背負わされてるしどうなっとんっすかっ??!!でも慎太郎にも慎太郎の言い分アリでつ。歓迎会でべろべろになった山里を送って行ったら「部屋上がって来ませんか?」って誘われてしかも「ちょっと飲み直しましょうー!」とかって2人でビール開けてそういうシチュエーション作りは絶好だったのだとか。それで上げ膳食わぬは男の恥ってのでことに及んだって言い張るんだけど…。で美十里は山里にも慎太郎の愛人だってことは知ってるってバラしちゃう。慎太郎がシャツの襟口にキスマーク付けて帰って来たことがあるって携帯写メで撮ったのを見せて「分かりやすくアピールしてたのよ、この子はっ!」って言うんだけど「こんなこと、してませんっ!」って言い張る山里。「どっちを信じるの??」って慎太郎に詰め寄る美十里。悩む慎太郎…。で山里は「奥さんと別れてください!」って言うんだけど美十里は別れる気はないし今まで通り2人で慎太郎をシェア(爆)してけばいいじゃない?って…。「そんなの、嫌ですー!」って山里は言うんだけどそれじゃ結構愛人に乗り気っつか慎太郎に気持ちありありじゃーん!復讐したいんじゃなかったの??もう全然分かりません…。でそれもこれも全部僕が悪いんだから!って功一が土下座してみんなに謝るんだけど今度は攻撃対象が功一に取って代わって慎太郎からは「お前は何やっても出来ないから(新聞屋で働く前はバイトでコンビニとか喫茶店とかで働いたこともあるんだけど接客苦手だし失敗ばっかりで長続きしなかったらすぃー…)ここで雇ってやってんだろっ!」とかって怒られるし「功一さんは紗登子さんのストーカー紛いのことしてた」とかって山里に暴露されるしずっとそうやってみんなに気持ち悪がられて勉強とか頑張っても上手く行かなくて新聞屋だってやりたくてやってるわけじゃない(ま、そうだよね。実家だし…)ってので家飛び出しちゃうのね。で小学校の「下校時間です。気を付けて帰りましょう」みたいな校内放送が流れて来たのに混じって「きゃーっ!!!」みたいなぢょし児童たちの叫び声とかが聞こえて来てどうやら功一が小学校に乱入して暴れてるらすぃー…。(黙)で帰って来た功一はパンツ一丁だしそりゃ完全に不審者だわな…。(滅)で結局明里に向かって美十里が「何で家?どこの家でもよかったんならもっと住宅街のとこ行ったらよかったじゃない?こんなとこ来なくてもよかったじゃない?あなたが来るよりずーっと前から壊れてたんだからっ!あなた、頭おかしいんじゃない?病院行けば?」って言うんだけど警察呼ばれるのは全然構わないけど病院送りだけは絶対に嫌だって言い張る明里。で山里が「この人、今日誕生日なんですって」ってことでみんなでとりあえずケーキ(つってもパウンドケーキ一欠片だけだけど…)運んで来てそれにロウソク立てて「はっぴば〜すでぇ ふっふぅ〜ん♪(下の名前が分からないから曖昧…。苦笑)」って歌って「はっぴばぁすでぇ でぃあもんすた〜♪はっぴばぁすでぇつぅ〜ゆぅ〜♪」って歌い終わったら夕刊が運び込まれて来て俄然忙しくなっちゃったもんだからまぁた明里放ったらかしで完全放置でみんな家の中入っちゃってカーテンまでしゃっ!って締められて1人外に取り残されちゃう…。結局のところ明里のテロは失敗に終わったのかもしれない。異物はやっぱりそこにはあるんだけどなかったフリして見過ごしちゃうのは簡単。そうやってこの人たちはいろんなことをずーっとなかったことにしてやって来たんだから。でも明里は完全敗北などしていない。きっと虚空を睨みつけて明日の方向に向かって自転車で軽やかに走り去る。今日の失敗は次に生かせばいいのだから。次はちゃんとやり遂げる。自分の思ったところにたどり着いてみせる。そんな力のこもった立ちこぎでありましたことよ。(ま、サドルは明里が最初に隠しちゃったから仕方ないんだけどさー。苦笑)

と。カテコはさらっと特に何も起こらなかったっす。楽日でもないから本谷ちゃんも来てなかったし。つか大阪にしてはあっさりんこと2回ぐらいで拍手終わっちゃったしね…。本谷ちゃんと言えば始まる前の諸注意アナウンスが本谷ちゃんの声だったんですけどマチネなのに「こんばんは。本谷有希子です」つってたぐらいだからこのバージョンしかないのだな。(苦笑)で「開演前に携帯電話の電源をお切り下さい」だか何だかの下りが上手く言えなくて「ちっ!」って舌打ちしてたのも2回とも変わりなかったんで同じの何回も流してるだけなのね…。たぶんあの上手く言えないのも計算っぽい感じだと思うんだけど。あ。今回席が遠過ぎて(おい)オペラグラスでガン見してたんですけど(え?)新聞屋さんの店内掲示板??みたいなのに貼ってあるメモ書きまでがっつり見えて(見過ぎ…)「新聞休刊日11月24日 次新聞休刊日12月22日」とか「(株)山崎(たぶん…)電話番号××-××××〜」とかいっぱいいろいろ貼ってあったよー。こまけぇなー。(感心)なかなか注目しては見ないとこだけど手抜き全然してないのね。すげ。あとパンフでタイトルについて本谷ちゃんが「これ以上のことはないみたいな感じで」って言ってたんだけどあたしはこれだけ言い過ぎちゃうと何かどっかウソっぽいなーって気がしたっつか。「幸せ最高ありがとうマジで!」の「マジで!」の部分がウソっぽい気がする。(え?)そこまで言っちゃうと全部なかったことになっちゃう気がする。「幸せ最高ありがとう!」までだったら感極まり感があるんだけど「マジで!」のダメ押しは何かちょっと違う。あたしの中ではね。「ありがとうマジで!」だけだったらそれはそれでアリだと思うけど続けるとやっぱりちょっと違うなー、と。でもこの話の場合誰も「幸せ最高ありがとうマジで!」な人はいないわけだしさー。そうなるための努力の過程の話なわけでもないし…。あぁでも本谷ちゃんって努力って言葉は半端なく嫌いそうだな。(苦笑)ま、気が向いたらまた大阪に来てね?ってことで。(は?)