89.「走れメルス〜少女の唇からはダイナマイト!」

主なキャスト:深津絵里・中村勘太郎・小西真奈美・河原雅彦・古田新太・松村武・腹筋善之介・野田秀樹・濱田マリ
作・演出:野田秀樹 舞台監督:瀬崎将孝
公演記録:2004.12.3〜2005.1.30@シアターコクーン(東京)
とにかくもうまちゃ(河原雅彦氏)が出てるんだったら脊髄で動くしかないっ!(って…。「青ひげ公の城」の時東京行かなかったじゃんよ。苦笑)えー…まぁこの場合深津っちゃん(深津絵里嬢)だの(中村)勘太郎くんだの新ちゃん(古田新太氏)だの野田(秀樹)さんだの観たい役者さんが勢揃いしてくれちゃってて行きたい要素が詰まりに詰まってたからなわけだけど。(笑)とにかくでも2ヶ月も公演してるわけだし平日昼間の公演だったらなんとかなるだろ、なーんて呑気に構えてたわけですが。先行の時点で敢え無く撃沈。一般は恐ろしいぐらいに取れる気がしないっつかとりあえず東京まで行くのに2階席だのBOX席だのだったら自力で取ったところで凹むなーなんてさもしいこと考えちゃって。そうだっ!こういう時のためにオークションがあるのよっ!(絶対間違ってるから)なわけでお値段は2倍ちょっと手前ってな感じのお高さでしたが1階 C列20番なんつー近い席だったら御の字だわ。(おい)それにお誕生日2日後なんつータイムリーな日程だしばっちりっ!(あんただけな)「ねぇねぇー。お誕生日祝いに東京行ってもいい?日帰りなんだけどさー」な申し出も意外とすんなり(もう呆れて笑うしかないってな感じだったみたいだけど)受け入れられて20代にさようなら30代よこんにちは日帰り東京観劇ツアー、サブタイトル「あたしもう子供じゃないのよ」ツアー敢行っすよ。(は?)もうその日のためにインフルエンザの予防注射も済ませ(は?)風邪にも充分過ぎるぐらい気をつけて気合で健康維持を乗り切り無事当日ですよ。ちょっぴり渋谷の駅前で迷子になりそうだったけどちゃぁーんと劇場にたどり着きましたよ、お母さん。(いいから)つか席近いじゃーん。(驚)6列目とは聞いてたけど半端なく近いったら、もうー。のっけからあのがらくただらけの町?のセットがせり上がっていく仕掛けにびっくし。なんかもうそれだけで東京来てよかったとか思っちゃう。(え?)それにそれにアイドルまちゃよー。きらきらっ☆まちゃとNODA・MAPの取り合わせにちょっと疑問も感じたりなんかしてたんですが。アイドルまちゃはもうまちゃでしかないっす。(笑)あぁあなたはそこにいるだけでアイドル。開きかけた花も恥らって蕾に逆戻りしそうな勢いのアイドル。(は?)ちょっとめいくは濃ゆいけどー。(おい)あぁまぎれもないあなたはアイドルー。(もういいってば)可愛いー。可愛いー。眩暈がするー。不整脈出ちゃうー。(それ病気)動機息切れ眩暈にえーいっ!救心持って来ーい。(え?)それぐらい可愛いってことですよ。(そうか?)で野田(秀樹)さんの女装はそれやっぱり反則技だって。(笑)飛び道具過ぎるっ!すげぇなー。こっちにも軽く眩暈な。(おい)話の内容は…これかんなり必死で観てたんですけど1回観たぐらいじゃ分かんないわな。(え?)こちら岸とあちら岸の場面がくるくると変わる訳ですが。うーん…。確かにあちら側の世界っていうのはそこかしこに口開けて待ち構えてるわけで。隣町から隣の県から川向こうから彼岸の果てまで。鏡の向こうって世界もあるわな。鏡の向こうには正反対に映し出す世界があるだけだなんて本当に信じられる?ひょっとしたら目を離した隙に鏡の向こうはがらりと表情を変えてこっちの世界を食っちまうかもしれないぜ?なーんてのが簡単に信じられそうな。芙蓉(深津絵里ちゃんの役どころ)って名前1つ取っても「不要」「扶養」「浮揚」いろんな意味がかけられてるのかも?なんて考え込んじゃうし。(苦笑)芙蓉の花ってあの大輪で匂い立つばかりに綺麗だってのは聞いたことがあるような気がするんですけれど。その深津っちゃんの声がいいー。何も知らずに無邪気であどけないかと思いきや一転女の声を出す。芙蓉はいつか白馬の王子様が自分を迎えにやって来るとでも思ってるのか?本当にそんなこと信じてるのか?そんな夢見る少女なのか?芙蓉はいつも嘘をつく。それがもう嘘なのかすらも本人に自覚はないのでは?でも嘘を1つついたらそれを補うためにまた嘘を重ねないといけない。そうやってどんどんどんどん嘘が積み重ねられて本当のところはどうだったかなんてもう本人にも分からない。信じてることすら嘘。本当は誰よりも冷静に知ってるのかもしれない。今回は言葉の掛け合わせって言うよりは聞き違えってのがキーワードなのかしらん?お砂糖に火をつけてその陽炎を思いっきり吸い込んだなら一瞬の仮死状態に陥ることが出来る、と。あぁ仮死状態ってのも夢の中ってのも1つの向こう岸の世界だよね。誰にも覗き見ることは出来ない。どんなに言葉を尽くして語ったところでその人がどんな夢を見て眠っていたのかなんてこれっぽっちも分かりやしない。どんなに親しくても例え恋人だったとしても計り知ることは出来ない。夢の中では他の人のことを想っているのかもしれないことも。メルス、メルス、どこにいる?どうしたら会える?「ぬしがしぬとぶかにするのめるす」到底解けない疑問系。でもその青春白書は真っ白だ。何も書かれてなどいない。芙蓉はそこに何を記す?何を刻む?何にでもなれる?何にもなれない?答えはどっちだ?どこにある?誰も教えてなどくれない。そこには自分の血で自分自身を刻み込むまでだ。そこに登場アイドル・メルス。憧れの対象。消耗品の対象。アイドルなんて中味のないただの偶像でしかないのだ、と。ファンの少女たちはアイドルを追いかけながら「そんなことは分かっている」と口走る。でも果たしてそうか?誰もがいつかはアイドルのファンから卒業する。そして誰かの妻になる。女の子は女になる。そう。昔はそうだったのかもしれない。ミーハーで黄色い声を上げていた女の子たちもいつかは妻になり母になるのが当然とされた時代。でも今は違う。アイドルはどうせいつかは自分の目の前から消えてなくなると分かっていながら次に新しいのが出て来たら平気でまたそれに乗り換える。古い物は愛されない。何時の時代も新しい物こそ全てだ、と。年取って使い物にならないのより若くて元気で新鮮なのがいい、と。でもって最近は何時までたっても追っかけ・ミーハーから抜け出せない人たちがたっくさんいるじゃないか。いつかはもてはやされなくなる日も来るのかもしれないけどとりあえず今は●ン様?(笑)いくつになっても自分は自分でいたい、と。誰々さんの奥さん、誰々ちゃんのお母さん、そんな所有名詞みたいな呼び方で呼ばれたくないと言い張る人の方が多いじゃない。それが今の時代ならそれも良しって言うことだ。あたしもきっと卒業なんか出来ない。好きなものは好き。そう言い続けたい。アイドルが消えてなくなるなんて知った顔して言えない。何時までも悪あがきしていたい。そんな自分が好き。(おい)

にしても舞台始まる前のSEのアイドルソングの数々に萌えるなー。懐かしいー。光GENJIに少年隊にC-C-Bですか。(笑)トシちゃん(田原俊彦氏)にひろみごぉー(何。郷ひろみ氏))に「イルカに乗った少年」ですよ。(城みちるさんだっつの。あ。リアルタイムじゃないけど「イルカに乗った〜♪」って歌詞が出て来たから結構すぐ分かった。苦笑)あたし、年取ったなー。(遠い目)で新ちゃんたらすぐ座り込むのよー。(笑←どういう繋がりだよ?)もうがぁーっ!と動き回った後は速攻座ってる。演出かもしれないけど。かなりさりげに。(笑)あの野田さんとの2人のシーンなんか最高に面白かったー。アニマル@新ちゃんと京子@野田さんみたいなのとか。「こういうのがやりたいんじゃないのよぉっ!」って…アドリブじゃないんだろうけどおかしい。それに(小西)真奈美ちゃん、顔ちっちゃっ!可愛いー。(まただよ。笑)零子(小西真奈美ちゃんの役どころ)は真正面からメルスに挑みかける。「鏡に映った自分を認めろ」と。これも自分。これがメルス。人間外ずらだけで生きてるんじゃない、と。でもメルスはどうやってもそれを自分だとは言えない。メルスはテレビカメラを通してでしか存在しない?少女の妄想の中でしか生きられない?そんなの悲しすぎるじゃないか。ファンはファンの自分の時間を生きてるのにアイドルには自分の時間すら存在しない?それも昔の話かもしれない。今のアイドルは等身大の自分を求められる場合がある。それですら作り物なわけだけれどなんだか近しい存在、友達みたいな感覚、どこにでもいるけどどこにでもいないそんな存在。ナルキッソスは鏡に向かってうっとり微笑みかけたぐらいなのに。自分しか愛せないと口走る奴なのに。メルス、メルス、どうして出来ない?自分は嘘で塗り固められてることを知っているから?そんな自分は認められないから?ならメルスはどこにいる?本当のメルスはどこにいる?やっぱりどこにもいないのか?そしてそんなどこにもいないメルスにスルメ(中村勘太郎くんの役どころ)は嫉妬する。自分の裏返し、鏡に映った自分かもしれないのに。なれたかもしれない自分、未来の自分の姿かもしれないのに。そうしてスルメは火を放つ。お砂糖にをお里にと聞き間違えて。火がついたのはスルメの心の方だったかも。じりじりと焼け焦げて無に還ればいいけれどいつまでもその火は燻ったままだ。それにしてもどんどん勘太郎くんの演技がよくなるんだなー、これが。最後たたみかけるような芙蓉とのやり取りなんかもう鳥肌モノだわ。きっと見据えたそのまなざしにきゅんとくる。そういう表情に「あぁやっぱりこの人は歌舞伎役者なんだなー」なんて思ったりする。あたしは歌舞伎を観たことがないしどういう演目があるのかすらも知らないけど(苦笑)なんだかやっぱり勘太郎くんの演技には歌舞伎が脈々と息づいてる気がしてならない。それがいいとか悪いとかじゃなく。血なんだなー。さらっと体に馴染んでる。そういうのを目の前で見ちゃうともうホント凄いなとしか言えない。単純だけど。ってこんなの分かったつもりになってるだけでこれっぽっちも分かってないんだろうなー。(苦笑)だってすんごい難しいんだもーん。観てる間はさぁーっぱり分かんなかったですもん。(黙)これ以上ゆっくり考えたところでこれ以上のもんは出て来ないだろなってのでこのレビューです。(笑)だって後ろに座ってた人たちだって「分かんない」って言ってたもん。(いばるな)あぁでも出来ることならもう1回観たいー。1月入ってもう1回観たいー。ってもう日帰り強行観劇ツアーなんてもうしたくないけど。(爆)あんなに体力萎えるとは思わなかった。(黙)疲れ過ぎ。つか普段いかに動いてないかってのがよぉく分かるぐらいにひ弱だな、あたし。(苦笑)ま、もう1回観たからって分かるもんじゃないだろうけど。(笑)あぁでもメルスに会いたいー。メルス愛してるぅぅぅぅぅぅぅっ!!!!!!でも願わくばお歌歌って欲しかったな。(え?)ってどんどん趣旨から離れて行きそうなのでこの辺で。(こほっ)つか年内見納めがこの舞台だったんですねい。でもこれで締めでよかったなー、と。来年もたくさんいいお芝居が観れますようにー。(祈)