1047.「題名のないオドリ」

主なキャスト:田中泯
公演記録:2020.1.23~26@THEATRE E9 KYOTO(京都)
もう何年ぐらい前だろ??誰と出ておったかも忘れてしまったぐらいなんだけれども(苦笑)田中泯さんが父親役でしかもちょっと病気??ボケてて??喋れなくなっておってそれで車椅子に乗ってて海辺で…みたいなのをぶっこんだらば「リスクの神様」でつつみん(堤真一氏)の父親役で4、5年前のんだそうで。そこから「すっごい人がいる…!」と思っていろいろ観ておったんだけれどもどうやら踊る人なんだっつーことが分かって一度観てみたい…!生で…!と思っておったらここの劇場で年明けみたいなのを見て「ぜってぇチケット取る…!」と思って張り込んでおった次第。(え)無事チケットもげっとして当日ぎりっぎりの到着だったため整理番号は21番。(豊橋→京都の梯子観劇だったもんで←)桟敷席で2時間は辛いなー…と思って椅子席1列目の下手側に陣取りー。ステージには椅子が1つっきり置かれておって天井からはレースカーテンみたいなのがいぱーいドレープ掛かって吊るされてますた。いきなりと真っ暗な中を薄明りに照らされてしかもカーテンの裏側で「…幻??(おぶおぶ)」な(田中)泯さん登場ー。…ってか音響も最小限だし静かーな中を隣の人の呼吸音の高さったらない…!(どーんっ!)あたしは通年鼻炎(黙)なのでほぼほぼ口呼吸なので鼻から吸って吐くとかが出来ないので「すーはー…」言わないんだけども(え)まっぢで寝てるんかっ??!!(わなわな)と思うぐらいにすーはー五月蠅い!!!(どっかぁーんっ!)お泊りに行くと眠れなくなるので隣で寝てる人の呼吸音に乱されてそぉー…っと濡れタオルを…(おい)とか思ってしまったりするんだけれども(自分が寝られないもんだから余計にムカつく←)それぐらいにイラっと来る…!その隣に奥さん??だかが座っておったかと思うんだけれども口塞いでやろうとか思わないのか??(おい)…とのっけから隣の人の呼吸音に気を取られつつ泯さんですよ!(だから)最初はラジオの音??みたいなのが通低音として聞こえておってその中を靴音をきゅっきゅっ!言わせながら踊る泯さん。迫力…っつーのかな??やぱーり生に勝るモノはないっつか。椅子もまっすぐ座れるヤツじゃなくてちょっと傾いておるっつーのか凭れ掛かるとみしみし言ってかしぐのん。たまーに呆けたやうな顔でもって天を仰ぐ泯さんなんだけれども踏ん張る足の筋肉とか半端ないし鍛えてるんだなー…(感心)っつかふっつーに踊ってるだけで筋力がふっつーの人たちとは違って来るっつか敢えて「鍛える!」って構えなくてもそうなっちゃうんだろね。途中から飛行機の飛ぶ音??みたいなのに変わって行っておってラジオの音だと思っておったけれどももしかしたらば無線??で誰かがパイロットに命令したりしてる声だったのやも??と思う。戦争を意識したオドリなのかどうなのかはわっかんないけれどもあたしはそゆ風に捉えておってだから意図しないで戦場に送り込まれたパイロットとそれを見送る母親??みたいな感じでもって「こんなはずじゃなかった…!」感っつーのか何っつーか…。悲痛な叫びみたいなのが聞こえて来そうな面持ちに引きずり込まれそうになったりとか。特にストーリー性があるわけでもなく「こういうことを表現してますよ」ってな言葉もないわけなので人それぞれ捉え方は違うと思うんだけれどもたまったまあたしはそゆ風に受け取ったっつか。たまーにちょっと音楽めいたモノが流れたりする時は隣の音(だから)も気にならなかったんだけれどもちょっとなー…。(滅)演技して台詞を言っておる時の泯さんも素敵でかこよすなんだけれども踊ってる泯さんもまた違った色気っつか今流行りのごっちゃり盛った「筋肉男子」とは全くもって違うんだけれども(さほど筋肉には興味がない←)それでもすっごく発達した身体っつーのかそこもまた凄い…!年齢が年齢なので(おい)フジコ・ヘミングさんも「観れる間に観ておかなくちゃ…!」なとこがあるんだけれども(苦笑)泯さんもちょっとした絶滅危惧種(おい)に引っ掛かっておってだから急いで観たい…!と思って取ったんだけれども行ってよかったー。1時間半程度で終わってすっと引っ込む泯さん。

踊り終わって客電が点いてそのまんまな恰好で出て来た泯さん。マイクを片手に持っておられて「どうも。田中泯です」つてまずはご挨拶をば。「さっきまでそこで踊っておった人はもうどこかにいなくなってしまいました。今は普通の…と言うかいつもの田中泯です」だそうでつ。…と喋り掛けてはくれるんだけれどもどうにも生声っぽい??と思っておったらばスタッフさんからも「マイク電源付いてます??」とのこと。「青いの付いてるけど??」つて泯さんが言って「じゃもっと近付けて喋って下さい!」つて言われてやってみるんだけれどもどうにもマイクの調子が悪いのか俄然生声www「あのー…聞こえてます??(客:「聞こえまーす!」)…じゃこのままでいいですか??(おぶおぶ)」ってなことでマイク通さずダイレクトに喋ってくれる泯さん。とりま椅子に腰掛けてとりとめなくいろいろと。「いやー…こうやって喋ってる時は分かりやすい言葉で丁寧にちゃんと説明して相手に出来るだけ分かって貰えるようにして喋ってるつもりなんですけど…「踊る」ってのはそのぉー…言葉にならない「言葉」を伝えると言うかー…「言葉」になる前の「言葉」を発していると言うかー…人間が言葉を喋る前はそういうことばっかりでしたからね。だからこういうの(盆踊りみたいな動き)とかこういうの(そのまま天を仰いだりする恰好)とかになるんですけど。(苦笑)そういう気持ちでいつも踊ってるんです。だからあんまり大きなところで人がたくさんいて頭の先しか見えないと言うよりもこういう小さいところで…って小さいっつったら失礼かもしれませんけど。(苦笑)でも後ろまでよく観えるところでホントは皮膚の動き1つ1つもよく見えてて欲しいと言うかー…それをお客さんと共有出来ればいいなー…、何かそういう空気の波動??みたいなのが伝わればいいなー…と思ってます。…でも今日は思ってたのと随分と違うと言うか…(苦笑)…や、ちゃんと練習もしてるんですけど音響さんも照明さんも「違うじゃねぇか!」って思ってると思うんですけど(苦笑)いろいろとその場で出て来たモノをそのまま形にしてるわけですから…ぜんっぜんっ!違うモノになってしまったなー…と。(苦笑)でもほんっとにこういうところが出来てよかったと思います。「いいな!」と思ってそれで来ようと思ったんですから。京都は1975年に状況劇場に呼ばれて(んー…劇団名とか違ったらすんません…!←)京都大学の西部講堂なんかで踊って…それからちょくちょく来るようになったんですけど。ほんっとはこんなに長いことやらなくても3秒のオドリとか1分のオドリとかあっていいと思うんです。いつか3秒のオドリでさっとやって帰れたらいいなー…と思います。誰の目にも止まらないかもしれませんが…。(苦笑)でも昔はよく路上でこういう人を見掛けた気がしますが…今はあんまり見ないと言うかー…でもたまー…に見掛けて嬉しくなったりします」ってなことを。

あとはー…「いつからか外国に出て行って踊るようになってそれで裸で踊ってたんですけど。そうしたらいっぱい人が集って来る…!何か国目かのところで向こうの人に「ミン!ミン!これを何年か続けてたらものすっごい金が稼げるぞ!」って言われて止めました。前はそやって裸で踊っててその次は皮膚の動きが分かる雨合羽、その次は亡くなったオヤジのジャケットを着て踊ってましたね。それだから着るモノには頓着してないんです。今は知り合いの誉田屋源兵衛の着物を着て踊ってますけど。で上は映画で着ることになってたんですけど使わなかったので「ちょうだい」っつって貰って来たのを使わせて貰ってますwww(ちょっとマタギっぽい袖なしの黒の毛皮っぽいのん)今は何かと五月蠅いですから裸で踊ってたらすぐ通報されちゃったりしてねwww「おまわりさーん!あそこに裸で踊ってる人がいまーす!」みたいなwwwだからかんったんには出来なくなりましたねぇ…。(黙)」みたいなことを喋ってくれてますた。「僕、脱線の名人なんで…。(苦笑)喋ってるうちにどんどん違う方向へ行っちゃうんですけど。(え)アフタートークって何喋ったらいいか分かんないんですよねー…。(苦笑)質問とかありますか??なければこれで終わりますけど??」つて言っておったらば前の桟敷列の人たちから手が。

まずは下手側から4番目??の男の人から。「僕、35年前に早稲田の講堂で田中泯さんが踊っておられるのを観たことがあるんですけど。それで35年前と今とで何か違うモノとかありますか??」ってな質問をば。まずもって結論からすると「全く違いません!」とのこと。「…や、細胞は毎日毎日生まれ変わって行ってどんどん新しくなってるとそういうのはありますけども中身はぜんっぜんっ!変わってないです。「これが田中泯のオドリだ!」ってのがあったらまた別ですけどないです。日々出て来るモノを形にしてるだけで「これだ!」ってのは決まってないですし…。この肉体を出て行けたらいいですけど僕はこの「田中泯」って言うこの器から出ることは出来ませんしずっとこれでやって行くので変わりようがありません。でも最近こうやって「何年前に早稲田大学で観ました!」とか言ってくれる人がたくさんいて嬉しいです。まだずっと観てくれてる人がいるんだなー…と」ってなことでだーいぶ省略したかもしれませんけど(おい)随分と哲学的っつか精神論的??なことまで喋ってくれてすごくすごーく遠いところまで行って帰って来た…!みたいな気がしましたでつ、ハイ。(え)次は真ん中辺りのおなのこから「客席はどれぐらい見えてるんですか??」な質問をば。まぁ今は客電も点いておるので後ろの方までよぉーっく見えておるけれどもぶっちゃけ踊っておる時に見えてるのは最前とその後ろの席ぐらいまでー…ってなことで「3列目ぐらいまでですかねい??」とのこと。そうして今は対面で話してくれておるので「アナタに目線を合わせて喋ろうとは思ってるけれどもそれでも周り10人ぐらいは「目が合ってる…!」と思ってると思いますよ」と。だからアイドルなんかの子が「わぁーっ!」って手を振ったらばみーんな「あたしに手振ってる…!」つて思い込み??激しくなるけれどもまぁこやって話しておるだけでもその辺り何人かは「見られてる」っつー感覚でいますよ、ってな話。

3番目はそこから5人か6人ほど上手側に行ったところの男の子から「踊ってる時には何を一番考えてらっしゃいましたか??」ってなことで。「んー…そのことばっかりを考えてたわけではないんですけど…。京都は太秦撮影所で映画の撮影で来たことがあって「あー…あの時はあーだったなー…」とかそんなことがふっと頭に浮かんで来てそれが頭に残ってますねwww最近はよく僕みたいなのでも興味を持って頂いてそれでナレーションだとかいろんな仕事が舞い込んで来て「やれ!」って言われるので必死にやるんですけど(苦笑)その時は1人の人しか演じることが出来なくて…って当たり前ですけどその1人の役になり切ると言うか…そうなんですけど。踊ってる時はもっといろんな人がこの体を出入りしていると言うか…その(伸ばした)手の先を通り過ぎて行く人とかもいてそれで表情なんかも踊ってる時には普段やったことないやうな顔になってると思うんですけどそれが口元辺りからわぁーっと入って来て顔の表情を形作って行くと言うのか…だから「…あれ??この人、どこかで観たことある…??」って人も中にはいると思うんですけどそういう人がもしいたら嬉しいですよね」ってなことで。最後2番目のおなのこの1つ空けて上手側に隣のおなのこから。「これを読んでおくといいよみたいなおススメの本とかあれば教えて下さい」みたいなことだったんだけれども泯さんの場合はたっくさん本は読んでおるけれどもそれがぜぇーんぶ同時進行っつか何冊もカバンの中に入れておってそれをちょっとずつ読んでおったりするので誰がどの本でどういうことを言っておったか??みたいなことはぜんっぜんっ!覚えてなくてそれだからそゆのは一切覚えてないっつかおススメ!みたいなのはないとのこと。…っつーのも「この人はこういう人だよね」って決め付けちゃったらそこでシャッターがらがら~っつかそこでストップしてしまってその人はそこから先もずっと日々進化を続けておってもっともっといろんな顔があるかもしれないのに「こういう人」って決め付けた途端にそれで終わっちゃって「…あ!「分類」が苦手なんだ…!(きらーん)」と「そうだ!そうだ!そうだった…!」とやぁーっと解決が付いた!な表情をされて語り始める泯さん。(え)とにかくもう「分類」っつーのが苦手で泯さんだったって「明日の自分」ってのはどうなってるか分からないわけで毎日毎日新しい自分っつかどうにかこうにか見当を付けて「こんな感じ」みたいなのでやってけないことはないけれどもどうにも手探りで1秒1秒その先がどうなってるか分からないところに飛び込んで行くわけでしょう??と。だからなーんとなくむかーし誰かがこんなことを言っておったってなことを我が物顔で??取り込んで知った風には言えるけれども果たしてそれが誰のどこでどういう風に言っておった言葉なのかは覚えてなくて(苦笑)「覚えるってことが苦手なんですね…(苦笑)」っつっておられますた。(えー)「こんな感じのことでいいですか??」ってなところで終了ー。あとはー…どこで言っておったか忘れちゃったんだけれども(え)「ダンスは芸術と呼ばれてますけどそんないいモノではないです」って話。いろいろ難しい話になっちゃってたのでかい摘まんだ解釈で申し訳ないんだけれども「オドリ」ってのは太古のむかーしまだ人間が「言葉」を喋る前から作物が実ったっつっては踊り、作物が実らないから雨を降らせよう!っつーのでは踊り…で喜んだり悲しんだり怒ったりみたいなのをぜぇーんぶ「オドリ」に込めて来た、と。だから今みたく「ダンスは芸術だ」ってのはおこがましいと言うかちょっと違う、と。だけれども自分にはオドリの師匠みたいな人がいて「あーいう風になりたい…!」「あんな風に踊りたい…!」と思ってまだまだそれには近付けなくて毎日毎日練習、練習…で「踊りたくないなー…」と思って辞めちゃったらそれまでっつかそゆ風に「踊りたくない」と思ってた時もあったんだけれどもすぐに体がなまっちゃうっつか。それでまたすぐ「踊りたい…!」ってなってそれがもうずーっと続いてる状態っつか「今度はこういう風にしてみよう!」とかどんどんオドリのアイデアが浮かんで来るっつか。あともっと後ろの方の人まで足元まで見えるやうなのが理想なので次ここでやる時には八百屋(「八百屋ってのは八百屋さんの店先に野菜が並んでるのを見やすくするのにちょっと坂になってるのを例えてそう呼ぶんですね」つて説明してくれてた)にして足元までよく見えるようにしたらいいと思うんですね!なことをおっさってますた。今日はダンスシューズを履いて踊ったのできゅっきゅっ!って音が鳴ってたけれども「これはこれで合ってましたね」なこととか。今またもうすぐ映画の撮影もあるので…ってなことで「また覚える作業が…(黙)」なことをおっさってたんだっけか??(苦笑)終わったらもうさっと捌けて帰って行かれますた。