84.「ピローマン」
主なキャスト:高橋克実・山崎一・近藤芳正・中山祐一朗 作:マーティン・マクドナー 訳:目黒条 演出:長塚圭史 舞台監督:菅野將機 公演記録:2004.11.27@シアター・ドラマシティ(大阪) |
大阪は1回限りの公演ってことで取れるかどうかちょっとドキドキしながら待ってましたが無事チケットが届いてくれてよかったですーん。(ほっ)前回の「ウィー・トーマス」(観劇日記No.53参照)みたくどろぬちゃ系なのかと思ってましたが今回はそんなこともなく。なんとなーく童話作家っていう展開が「人間風車」(観劇日記No.38参照)を彷彿とさせるものがありましたが。でも「人間風車」のサムはものすごーくそれこそ純真に童話の住人になることをすんなり受け入れた汚れなき魂の持ち主としての人格がメインになってましたが今回のミハイル(山崎一さんの役どころ)は童話の住人になることを選んだっていうよりは選ばざるを得なかったんじゃないのかなー?と思う。じゃないと自分の存在価値が失われてしまうしそれこそこの世に生きてる意味さえ無くなってしまう。物語はフィクションの世界なんかじゃない。ノンフィクションじゃないと困る。「ある作家の兄弟」の話(でしたっけ?)の結末を書き換えることに執着するぐらい物語こそが彼が生きた証になり得るものだからそれは本当のことじゃないといけなかったんだよね。でも童話なんて結構元は残酷なものだったりするじゃないですか?一時本当のグリム童話って本がちょっと流行ったりしたけど「シンデレラ」に出てくる女たちはガラスの靴に自分の足のサイズを合わすためにかかとを切り落としただとかいじめた継母とその子供たちはどえらい拷問にあったとか敢えて後世に伝えられた童話の中では残ってないけど原作はそうだったっていうし。大体子供って生きてること自体残酷だったりするじゃないですか?傷つくことだって平気で言うし(まぁそれが傷つける言葉だってことを知らないってのもあるけど)そのあり余るパワーに振り回されて周りはへとへとになっちゃったりするし。第一にあたしが子供があんまり好きじゃないってのもあると思うんですが(苦笑)でも子供だからみんながみんな純真で可愛いなんて究極には思えない。でもちいちゃい時はホント絵本が大好きで寝る前だとかなんだとか構わずもう大人の後ろを付いて回って「読んで読んでー」ってせがんでたとか。で何回も同じ話を聞かされてるうちに暗記しちゃって「読んで聞かせてくれたりしたんだよー」とか目細めて言われたりしたもんですよ。覚えてないけど。(当たり前)なんかでも「ピローマン」で連想するんですが絵本ってどうも寝る前に読む本って感じが強いですよね。(笑)それより何よりカトゥリアン(高橋克実さんの役どころ)が言うように深読みなんてしなくていいんだろうし解釈なんてしなくていいと思うんですが。枕ってこうバクみたいにいい夢も悪い夢も自分と一緒に受け止めてくれる存在だなーと。バクは伝説上悪い夢は食べてくれるとされてますが枕はそういうわけにはいかないし。(苦笑)でも怖い夢を見てうなされてる自分も悲しい夢を見て涙する自分もつい夢の中なのに大きな声出しちゃって現実世界で寝言言っちゃってる自分もみーんな知られてるわけだよなーなんて。あたし、枕が変わると寝られない人なんですよね。(苦笑)旅行先はもちろんのこと家でも新しい枕になると慣れるまでは寝られない。(笑)かと言って旅行先にまで家の枕を持って行くわけにはいかないのでとにかく1日目は寝られないまま夜を過ごすわけですよ。安定剤飲んでみたって浅い眠りしか訪れてくれないし。隣の部屋のドアが開いたり閉まったりするだけで気になるし救急車だのが通り過ぎればすぐ気づくし。家でだったらちょっとぐらいの地震だったらそのまま起きないで爆睡してる自分とは全然違う。(それもどうか?)家でだったら野生を失ってます。(おい)一緒に泊まってる人がいればもうその人が立てる寝息ですらうっとおしいぐらい。(爆)もう眠れない自分がうらめしくて「ねぇねぇー。寝られないんだけどー」とか言って起こしてやろうかとまで思いますもん。(おやめなさい)それでやっと明け方疲れ切った状態でうとうとしたと思ったらもうやれ朝ご飯だチェックアウトだって落ち着くヒマもありゃしない。(黙)長い旅行になれば3日目ぐらいからようやく寝れる(それは2日も続けてほぼ完徹に近い状態で起きてるから機能停止になって寝れるだけ)んですが超不機嫌です。(おい)なので自分の健康にもよくないし相手にも迷惑かけまくりになるので極力旅行ってものには行かないことにしてるんですが。(苦笑)と。話が逸れましたが。でも枕って慣れた枕はホントもう安らぎの場っていうかね。あたしってば万年アレルギー性鼻炎みたく寝てる時上手く鼻で息が出来てないと思うんですが(それかお口のパッキンが緩すぎ。苦笑)うつぶせ寝でよだれだーだーこぼしながら寝てるんですよ。(恥)だから慣れた枕っていうよりもうマーキング?(爆)それがないと寝れない。(おい)でその枕は永遠の眠りさえ約束してくれるアイテムだった、と。でもそれって残酷なこと?作家とか物を生み出す職業の人ってホントに大変だと思うんですよね。もちろん生まれながらの天才的才能とかもあるんだろうけどこう誰かがその芸術性みたいなものを補充し続けてくれればーってのはあると思うんですよね。もちろんお父さんとお母さんのやり方は間違ってたし方向性としては最悪だけどでもそれが原因で殺されてしまったお父さんとお母さんってのはそれすら作家の経験になりはしなかったのか?もちろんありのまま罪を告白するような物語を書くのはまずいから「ある作家の兄弟」みたいな結末にしたわけだけどでもカトゥリアンにとっては全て物語=物作りに生かされてるわけだよね。そうでないと死ぬ前に考えた7と4分の3の物語は辻褄が合わない。だって彼にとったらお父さんもお母さんも兄さんですら物語の素材なわけだから。だから彼が一番大切なのは物語そのものだったわけだ。生み出された文章以外は認めない。あたしなら物語を考え出したのは自分なわけだから物語は焼いて失われたとしても自分の脳さえあればまた新しい物語が作れるって考えるし自分だけはどうにかして生き残る道を選ぶと思う。だってその物語のプロットは全部刻み込まれてるはずだもの。文章なんか焼かれたって平気。(平気とまではいかないかもしれないけど)でもカトゥリアンには作品が全てだった。だからそれが美しくて余計に悲しい。 にしても3時間半ですよ。(驚)でも全然気にならなかった。翻訳物苦手なのに。(笑)とにかくもう出ずっぱりの高橋さんに完敗。半端ない。それにミハイルとのやり取りが素敵。あの牢屋の中でそっと頭をなでながらお話してあげるシーンがとにかくもう好き。なんか宗教画にでもなりそうなぐらい静謐。でもオシの少女は何故殺されなかったのか?兄さんの気まぐれ?(まさかね)あと虐待された子供は大人になって虐待するようになる傾向が強いってのが繰り返しエピソードとして出て来てましたが。まぁみんながみんなそうなるとは限らないけどそうなりやすいってのはあると思う。そういう愛し方しかしらないから。子供は大人の背中を見て育つとはよく言ったもんで殴ったり叩いたりすることでしか感情を吐き出せないんだと思う。ちゃんと必要な時に必要なだけ愛されなかったから。あー…あと「三つの晒し台がある十字路の話」でしたっけ?あれって最後まで殺人犯とレイプ犯ともうひとりの罪状は結局のところなんだったか?が非常に気になるところですが。物語全編を観て思うに「物書き」だったんじゃないのかなー?なんて。作家ってのは物語の中で人を殺してみたりレイプしてみたりありとあらゆる罪状を犯してるわけだけど実際に手を下したわけじゃないから捕まることはない、と。(当たり前)でもきっと「物書き」が捕まったらみんなああいう態度を取るんじゃないのかなーなんて。「新聞記者」とか「ルポライター」ってのも考えたんだけど。それよりやっぱり「物書き」かなーと。自分に似たような境遇の話を書かれたら「この主人公こそ自分だっ!」と思って怒鳴り込んでくる人とかもいるし。想像力ってのは必要だけどもっとも邪悪なものなのかもしれない。だから彼は作品よりも自分の方を差し出したのかも?もしかしたらこれ以上自分が作品を生み出すことよりも今ある作品の方の大切さの方を選んだのか?だったとしたら緩慢な自殺なのかもしれないなー。でもアリエル(中山祐一朗さんの役どころ)とトゥポルスキ(近藤芳正さんの役どころ)も秀逸だよね。最初は犯罪者に人格なんて必要ないと思ってたのはアリエルの方だと思ってたんだけど。トゥポルスキの方が最終的にはその思いが強かったのかもしれない。犯罪者と交わした約束なんか守るべき義務なんてこれっぽっちもないし犯罪者なんか自分より下の存在で今ここで自分が撃ち殺したところで誰も困るやつなんかいない、と。でもアリエルは違った。犯罪者でもちゃんと話が通じれば人格を与えてもいいし約束だって守って当たり前だと思ってる。だから「年を取って子供からキャンディーのご褒美が貰いたい」なんていい話が出来るんだよね。(笑)かくして物語は守られた。予想とは全く違った展開で。でもダークなままで終わらなくてよかった。(ほっ)ほんのちょっと救われた…かな?(おい)で。今回席は13列 36番。が。隣に座ってたお兄さん爆睡しまくってましたよ。(黙)それこそ寝息がうるさーい。(爆)たまにわざとに足蹴ってやったんですけど気づいてたかどうか。(おい)で。で。で。(うるさい)今回休憩ちう余りに座りっぱなしになるんでロビーに出てたんですよ。別にすることはなかったですが。(おい)で休憩が終わる時ブザーが鳴るじゃないですか。それで「席帰るかー」っててこてこ歩き始めてすぐですよっ!(長塚)圭史くんとまともにすれ違ったのー。(嬉)ホント真正面からに近い距離で。「…あ」って素で思っちゃったよ。(苦笑)思わずホントに「あ」って声が出そうなぐらい。(出さなかったけど)ぐるーっ!って振り向いて「握手してくださいっ!」って言おうかなー?とも思ったんですが。すれ違った時全然目合ってなかったしちょっと話しかけずらいオーラ出てたし(顔真顔だったもん。って普通ににへらって笑いながら歩いて来られた日にゃぁちょっと変だけど。←おい)どっちにしろカーテンコールの時には客席からステージ上がったりするんじゃないのー?とか思ってたわけですよ。浅はかにも。そのおかげで後半最初ちょっと上の空だったくせに。(爆)が。上がって来なかったのーん。(黙)つかシンプルに挨拶すらなかった。(どよん)まぁあの場合あのカーテンコールの方がさらっとしてて合ってると思いますけどもー。(涙)うわーん。こんなことならあの時頑張って声かけとけばよかったのーん。終わった後急いで出てみたんですがもちろんロビーに圭史くんの姿はなかったですよ。(当たり前)普段は役で出てるからなかなか素でロビーで会うことなんてないのにー。つか次こんなことあるのいつー?(聞くな)あぁ…こうしてあたしはまたも運命の恋を逃したわけね。(言ってろ)いつかきっとー。正面衝突で出会いますようにー。(おい) |