5.「身毒丸

主なキャスト:武田真治・白石加代子
原作:寺山修司 脚本:岸田理生 演出:蜷川幸雄 舞台監督:明石伸一
公演記録:1995.12.13〜24@近鉄劇場(大阪)

あらすじ>>
*劇場に入ると、舞台にはなにもない。暗くなると、音楽が入り、かすかな明かりの中、舞台の後方からゆっくりとさまざまな人々が、まるで群れるように姿を現わす。そのくすんだ人ごみの中を、身毒丸がさまよっている。
*身毒丸の父親は、彼を連れて母を売る店に行き、そこでかつて旅芸人をしていた撫子という女を買い求める。身毒丸と撫子、その宿命の出会い。
*家に入った撫子とその連れ子のせんさく、そこでお互いがいい夫、いい妻、いい母、いい子供を演じている。しかしその役割に抵抗を感じる身毒丸。
*下着を洗っている身毒丸に、洗濯は自分にやらせてくれと撫子は申し入れるが、身毒丸は冷たく拒絶する。また年とった夫も彼女に按摩だけさせてさっさと寝てしまう。自分は結局、母親の置物としてこの家に買われてきただけなのだと嘆く撫子、その時、上半身が裸の身毒丸の姿が目に入る。
*自分だけがのけ物にされたように思い、母札を抱えて、家族あわせの遊びから一人こっそりと抜け出す身毒丸。そしてその母札を夜空に向かって投げ捨てる。一方、いなくなった身毒丸を探す撫子。
*親しげに話しかける撫子に、髪切虫を差しだし、お前の髪を食べさせると挑発する身毒丸。身毒丸は撫子が現れて以来、心の平安はなくなってしまった。そして身毒丸はその気持ちのはけ口を撫子へとぶつけ、彼女をどんどん追い詰めていく。たまらなくなった撫子は、身毒丸の尻をぶつ。遠くで学校唱歌が聞える。
*継母の元から逃げ出した身毒丸は、不思議な仮面売りに会う。仮面売りは持ち歩ける穴を取り出して、その穴があればどこへでも好きなところへ行けると教える。身毒丸はその穴を借りて、死んだ母に会うべく地下の世界に入っていく。
*さまよう身毒丸をたくさんの母親が取り巻き、手をつないで輪になっていく。そして目をあけると継母の撫子が立っている。けたたましく笑う撫子。一瞬にしてその場が地獄と化し、身毒丸は髪切虫を呼ぶ。髪切虫が現われて悪夢はきえる。
*相変わらず身毒丸は撫子を拒絶したままである。実は男と女としてひかれあっている二人。しかし家という制約の中では、母と子という役割が二人を縛りつけている。撫子は身毒丸の心から死んだ母親の面影を消してしまいたいという思いで、写真をごしごしと磨く。そこへ身毒丸が帰ってきて、写真を取り返すと写真の母親の顔が消えていた。激怒し、撫子の頬を平手打ちする身毒丸。
*父親が身毒丸が義理の母にとった行為について叱っている。そして撫子を母親として受け入れるように命令するが、身毒丸はそれを拒絶して家を飛び出す。現実では反目する二人だが、イメージの中では二人はゆっくりと近づきしっかりと抱きあう。
*自分の思い通りにならない身毒丸、このまま二人が家に居続けると地獄になる。身毒丸を家から放逐することを決意する撫子。そこへ身毒丸が死んだ母親を探して現われる。暗闇の中、身毒丸は撫子を生みの母と間違えて、抱きしめる。撫子、思いの遂げられない身毒丸を暗闇の中で抱きしめる。その時、身毒丸は撫子に気がつく。撫子は意を決し身毒丸に呪いをかける。呪いにのたうち、苦しむ身毒丸。そしてやがて動かなくなる。盲目になった身毒丸、ゆっくりとその場から消えていく。
*身毒丸がいなくなって静かな生活が続いている家族。その中で撫子にはゆっくりと狂気が忍び込んでいる。一方、地の果てをさまよっていた身毒丸が帰ってくる。彼はまずせんさくを殺す。その時、かつて撫子がいた見世物小屋の世界が生々しくよみがえる。
*ちぢんでしまった父親が侏儒車に乗せられて現われる。それと同時に認印たちが現われ、歌を歌う。
*家が崩壊して、二人はやっと一人の男と女として向き合った。お互いに汚れけがれることで、やっとお互いを受け入れることが出来るようになったのだ。身毒丸は撫子にもう一度ニンシンしてくれと叫び、撫子はもういちど、もうにど、もうさんど、できることなら、お前を産みたい、にんしんしたいと応える。家をなくし、顔をなくし、名前をなくし、忘れられるために出ていく二人。街の雑踏の中、巡礼の鈴の音をひびかせながら、消えていく。

もう武田真治なんだから観に行くっきゃないでしょ??て感じで(笑)。しかも12月と言えばお誕生日月っ!!!必死で自分の誕生日に観に行けるよーに頑張っちゃったよぉ〜!!!藤原竜也くんが引き継いでやったけど、絶対っ!!真治の方がいいって〜><!!!(贔屓目だ、それは……)11列目の右側真ん中ぐらいの席で(ってもお芝居用のホールだから席の間隔が狭くて、結構前の方だったと思う)、もう終始陶酔モードであったよ(笑)。もうねぇ、無駄なお肉がついてないわけさぁ〜!!神経質そーな役ってーのもあったけど、「大丈夫??ちゃんと食べてるの???(←大きなお世話だ・苦笑)」てぐらい痩せてるぅ〜!!!白石(加代子)さんのふくよかさ(失礼っ!)の横だから余計にそう見えるのかもなんだけど……。

それに、蜷川幸雄が演出てことでものすごく興味があったし。大学で「演劇学・文芸学」って授業があって1限にも関わらず趣味だけで全出席したわけさ(先生もやる気なさ過ぎだったけど。よく休講出してたし)。それで「NINAGAWAマクベス」のビデオ観て感動しちゃってね〜。もう何もかもがよかったっ><!!!ぴんて張り詰めてる空気とその一体感。瞬きひとつにも魂入ってるなぁ〜!て感じで。終わった後に挨拶に出てくるでしょ??あの時に真治がホントにこっ!てしてて、素直に「あー、よかったなぁ〜!!!」て思えたお芝居。もう1回千秋楽とかに観に行きたかったなぁっ!!!惜しいっ!!!

 

 

6.「ロミオとジュリエット」

主なキャスト:大沢たかお・佐藤藍子
原作:シェークスピア 翻訳:松岡和子 演出・芸術監督:蜷川幸雄 舞台監督:鈴木政憲
公演記録:1998.2.13〜22@シアター・ドラマシティ(大阪)
あらすじ>>
第一幕:花の都ヴェローナ。キャピュレット家とモンタギュー家は互いに権勢を誇って一歩も譲らず、今日も、両家の若者が町中を巻き込む騒乱を起こしていた。裁定に入ったエンカラス大公は、両家を厳しくいましめる。
そんな騒ぎをよそに、モンタギュー家の一人息子ロミオは、一人でやるせない時間を過ごしていた。その原因は、ロザラインに対する叶わぬ恋心にあった。友人のベンヴォーリオは、ロミオの憂鬱を晴らしてやると約束する。
一方キャピュレット家では、大公の縁戚に当たるパリスが、当家の娘ジュリエットを嫁にと、申し出に来ていた。キャピュレットは、まだ14歳にもならないジュリエットにとっては早過ぎる結婚だと感じるが、娘の意思を尊重するために、パリスを主賓とする宴の開催を決意する。
ふとしたことから、この夜の宴にロザラインが出席することを知ったロミオは、友人のマキューシオ、ベンヴォーリオらと、仮面をつけてキャピュレット家に忍び込む。
キャピュレット家の仮面舞踏会。キャピュレット婦人の甥に当たるティボルトは、モンタギュー家のロミオが紛れ込んでいることを知り、逆上しそうになるが、家長のキャピュレットにいさめられる。
ロミオとジュリエットの出会い。二人は一瞬のうちに互いに魅了され、我を忘れてキスをする。その瞬間、二人には、ロザラインもパリスも遠い存在になっていた。
しかし、運命的なキスをしたその後で、ロミオとジュリエットは、互いに仇の家の娘と息子であることを知らされる。

第二幕:宴の後、邸内にひとり残ったロミオは、窓辺にたたずむジュリエットを見つけ、駆け寄って行く。ロミオの出現に驚くジュリエット。今や二人の思いはひとつになった。
翌日、ロミオは、ロレンス神父に自らの思いを打ち明け、神の前でジュリエットと結ばれたいと嘆願する。ロレンス神父はロミオの熱情にとまどいながらも、この結婚が両家の確執を愛に変えるかもしれないと考え、ロミオに協力を約束する。
乳母の手引きで、ジュリエットは懺悔を装って家を出、ロレンス神父の庵へとやって来た。ロレンス神父は、ロミオとジュリエットを神の前にひざまずかせる。

第三幕:ロミオの喜びをよそに、両家の若者たちのいさかいは後を絶たず、今日もマキューシオとティボルトは一触即発の状態である。そこへ出くわしたロミオは、実質上の親戚となったティボルトに親愛の情を示そうとするが、思いは通じず、マキューシオとティボルトは、ついに剣を抜いてしまう。懸命に仲裁しようとするロミオだが、マキューシオがティボルトの剣に倒れたことから、思わずティボルトを殺害してしまう。
事の経緯を聞いた大公は、ロミオのヴェローナ追放を言い渡す。
従兄のティボルトが死に、殺害したのがロミオだと聞かされ、ジュリエットは驚きと悲嘆に暮れるが、それでも、ロミオに対する思いは強くなるばかりである。乳母とロレンス神父の計らいで、ロミオとジュリエットは、最初で最後の夜をともにする。しかし、朝を告げるヒバリの声に引き裂かれ、ロミオはマンチュアに向かい、ジュリエットの寝室を後にする。
娘の悲嘆ぶりが、ティボルトの死のせいだと考えたキャピュレットは、ジュリエットとパリスの結婚の日取りを一方的に決めてしまう。今や乳母までが、ロミオを忘れ、パリスと結婚するようにと進言する。行き場を失ったジュリエットには、ロレンス神父にすがる道しか残されていなかった。

第四幕:事情を聞いたロレンス神父は、ジュリエットを救うために、最後の賭けをする。ロレンス神父の計画とは、ジュリエットに特別な毒液を飲ませ、彼女が仮死状態になっている間にロミオを呼び寄せ、二人をマンチュアへ逃走させようというものであった。
ジュリエットは、パリスとの結婚に合意すると両親に告げ、薬液を飲み干した上で、婚礼前夜の床に就く。翌朝、乳母が起こしに来たとき、ジュリエットの体は冷たくなっていた。

第五幕:ロレンス神父からの使者が着く前にジュリエットの訃報を耳にしたロミオは、ヴェローナに帰り、彼女の遺体を前に毒薬をあおる。その瞬間、目覚めたジュリエットは、自らも短剣で胸を突き、後を追う。若い二人の死を犠牲として、両家は遅すぎる和解をするのだった。

これはねぇ、蜷川幸雄シェークスピア作品全37演目13年かけて上演!第1弾っ!!です。全部観てやるっ!!!て意気込んでたんだけど、彩の国さいたま芸術劇場のみの公演とかもたくさんあって、只今挫折中(苦笑)。せめて大阪公演は並行してやってくれっ!(笑)「ロミオとジュリエット」は定番だからあらすじはもう分かりすぎるぐらい分かってるけど、演出でこんなに変わるんだなぁ〜と思った。でもねぇ、ジュリエットって14歳だったんだよねぇ〜。「私、あなたのために急いで大人になるわっ!!」てなもんじゃないぐらいじゃない……。女子校でちょっとかっこよさげな男の先生がウケる(特に大学出たての新任の国語教師なんかオススメだっ!)のと同じ原理じゃないのかなぁ???要は世間知らないんだな。だから女子校恋愛の場合、女の子が卒業しちゃうと終わるケースが多い……。ごめん、ズレました。。。(苦笑)

セットはものすごくシンプルでした。家の外枠(格子の骨組だけ)みたいなのがあって、それを登ったり降りたり忙しいっ!!でもただがむしゃらにだだだだだっ!!!て走って、ききぃ〜!!!て止まったりとかするんじゃなくて、軽やかなのよ、動きが。足が地についてないみたいに(踊ってるみたいな感じ??)。そこんとこが貴族っぽい(笑)。あとはこれも10列目の右側寄りだったんだけど、お芝居はこれぐらいがちょうどいいなと思う。あんまりかぶりつきで観ても、こう全体がよくわかんなくて(対象が絞られちゃう)結局印象に残りにくいと思うの。でも、10列目ぐらいだと舞台全部が観渡せるし、肉眼で観れる距離だし(オペラグラスはちょとイヤ・苦笑)。すっかり御老体のかめのにはお芝居は座ってじっくり観れて有り難いと思うのです(自爆!)。