132.「レインマン」

主なキャスト:椎名桔平・橋爪功・朴路(実際は王偏が付きます)美・大森博史
原作:バリー・モロー 脚本・演出:鈴木勝秀 舞台監督:二瓶剛雄
公演記録:2006.2.25〜26@シアターBRAVA!(大阪)
あらすじ>>幼い頃に母親を亡くし、厳格な父に育てられたチャーリー。父親の真の愛情に気付くことなく、憎しみだけを抱いたまま家を飛び出した。信じられるのはお金だけ。チャーリーは、ネットトレーダーとして巨額のマネーゲームに翻弄される日々を送っていた。そんなある日、彼のもとに届いた訃報。それは憎しみ続けてきた父親の死だった。恋人・スザンナを連れ遺産目当てに帰郷した彼は、ブルーナーのもと施設で暮らす、自閉症の兄・レイモンドの存在を知ることとなる。衝撃の事実に困惑しつつも、300万ドルを越える遺産の相続人であるレイモンドを連れ出し、自分の自宅があるロサンゼルスへ向かうのだった。しかしその道中は容易なものではなかった。いつもと違うことをするのを不吉だとするレイモンド。食事の時間も寝る時間も、1分たりともずれてはいけない。ベッドの位置も食事のメニューも、ホットケーキの食べ方さえも全てがいつも通りでないとだめなのだ。いつもと違うことが起こると極度の不安にかられるレイモンドに、チャーリーはいらだちと戸惑いを覚えつつもただ合わせるしかなかった。そんな旅の途中、チャーリーはレイモンドの驚くべき能力を目の当たりにする。天才的な一面を持ちつつも、外の世界とのつながりを持つことができない、そんなレイモンドと向き合う時間は、着実にチャーリーの中の何かを変えていった。幼い頃に負った火傷、空想の親友だと思っていた「レインマン」の存在。不透明だった過去が旅の中で、次々と明らかになっていく。

映画「レインマン」があんなに流行ったのにあたし、観てなかったりするんですよねー。(苦笑)いや、なんとなくあらすじみたいなのは知ってるし内容も分かってる(と思う)んだけど。それが舞台になるとどんな感じになるのか楽しみだったりしたんですけれど。さすが鈴木勝秀さんの演出はシンプルと言いますか無駄が一切ないように見えるのにそれがまた冷たくなくて暖かかったりするんですよね。チャーリー(椎名桔平さんの役どころ)の職業が映画版とは違ってたみたいですけどお金だけしか信じられないって言うよりかは1日中ネットに向かって数字の羅列を見つめてその裏にある人間の心模様を読み取る職業と言いますかそこに存在する生身の人間とは上手く人間関係を築けない人って感じが出てていいかも。病気を抱えてるレイモンド(橋爪功さんの役どころ)よりもぢつは病的なとこがあるのかも?と思わせる感じがして。にしてもそこら中で言われてることかもしれませんけどホントに橋爪さんの演技が最高で。レイモンドが核になってるって言ってもいいぐらいに。いつも飄々としててちょっと嫌味な感じの役を演じたりするいめいじがあったりするんですけど全然別人。あたしは大昔に観た映画「キッチン」でのお父さん・お母さん(そうとしか実際言いようがないのです。お父さんでありながらお母さんであるっていうま、端的に言えば女装して女になってるお父さんなんですけど。お母さんがいないから)の役をやってた橋爪さんがものすごーく印象に残ってて例えばそういう感じとでもいうんでしょうか?破綻してるように一見見えるんだけどホントはとってもとっても優し過ぎるだけでちょっとこの世の中では生きていきにくい存在っつか。自分は外に出ては生きていけないっていうことをとても静かに分かっててそれが悲しいんだけれどそうすることしか出来なくてっていう重た過ぎない優しさっていうのかなー?一歩身を引いた感じがするんですよね。最近はもう自分が自分がの主張ばっかり強くて他人のことを思いやるとかここで一歩下がるっていうことの出来ない人の方が多い気がして。ま、自分もそういうところは直さなくちゃなーとは思うんですけどなかなか難しかったりしますよね。(黙)誰かよりも一歩でも先に出ることの方が重要みたいに思われてるじゃないですか。チャーリーみたいにね。実際チャーリーは勝ち組なんだろうしレイモンドは負け組に入るのかもしれません。でも人生ってそんなに勝ち負けばっかり重視されなくちゃいけないもんなんでしょうか?いつもと違うことを嫌うっつか出来ないレイモンドは確かに生き難いのかもしれないけどいつもと同じことってのも大切だったりするんじゃないですかねい?あたしもやっぱりいつもと違うことの方が好きだし毎日毎日同じ時間に起きて会社行っていつもと同じように仕事をこなして帰って来てただ過ぎて行くだけの日々なんて退屈だと思ってるしたまーにライヴ行ったりお芝居行ったり映画行ったりすることの楽しみっつかそういうことの方が大事だーみたいに思ってしまってたりするんですけど。でもそんな退屈な毎日だって変化はあるわけですよね。レイモンドみたいに全く同じことなんて出来ないじゃないですか。でもレイモンドはどうしてもそうしたくてやってるわけじゃないんですよね。いつもと同じことをしていれば間違いがないと思うからなんですよね。いつもと違うことを昔しようとしてしまったから。それで大切な誰かを傷つけてしまったから。取り返しのつかないところに来てしまったから。もうそんな目に合いたくないからなんですよね。それが段々と分かってくるところはもうじわわんと来ちゃいますよー。ただ周りがだーだー泣き始めると自分の中では涙が引いて行ってしまう人なので(おい)号泣ってことにはならなかったんですけども。(爆)でもこう直接触るとレイモンドがパニックに陥るから「どうしよう?!」と思って手近にあった毛布をとりあえずレイモンドに被せてからそっと後ろから抱き締めるチャーリーなんてもうどうしようもなくちっちゃい子供みたいに見えて泣けましたねい。あと最後のレイモンドがどうしても施設に帰るって聞かなくてお迎えが来て連れて行かれちゃう時にしょぼんとして床に座り込んでるチャーリーに行きつ戻りつしながらやっぱりくしゃくしゃっと頭を撫でてあげるレイモンドのシーンなんかもチャーリーがちっちゃい子供みたいに見えてきゅんと来ちゃいましたよ。なんか5歳ぐらいの子供に見えたんですよね、あたしの中ではチャーリーが。あんなに大きいのに。(苦笑)火傷を負わせてしまったのがレイモンドだって分かるところもきっとそんなことだろうとは思ってたけど切なくて。「レインマン。レインマン」って後ろを追いかけて来るチャーリーのことだからチャーリーはレイモンドのことが大好きだったんだろうしレイモンドもそんなチャーリーのことが大好きで大好きで笑う顔が見たくて傷つけるつもりなんかこれっぽっちもなくて。むしろ「殺す気か?!」って怒られて泣き続けるチャーリーを見て心から居た堪れなくてチャーリーの側にいたいけどいたくないっていう気持ちが悲しい。もうホント取り憑かれたやうにレイモンドなんだよねー。一瞬だけ「20回続けてリフティング」のシーンだけレイモンドじゃなくて素の橋爪さんが垣間見えたりなんかして微笑まーなんだけどね。成功した時に抱き合うところで初めてレイモンドが他人に触れさすシーンになると思うんだけどさらっとしてていいかもね。

で桔平ちゃんっすよ。もうーかっちょいいーん。「調教師」(観劇日記No.123参照)で1列目で観た時の印象よりも今回の方が断然よかった…気がする。(おい)あ。ちなみに席はぴあリザーブ先行で取ったんですけどT列 14番ってことでかなり後ろの方…。(黙)にしてもきらきらだよ。(は?)休憩の時なんか周りで「足とかほっそーい」なんつー感嘆のため息が零れてたんですが正にそう。これぞ一歩引いて観た方がいいこともあるってことやも。(違)「ちょっとずつ慣れていけばいいじゃないか」って諭すとこなんか悲しくて仕方がないのよ。せっかく分かり合えたのに。これからはずーっと一緒にいられると思ったのに。お父さんは言葉に出しては言わなかったけれどチャーリーのことを愛してたんだよね。レイモンドにはお金しか残してあげられなかった。これからもどんなにお金がかかるか分からないし。病気がすっぱり治るわけじゃないし年を取ったって面倒を看てくれる人は誰もいないはずだったから。300万ドルで足りるかどうかは分からないけど少ないよりは多い方がいいってことだったんだろうし。でもスザンナ(朴さんの役どころ)の気持ちも分からないでもないんですよねー。旦那さんになる人の親の介護とかってビミョーな問題じゃないですか。親だったらまだ言い方悪いけど先が見えてるし時間も短い(ホントに言い方悪いな…)っていう見込みがありますけどお兄さんとなるとまだまだ先は長いっつかどういう風に接したらいいのか扱いようが分からないっつか。毎日同じメニューを作り続けるっていうのはクリア出来たとしてもそれに付き合わなくちゃいけないわけですもんね。毎日特別メニューってわけにはいかないしそんなのお金がかかり過ぎるし。子供が生まれたとなればもっともっと大変になるだろうことは目に見えてるし。離れて暮らす方法を取れないのか?って言い出す気持ちも分かる。好きだけど好きっていう気持ちだけじゃどうにもならないことってあるから。人間なんだから気分にだってムラがあって当然だし辛く当たる時もあるかもしれない。みんながそうやって傷つけ合う日もあるかもしれない。それに対して臆病になってしまうのはレイモンドも同じだから。あたしだって自分のおばあちゃんですら「うざっ!」と思う日ありますもんね。1日の半分以上は寝たきりっつかまぁそんな感じなんですけど。足が悪いわけじゃないのでそこら中片付けられたりするんですよねー。ちゃんと片付いてるのに。それでいろんなものが勝手に移動されたりなくなってたりしたらもうーいらいらーっ!と来ちゃう時とかあって。ダメなんですけどねー。そこまで人間大きくないので無理ですよ、あたしには。あぁ…だからあたしと結婚する相手の方の親はずーっと元気でいてください。(爆)介護とかきっと無理だと思うので。(予定もない前から言うことじゃないから。その前に相手からだから)つか朴さんって…「鋼の錬金術師」の「兄さんっ!」(役名が分かってないらしい…。苦笑)なのですねい。そう言えばそうだったー。(おい)じゃぁあたし、あのMBSアニメイベントの時見てるんだなー。(遠い目)全然アニメの声優さんとかスルーだったので覚えてないんですけど。(爆)だってあたしの中ではラルクメインだったので。(黙)でもチャーリーに愛されてるスザンナはちょっぴりジェラ入ったりなんかして。(おい)大森(博史)さんも静かな演技で素敵でした。つかパンフに長塚(圭史)くんからのコメントが寄せられててちょっと嬉しかったりなんかして。最後の大団円も大げさすぎなくてよかったかなー。離れて暮らすっていう選択肢は悲しいだけで終わらなくてよかったな、と。カテコでレイモンドから橋爪さんに戻る時にホント「お疲れ様でした」って感じでぐっと来ましたよ。チャーリーもお疲れ様でしただけど。にしても最後まで桔平ちゃんってば爽やかで2階に向かって投げちゅーまでしちゃうし笑顔が輝いてるよっ!(笑)にしても「間違いの喜劇」(観劇日記No.130参照)と日程かぶってるし最初行けないかなー?と思ったんですけど観てよかったですーん。次何出るのかなー?楽しみー。つか次はもうちょっと近めの席で見たいでつ。お願いします。(誰に?)あ。でもそうそう。当日地下鉄で人身事故があったとかで開演時間が20分押しだったりしました。(黙)そういうの初めてでびつくりでしたーん。よく東京で地震とかあった時にそういう話聞いたりしてたんですけど自分ではそういうのに合ったことなかったので。(苦笑)まぁ無事開演されたのでよかったですけど。つか前の日もナニワサリバンショー(観劇日記No.131参照)の帰りに近鉄で人身事故あったとかで電車遅れてたんですよねぇ。(黙)忙しいのに土日に飛び込むのはやめてくだせぇ。(爆)ま、いつでも飛び込みは勘弁してほしいものですけれど。むうーん。