248.「サド侯爵夫人」
主なキャスト:篠井英介・石井正則・小林高鹿・山本芳樹・天宮良・加納幸和 作:三島由紀夫 演出:鈴木勝秀 舞台監督:小林清隆・幸光順平 公演記録:2008.11.6@シアター・ドラマシティ(大阪) |
あらすじ>>一七七二年、九月。サン・フォン伯爵夫人とシミアーヌ男爵夫人が、モントルイユ夫人の招きに応じ屋敷を訪ねて来る。夫人が現れるのを待つ間、二人の間で交わされる会話は、夫人の娘ルネの夫・サド侯爵の犯罪と逃亡にまつわるスキャンダルについて。サドの悪徳に酔うサン・フォンと、幼馴染であるサドをかばうシミアーヌ。 現われた夫人が語り出したのもまさにそのこと、サドの赦免を乞うため、二人の貴婦人が持つ人脈を駆使するよう依頼することだった。 だが、夫人の願いを引き受けた貴婦人たちが辞去する間際、ルネが現われる。さらには妹アンヌまでが現われ、サドの行方と、姉妹に対する衝撃的な事実を告げ、夫人を激昂させる。 一七七八年、九月。サドが逮捕されてから六年が経った。ルネはこの歳月の中、夫の脱獄の手引きなど大胆な行動も起こしたが不首尾に。だがこの日、モントルイユ夫人の尽力により、エックス・アン・プロヴァンス高等法院からサドの赦免の知らせが届き、母娘は和解したかに見えた。 一七九〇年、四月。サド侯爵が逮捕されてから十二年が経ち、パリの巷は九ヶ月前に起こったフランス革命のため、いまだ熱く沸き立っている。 |
スズカツ(鈴木勝秀氏)さんプロデュース×篠井英介さん主演のシリーズ第二弾ってことで今回は三島作品だとおっさる。んー…あたし、三島は読んだことないんですよねぇ…。(苦笑)いちおこれでも国文学科出身ではあるんですけれど三島には手が伸びなかったと言うかー…。(黙)元々好きなのは芥川龍之介だとか太宰治だとかどっちかっつーとお耽美よりも日常の暗さみたいなものに焦点を当てた作品が好きだったりするしそこから派生して夏目漱石ぐらいならほぼ網羅して読んでるんだけど…。あとお耽美と言って括ってしまっていいかどうかは分かんないけど谷崎潤一郎は「細雪」なら全部読んだかなー。家に日本文学全集なるものがあるので(パパリンの蔵書。でもところどころ巻が抜けてるのがあるので全部揃ってはない)たまーに取り出して読んだりはしてたんだけど大学卒業してすぐに就職した会社が合わなくて速攻3ヶ月程で辞めちゃったのでその心のリハビリ的に(別にそこまでダメージを受けたわけじゃないけどハローワーク通いもすぐ始めなかったからなんとなーく家でだらだら過ごす時間があったりしたのでー)夏休みと称して日がな一日読書に明け暮れてた時にそう言えば「大阪の商家で「こいさん」ってのは名前じゃなくてその家の一番末っ子の愛称なのだ」っつー話を思い出して「そうだ!じゃ「細雪」読も」ってことになって読んだんだけどま、それは別の話。(苦笑)で協賛プロモーターのダンカン・クラブ先行で取ったので席は8列 28番っつーがっつりいい席。申し込みは1回しかしてないはずなのに「当選確認メール」が同じのが2通も来てたもんだから「もしかして重複で2枚取れてたりしてチケ代請求されたらどうしよう?!」と思って即電話で確認したらそんなことはなくて向こうの手違いで同じめいるが来ちゃってたみたいでほっとしますた。公演は1日だけだししかも夜公演ってことで当日まで新聞広告で「当日券あり!」とか出てたのでさぞや後ろの方の席は空いてるんだろな…と思ってたら意外と埋まってましたねい。平日の昼公演より全然いっぱいになってたYOっ!(爆)…つか事前に調べたら上演時間3時間弱(2時間50分??)とかなのね…。休憩が10分と15分が1回ずつありますって書いてて「休憩いらないから早く終わってくれよー(おい)」と思ってたけど場転もあるし時代が全然違うから衣装替えも大変だし役者さんにしてみればぶっ通しでやれって方が酷だわな…。(黙)台詞もものすんげぇ長かったし。…長い…って言うより耳慣れない言葉が多いってのかなぁ?(おぶおぶ)三島の文体がどういうもんか分かんないし元々小説だったのも三島自身が戯曲に書き直したりしたのかどうかすら知らないんだけど(爆)やっぱり普段使いの言葉じゃないしね。それと当日までに気付いたからよかったけどこれってオール・メール作品なのね…。この話に出て来る人たちってぜぇーんぶ女の人なんだけどそれをぜぇーんぶ男の人が演じるっつー…。篠井(英介)さんはそれが専門分野(は?)だから違和感ないってのは分かってたけど他の人も全部だとは思わなかったよ…。(苦笑)これ、当日まで知らないままだったらかなりびっくりしたと思うんだけど…。(え?)それも三島の戯曲の指定…とかではないのか。蜷川シェークスピアで何回かはオール・メールシリーズは観てるしむしろそのシリーズよりも全然違和感なかったんじゃね??(え?)あたしは知らなかったんだけど加納(幸和)さんって花組芝居で女形やってる人なんだねー。今まで花組芝居は観たいと思いながらスルーしちゃってるので全然知らなくて申し訳ないんだけど篠井さんも花組芝居出身なんだー。知らなかったよ…。(おい)(小林)高鹿くんと石井(正則)さんはお芝居で観たことあるけど女装してますー!みたいな感じはなかったとおも。つかむしろ似合ってる!(は?)こっちの方が合ってるんじゃね?(爆)篠井さんと高鹿くん出るんだー!ってので行こうと思ったお芝居だったけど石井さんの女役は全然ノーマークだったけど何だろ?すっげ器用な人なんだなー、と。高い声で喋ってるわけじゃない。無理して女、女してなくてすっごく普通なんだけどそれが何かよかったんだよねー。あのちっちゃさも効果的だったんじゃないのかな?(おい)サド侯爵って人が実在した人物だってことも知らなくてまぁサドって言うんだしサディスティックっつかあのサドの語源になった人なんだろとは思ってたけど詩人??か何かなんだねー。結局サド侯爵なる人物は誰も演じてないから話題には上るけど「じゃぁどんな人なんだ?」って言われれば分からないままで。みんなの話の内容から想像して作り上げてくだけで自分の目で確めたわけじゃないから結局のところは分からない。サド侯爵がやったことって浮気とかそういうのとはまた全然違うし…。じゃ奥さんを殴り飛ばしただとか殺す一歩手前まで行ったとかそういうのとも違うし…。サドが詩人だとかこう作品を創り出す人と思って見ればそういう行為も必要だったりしたのかなー?とか思ったかもしれないけどでもだからって単なる憂さ晴らしとかそういうのでもないと思うし…。ま、言わば売春宿で娼婦を集めて縛り上げて1人ずつ鞭で叩くっつー今で言うSM行為みたいなのをやって楽しんでたっつー人としてそれってどうなのか?みたいなことで罰を受けてるわけなんだけど実際そういう趣味とか嗜好の人っているわけだしなぁ…。それってそんなに悪いこと?と思ってしまうのは今現代でそんなことよりもずーっとずーっと悪いことだとか歪んだ犯罪が起きてるから感覚が麻痺してるのかもしれない。人殺したわけじゃないんだし奥さんの立場としてはさー辛いっつか何でわざわざ外でそんなことしなくちゃいけないわけ??って感じだろうし許せないと思うだろうけど今だったらさーキャバクラでおねえちゃんたちとハメ外して遊んだりしてるのと大差ないんじゃね?とか思っちゃう。(爆)時代が許してくれなかったってこともあるだろうしどこまでがやっていいことでどこからがやったらいけないことなのか?っていう線引きは簡単には出来ないけど。 でも一幕最後で妹のアンヌ(小林高鹿くんの役どころ)がサド侯爵の監視を兼ねて2人で旅行に出掛けてしかもアンヌはそこでサド侯爵と関係を持ったとか衝撃告白しちゃうしルネ(篠井英介さんの役どころ)はそのことを全部承知の上で2人のことを許してる…と言うのか…??アンヌだけの言い分を聞いてたらどんだけサド侯爵ってのは魅力的な人物なのかとか思っちゃうしさー。普通ちったぁお姉ちゃんの旦那なんだから2人でいても遠慮っつか気遣って大変だろとか思うんだけどそれが関係なくなるぐらいな人なわけでしょう?ちょいワルおやじっつーのかな?(え?)何かそういう悪いことしてる人に対する憧れみたいなのを抱かせる人っつーか…。そう考えたらアンヌってお子ちゃまなんだなって思っちゃう。ルネも振り回されて大変なんだけど奥さんって対場が手堅いし揺らぎがないみたいなんだけどアンヌの場合は面白いことになりそうだって言う衝動だけで動いてる感じ。お嬢様育ちがモロに出てる気がするー。高鹿くんがいつもの役(ま、普通に男の役ってことだけど…。苦笑)やってると顔が濃い(爆)からどこか鼻につくーとか思っちゃうとこがあるんだけど女の役っていう設定で観たらそれなりによかったでつ。篠井さんと同じぐらいたっぱもでかいしでも骨格とかがごつごつした感じじゃなくて結構すっとしてて化粧栄えもするしいいんじゃね?(え?)ま、篠井さんのドレス姿には敵わないけどねー。だって1幕目で出て来た時すっごいキレイだったも。あのちらしのドレスと一番よく似てたと思うんだけど白が基調になっててふわっと拡がった感じで素敵ーvvさすが主役。(当たり前)でもアンヌがもし先にサドと結婚してたらサドも捕まったりしなかったんじゃないのかなー?アンヌはどっちかっつーと外へ外へ出て行きたい感じの人だしそうやってサドを連れ回していろんなとこに旅行に行って2人で楽しく過ごしてれば変態行為(爆)に走る暇もなかったはず。(え?)ルネはサドが罪を償うのを待つっていう立場だから余計そう見えるのかもしれないけど派手派手しいとこもなくて凛としててますます貞淑な妻っぷりをアピールしててそれが鉄壁のやうで誰にも崩せない。大人しい…ってのとはまた違うけど夫の引き立て役に回って一歩でも二歩でも三歩でも下がって構えてるタイプ。性格も内に内に籠るタイプっつか…。アンヌならサドが捕まったとしても「あんた!何てことしてくれたのよぉーっ!」って怒りをぶちまけれて暴れ倒してサドとか殴り飛ばしちゃうと思うけどルネはそんなこと出来そうもない。つか滅相もないってタイプだとおも。その貞淑っぷりがうざいっつかウソっぽいみたいに母親(加納幸和さんの役どころ)からも疎まれるところがあるけどホントそんな感じ。旦那からしてみれば怒りもしないし黙ってられるとますます怖くなるんじゃなかろうか?それだからもっともっと外へ行って自分の好きなことがしたくなるんじゃね?…って言っちゃうと憂さ晴らしみたく聞こえるか。(苦笑)その裏で何考えてるのかが分かんなくて怖い人って感じ。静かーに旦那のことを抹殺しようと企んでるのかもしれないし。(え?)サドはルネの尽力で脱獄を図ろうとしたり罪を不問にしてもらったりするのにまた同じ罪で繋がれたりして一向にルネのところに帰って来る気配がない。それだから母親の取ろうとする態度はよく分かる。ルネに協力してサドを助けると見せかけといてルネとサドの関係を断ち切らせて自分のとこにはもう関係ないって言いたいんだよね。娘が可哀想だからじゃなくて結局外聞を気にしてってことみたいなんだけどそれも仕方がないことなんでしょ?ルネにしてみれば二重に裏切られたみたいな形になっちゃうけど。でもルネはサドの餌食になってなかったか?って言われればそうじゃなかった。自分だって酷い目に合ったことがあるのにそれをまた隠しててそのことで母親になじられる。でもルネはサン・フォン(天宮良さんの役どころ)みたく「サドは私なのだ」って言うし理解を示そうとする。理解…とは違うのか。その感覚を美的感覚として崇拝してるとでも言うのか…。サン・フォンもちょっと変わってるっちゃぁ変わってるんだけどそういう背徳行為に快感を覚えるタイプっつかちょっとサドに似てる人っつー描かれ方なのかな?で3幕目はもうルネも落ち着いて刺繍なんか刺しちゃっておまけに修道院に行って尼僧になるとか言い出してるし…。母親の言葉によると毎週のやうにサドの牢屋に通い詰めて出所(でいいのかな??)を待ち望んでたみたいだったのにそれがぱたりと止んでおかしいと思ってたらこれだっつー…。でも最後の最後でサドが釈放されて帰って来て今玄関前にいるってので今は見る影もなく太ってぶよぶよですっかり年を取って最悪なことになってるらすぃーってのでルネはここでサドを拒絶するんだよね。あんなに待って待ってしてた人が帰って来たってのに会わずに追い払えと言う。たぶんぷつりと面会が止んだ頃にその醜悪さに気付いてしまったんだろなー、と。たぶんサドは超かっこよくてしゅっとしてて何となく翳りがあって退廃的でぢょしが放っておかないタイプだったんだろなー。その人も年取ってすっかりおっさんで何つーか幻滅しちゃったんだろね。そう考えたらルネもアンヌと同じやうにサドを憧れの対象として見てたってことか?や、そういうお手軽なのとは違う気がするんだよねー。何て言うのかなー?もっと刹那的なことだったんじゃないのかなー??今ある輝きを永遠にそこに閉じ込めたかったんじゃないのかなー、と。そのルネを惹き付ける何かがもうサドには無くなってしまった。年を取らないではいられないんだけどそういう外面的な衰えもそうだけど精神的にも「捕まったってどうなったって構わない」みたいなところがなくなっちゃったのかも。それをルネは冷たいと取るのかサドの当然の報いと取るのか…。でも気が付いたらあっという間に3時間過ぎてたって感じで。全然長いと思わなかったよ。そりゃ1幕1幕が細切れで1時間弱ぐらいで通してるからそれもあって疲れないんだと思うけど細切れになるから退屈になるわけでもなく。当たり前だけどやってる方は相当大変だと思うんだけどそういうのも感じさせなくてさらっとしてて見易かったでつ。カテコもさらっと2回?3回?だったかな。にしても。同じ日に「シカゴ」が梅芸本ホールでやってたんだねー。間違って地下に来て迷ってる人多数…。(黙)何故間違う??「シカゴ」は河村隆一でしょうー??…苦手なんだよねぇ…。あの人の歌い方がどうにも気持ち悪くていけない。(爆)ミュージカルはまた違ったかもしれないけど…。次スズカツ×篠井さんシリーズが何やってくれるか分かんないですけど願わくば夜公演じゃなくて昼公演も入れてくだせぇ。(ぺこり)どうにも次も長丁場になりそうだし…。(黙)前回「欲望という名の電車」(観劇日記No.204参照)も3時間ちょっとあったも。(滅)そういうわけで(は?)どうかひとつ。(ぺこり) 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