309.「血は立ったまま眠っている」
主なキャスト:森田剛・窪塚洋介・遠藤ミチロウ・柄本佑・江口のりこ・蘭妖子・丸山智巳・三谷昇・六平直政・寺島しのぶ 作:寺山修司 演出:蜷川幸雄 舞台監督:明石伸一 公演記録:2010.2.21〜28@シアターBRAVA!(大阪) |
あらすじ>>競馬場の裏に位置する港町。転がるドラム缶、寂れた床屋。どこかから、猫の鳴き声――。公衆便所の前ではいつも悲鳴のようなブルースが響いている。 倉庫には革命を目論む若者が二人住み着いている。“破壊活動”に精を出す毎日。そんななか、少女が現れ、殺伐としながらもどこか牧歌的だった二人の男の均衡が崩れ始める――。 一方、床屋にたむろするチンピラやずべ公たち。怠惰な生活を持て余し、仲間の一人が持ってきた闇取引の話に熱中している。突如、倉庫に謎の男が現れ、過激なテロ活動を扇動する。闇取引は失敗に終り、裏切りものの私刑(リンチ)が始まる。 物語は絡まりながら疾走していき、そして爆音が響く――。 |
もうこの2月の同じ時期にMONO「赤い薬」(観劇日記No.307参照)に阿佐スパ「アンチクロックワイズ・ワンダーランド」(観劇日記No.309参照)と重なりまくりでこれが一番チケットが取りにくいだろう(爆)けど行きたいのは行きたいしー!ってのでキューブ先行(ちょうど丸山智巳くんがキューブ所属だったもんだから)で1年以上前から登録してる人だけに受付しますっつーのがあって。それで申し込んで取れたのは取れたんだけど何を間違ったのか宛先住所が登録住所と違うとかで振込用紙が送れないからメールで詳細を送るのでそっちで入金してくれ、それで入金したらメールを送ってくれ、みたいなのが来て。だから何でそんなことになるかなー??!!みたいなのがありつつそれでせっかくのチケットが流れたらもったいなさ過ぎるしでとりあえず言われる通りに振り込んだらば無事チケットが届きますた。(ほっ)でも。2階 E列 33番って…ですよね…。(黙)森田(剛)くんのFCの力でほぼ売り切ってますよね…。当日券に頼らないまでも取れただけでもマシですか…。…と。それからキョードー大阪の電話先行案内も届いてたんでそっちの方がもしかしたらいい席が取れたやもー??!!(爆)…ま、電話の繋がらないイライラに比べれば…ね?(何?)えーっと…寺山(修司)さんと言えばもう「毛皮のマリー」(観劇日記No.16参照)しか観たことがないので(え?)あっちはアングラっつってもお耽美にゃーで世界ががっつり廻っておったので今回みたくザ・寺山みたいなのは初めてだったりする。…あ。「身毒丸」(Play3参照)もそうか。(苦笑)じゃぁまぁ蜷川演出で寺山を観るのも全くの初めてってことでもなかったのだな。(おい)あぁでも戯曲は全くもって読んだことがないので分からないのだけど「身毒丸」もそうだけど今回も蜷川テイストが全面に押し出されてるっつかどこかやはしキレイなのだな。その中でもひときわ森田くんは掃き溜めに鶴の体なのであり輝きまくっておったわけだけれども寺山っぽい(っつっても詳しくないのだからあくまでもいめいじではあるんだけど…)見世物小屋みたいな生身の人間が演じるお化け屋敷みたいなどろどろした感じは控え目になってた気がする。うん、まぁマメ山田さんだとかもう1人(日野利彦さんだっけか??)小人さんが出ておられたりしてそういう見た目子供っぽくしてるんだけど顔はがっつり大人なぱっと見の「ぎょっ!」っとする感じだとかはあったけど今までも蜷川芝居でないわけじゃなかったし何だろうなー??上手く言えないんだけど「これは…テレビでぜってぇ流れないな」だとか「DVD出しちゃって…いいわけ??(おぶおぶ)」みたいな心のどこかで後ろめたい感じとかがすっぱりなかったやうな気がする。猫はトイレに流されてたけど。(爆)これだけ単独で観れば何かしら「これっ!」ってのもあったのかもしれないけどその後の阿佐スパ3公演連続観劇記録に挑戦!(バカ)をやってしまってそっちにあーでもない、こーでもないとかなりの頭を悩ませてしまったのでどうにもこうにもこっちの「血は〜」が「あー…分からないねー…」で絶賛放置ぷれいだったのでありそうして保留にしてる間にいろんなモノがはらはらと手の平を滑り落ちて行ってしまった感がある。(ただ単に忘れただけだろうがよっ!←爆)こう冒頭白い馬が走り回り競馬の実況中継が流れその後ろを六平(直政)さんが自転車で追い掛け回すシーンをとにかく大昔に観た「ロミオとジュリエット」(Play3参照)のこれまた蜷川演出で冒頭は白い馬、最後のシーンは黒い馬が舞台上を走り回ってやがてその大きな体が倒れ込むっつー象徴的なシーンがあってそれを思い出しちゃっていつこの馬は倒れ込むんだろう??みたくなっちゃったり蜷川テイストの変わらなさっつか新しい冒険的テクニックみたいなのは今回ないのかなー、と。や、でも演出じゃなくて戯曲に書いてる通りなんだったらごめんなさい。そして八百屋舞台で傾斜が結構あるのにそれを自転車ですいすい走り回ってる風に見せてる六平さんの凄さね。(は?)テロリストを気取りながら過ごす灰男(窪塚洋介くんの役どころ)と良(森田剛くんの役どころ)はそうは言っても所詮は自衛隊の看板を盗み歩くことしか出来ないやうなそれってテロ??っつか堂々と真正面から盗んで来ることも出来ないんだから道場破りよりももっと小心者っつか低レベルな。(爆)なにげにマニアックなコレクターとも取れなくもない。(だから)それでも良の中では灰男は憧れっつか一種ヒーローで灰男に認められて「お前もよくやってるな」って言われることだけを目指して日々精進っつかパシリでもなく子分でもなくいつか肩を並べて「お前ならやれる!」っつって秘密の任務を任されるやうな男になれるやうに頑張ってる。それでいてお姉さんの夏美(寺島しのぶさんの役どころ)にはすっかり庇護されてるっつか母親であり姉であり手も触れられないやうなミューズでもあり良が今やってることを自分で悪いことだとは思ってないからそれに関しては夏美にも「素敵ね!」って誉められて当然と思っててそうやって自分のやったことでお姉さんを悲しませることのないやうに細心の注意を払ってる。たぶん家族の中で良のことを理解してくれて可愛がってくれるのは夏美だけなんだろうしそれだから親には言えないこともぜぇーんぶお姉さんには話して聞かせてるっつかそういうのがあるんじゃなかろうか??シスコン…ぽいとこはあるかなー、と。でもべたべた甘えて「頑張ってるのねぇ…」って言われたいくせに手紙の1つも出さなかったりどこかぶっきらぼうな態度を取ったり何つーか反抗期真っ只中な男の子っぽさもあったりして難しかったりするのだ!でもそれもまた姉目線から見れば単純極まりなかったりするのだけど。(苦笑) そうして呼び寄せた夏美と灰男がひょんなことで付き合う結果になっちゃってすっかり守りに入ってしまった灰男の態度にまたやきもきする良がいたり…。良にはまだ分からないのだ。守るものが出来てしまった時の心のひよった感覚みたいなものが。革命も成し遂げなくちゃならない。でもそれよりもまず目の前の大切な人1人が守れなくてそれにどういう意味があるのだ?みたいな葛藤が。それだから灰男のところに持って来られた爆弾テロをほいほい引き受けてしまうことになる。テロを起せば君は一躍ヒーローになれるって言葉をまんま信じて真に受けて。でもそんなにテロは渇望されてるのか??世の中の流れ的に。それって自己満足じゃないのか??誰もテロなんか望んでいないのでは??1人よがりな思い込みでヒーローになったつもりでいるけれど結局世の中の鼻摘み者になってるんだってことに気付いてない。旧体制をぶっ潰すことよりも何よりも日々の生活だとか食料を手に入れることとかそういう最低限の欲求が満たされないことには次のステージの欲望は沸いて来ないわけだから。一方で町のごろつき連中たちは闇市で林檎を高値で売りまくる計画に四苦八苦。また林檎…ってのが何かの象徴のやうでもあり何かを匂わせてるやうでもあるんだけど林檎ってそんなに食べたいものか??(爆)米だとか肉だとかそういうのなら分かるけど林檎って…なきゃないで全然困らないものじゃね??(おい)だって果物だし。(だから)主食じゃないしさー。主食じゃないってことは贅沢品ってことにもなるのかもしれないけど高値で売り出したとして飛ぶやうに売れる品物じゃないでそ??そりゃ欲しい人は欲しいだろうけどみんながみんな欲しいってもんでもない。メロン…とかだったら分かるけど。(好き好きだろ??!!)そっちのチーム(えー…)は何かと結束が強そうではあるんだけど横槍にいとも簡単に脆くやられてしまうことになる。仲間に入れて貰えないからっつーので六平さんが計画をバラしちゃってそれでみんなにぼっこぼこにリンチされるんだけどそれもそこまでしなくちゃダメなもんだったのかなー、と。何かもう示しが付かないとかそういうことよりも半分以上八つ当たりじゃんねー??「こいつが悪い!」みたいにしとけば計画が上手く行かなかったことも(それが計画がバレてなかったとしても結局は上手く行かなかったかもしれないのに…)全部全部1人だけのせいにして押し付けて何とかなったのに!と思いたいんだよね…。そこの中ではなにげに江口(のりこ)さんの喋るコトバが哲学っぽかったり。ほんつ全部が全部分かるやうな内容じゃなくて象徴的だったり「それって…裏にこういう含みのあるニュアンスのこと??(おぶおぶ)」みたいなのだったりでよく分からないことだらけなんだけどなーんか江口さんはこういう堕落的な生活はしてるけれどももしかしたらとっても頭がいいんじゃなかろうか??な感じのする人ですた。ま、横に君子(茂手木桜子さんの役どころ)みたいな「あたし、ホントバカでー」な子がいるもんだからますます頭の良さが引き立つっつか。(え?)(遠藤)ミチロウさんはところどころで出て来て舞台の流れに関係あるやうなないやうな(爆)歌を熱唱してくれるんだけれどもパンフでやっとこ陳(丸山智巳くんの役どころ)の兄役だっつーのが分かったりでそんな関係性とか観てても全然分からなかったおっ!(おい)にしてもミチロウさんもそんな若くないと思うのに(えー…)年齢を感じさせない役だったかと。うーん、まぁ寺島さんの役も何だかんだで17、8歳の役だったらすぃーし…。あぁでもそういう次元の問題みたいなのを感じさせないってのでは寺島さんもちゃんと若く見えてた!(おい)そうして闇市計画に失敗した人たちは捕まって牢屋??に入れられちゃうんだけどその牢屋の中には生命保険会社の男(三谷昇さんの役どころ)がいたりしてだからどういうとこなんですかっ??!!処刑…されるやうな大げさなモノじゃないとは思うんだけど(結局未遂に終ってるし…)それで生命保険に入ったとして受け取り人は誰になるの??(おぶおぶ)政府??(えー…)でもそうやって牢屋に入っていながらどこかのんびりとしてて清々した感じすらしてここにいれば喰うに困らないっつかただ飯が喰えるみたいな最低限の生命の保障がされてる安心さとかそういうことか??それってさー今の現代社会でもそんなに変わりないよね。(え?)年取ったら年金が貰えるっつったって働かないで充分食べて行ける程貰ってる人はなかなか少なかったりでそういう生活に困った人たちが万引きだのちょっとした罪で刑務所に入ってその間はとりあえず三度三度食事出来てそれだから刑期が終って外に出されてもすぐに生活に困っちゃってまたそういう大したことないことして舞い戻って来るおかげでいつも刑務所が満杯になってるみたいな問題が起きてるっつーのもちらっと聞いたことがあるけどそういう感じだよねー??(おい)この人たちにテロを起こす気概はない。そんな面倒臭いことして捕まったって自分の得にはならない。林檎を売ってやる→そこにはそれを喜ぶ人たちがいる→それでもって自分たちはお金を儲ける。それのどこが悪い??と。人を殺したわけでもなく街中で包丁を振り回したわけでも鉄砲をぶっ放したわけでも何でもない。その反対に良は暴走を続ける。とうとう大好きだった夏美まで殺す結果になってまで。不可抗力だ。人違いだった。殺すつもりなんてなかったのに…。そうして守るものを永遠に失った灰男はテロを成し遂げることになる。ヒーローの座すらも良は灰男に奪われることになる。結局爆弾は見せかけだけでヒーローですらないんだけれど…。そうして良は孤独と言う名の大海に放り出される。自分がどんなに庇護されていたかということにすっかり打ち拉がれて…。剛くんの活気に比べて窪塚くんは静っつか喋り方にも熱が感じられないしそれがまぁ窪塚くんの持ち味でもありたぶんそういう風な演出になってるのかもしれないけどこう一生懸命になってる人の前では結構「いぃぃぃぃぃっ!!!」ってなりそうな(は?)テンションの差でそれはそれで凄いね。(何)ま、最後まで全然眠くならなかったわけだから随分と引き込まれはしてたんだろうけどやっぱりぐるんぐるんとよく分からないままでフェードアウトして行った感じで…。(黙)だからこれこそ3回ぐらい観てやぁーっとこ分かったんでしょうよっ!(逆ギレ?爆)つかもうちょっとゆっくり単独で観るとかすればよかったのよね…。(自業自得)あぁでもパンフで蜷川さんと(長塚)圭史くんの対談が載ってるっつーので行けなかったらなかなか買えなかっただろうしそれはそれで、ねぇ?(は?)高かったし!(爆)カテコもあたしが行った日は寺島さんの熊受賞(おい)の次の日だったりで特に何もなく(当たり前)すんなり終ってましたけど。残念。(おい) 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