117.「吉原御免状」
主なキャスト:堤真一・松雪泰子・古田新太・梶原善・京野ことみ・橋本じゅん・高田聖子・粟根まこと・藤村俊二 原作:隆慶一郎 脚色:中島かずき 演出:いのうえひでのり 舞台監督:芳谷研 公演記録:2005.10.13〜23@梅田芸術劇場メインホール(大阪) |
あらすじ>>時は明暦三年(一六五七年)、旧暦八月十四日、夕刻。浅草日本堤近く、浅草川の土手に旅姿の侍の影がある。名を松永誠一郎。目をやれば、江戸最大の遊郭・吉原の町の灯り。「吉原はこの世の極楽。そして地獄」謎の老人、幻斎が、誠一郎に声をかけた。だが誠一郎にはその言葉の意味が、まだわからずにいる。 その日吉原は祝いの日を迎えていた。かつての日本橋葦屋町からここ浅草日本堤に移転し、新吉原として営業を再開するお披露目の日。まばゆいほどの灯りと喧噪の中、吉原の町を歩く誠一郎。周囲の人垣がさっと二つに割れたかと思うと、その先から吉原一の花魁、高尾太夫の道中がやってくる。と、反対側からはもう一輪の吉原の華、勝山太夫の艶姿。呆然と見つめている誠一郎の姿に、勝山が心を惹かれる……。 誠一郎に興味を持った人物がもう一人。旗本神祇組頭領、水野十郎左衛門。聞けば誠一郎は、肥後熊本の奥深い山中に育ったらしい。そして「二十六歳になれば山を降り、吉原に庄司甚右衛門という男を訪ねよ」、という亡き師の遺言に従ってこの町に来た。その師匠の名を聞いて驚く十郎左衛門。かの剣豪、宮本武蔵。受け継いだ剣の流派はもちろん「二天一流」。「気に入った」。十郎左衛門がニヤリと笑う。だが町の者に聞けば、目当ての庄司甚右衛門は既に他界しているという。亡き師匠は、何故自分をこの吉原に導いたのか――。遺言の真意を理解できぬまま町をそぞろ歩く誠一郎。と、その前に突然あの勝山太夫が艶やかな姿を見せる。「お会いしとうございました」勝山の色香に気を呑まれる誠一郎……。と、その油断をつくように現れる一人の男。誠一郎に向け冷徹な剣を振るう。抜刀する誠一郎。その刀を見て、男の顔が一瞬凍り付く。「まさか、その太刀!」――。その時、幻斎老人の声がする。「お待ちなさい、柳生の」その後ろに、弓を構える大勢の男達。首代と呼ばれるこの町の私兵、そして吉原の名手達だ。彼らは男の名を「柳生義仙」と呼んだ。窮した義仙、爆薬を使ってその場から逃げ去る。――新吉原の門出の日に柳生が攻めて来ようとは。名手達のつぶやきに誠一郎が意外な目を向ける。「え?将軍家剣術指南役の柳生家が、何故吉原を?」幻斎老人がその問いに答える。「神君御免状。奴らが狙っているのはそれだよ」「神君御免状……?」幻斎は吉原の全てを知ってもらおうと、誠一郎を案内して町の中に入っていく。秘められた謎の深さに引き入れられるように、その後をついていく誠一郎……。 翌日、柳生家上屋敷。当主、柳生宗冬を水野十郎左衛門が訪れる。宗冬は、義仙の兄。そこで十郎左衛門、前夜義仙が誠一郎を襲った理由を問いただす。十郎左衛門は前夜の騒動を密かに見ていたのだ。それを聞いた義仙の忠臣、狭川新左衛門、十郎左衛門を斬ろうと刀に手をかける。だが、宗冬がそれを止めた。 柳生家には将軍家指南役という名誉の裏に、もう一つの顔がある。徳川家に敵対する者を闇に葬る暗殺集団、人呼んで<裏柳生>。その邪悪な剣の力で更なる権力を手に入れようと目論む<裏柳生>の長、義仙は、<表柳生>の当主、兄・宗冬と反駁を繰り返していた。十郎左衛門から昨夜の姿を見られた義仙に、「江戸を去れ」と言い放つ兄・宗冬。不敵な笑みとともに姿を消す、弟・義仙。 数日後、吉原。誠一郎が高尾太夫に手をひかれ、初めて「おんな」に触れた夜。近くの部屋には、勝山と義仙の姿……。そして早暁、<裏柳生>が再び誠一郎と吉原を襲った。飛び交う矢の嵐。炸裂する爆薬。繰り広げられる<裏柳生>と首代の死闘の中、義仙は誠一郎に言った。――お前と柳生には、血に染まったドス黒い因縁が結ばれている。――おぬしの兄弟も母親も、殺したのはわしら柳生だ。――そして貴様の父親は……。意外な言葉に衝撃を受ける誠一郎、義仙の斬撃を避けきれない。と、そこに現れる柳生宗冬。「剣を収めよ」――。苦々しくその場を去っていく義仙。誠一郎は、自らの太刀を手に、ただただその場に呆然と立ちつくしている……。「……私は一体何者なのだ」。 闘いの後、幻斎老人に改めて吉原に隠された全ての秘密を聞こうとする誠一郎。そこに現れた一人の年老いた尼僧、八百比丘尼。死者の国、紀伊熊野比丘尼の総帥。そして永劫の時の中、死者達と暮らし続けているというその老婆、全ての秘密を解き明かす過去の国へと誠一郎を誘う。そっと唇を重ねると――誠一郎は慶長十六年、徳川が来てまだ十年ほどしかたっていない江戸の町にいる。そこにはこの吉原を作った傀儡子と呼ばれる民達が、誰の支配も受けることなく自由に暮らしていた……。 果たして傀儡子の民とは何者か。吉原成立の秘密、神君御免状の謎、さらには誠一郎と吉原とをつなぐ、運命の糸のからくりとは?そして剣豪宮本武蔵が、誠一郎をこの町に導いた本当の理由とは――? |
速報の段階から行きたくて行きたくて仕方なかった新感線公演。でもキャスティング的にかなりチケット争奪戦が厳しそうなー…と思いつつ。先行DMがいつまで経っても来なかったので(爆)いつも劇場に行ったらちらしの束と一緒に貰えるぴあのフリペ「THEATER PRESS」特集の先行で電話予約ー。なんとか30分ぐらいで繋がったんだったかな?平日昼公演だし全然余裕ーとか思ってたら。1階 24列56番って…全然後ろじゃーん。(滅)それから1週間ぐらいかしてDMがやっと届いたのでした。(黙)絶対こっちの方がいい席取れたのでは?(後の祭り)ま、こればっかりは運だしねー。先行もたくさんあるしどこがいい席押さえてるのかなんてよく分かんないし。(負け惜しみ)でもお願いですからもう少し早く届けてください。(哀願)でも芸劇メインホールだったら3階席まであるしね。(苦笑)まだマシってもんなのやも。(やっぱり負け惜しみ)にしても。原作があるからなのかもしれませんが新感線にしてはものすごーく珍しくシリアス路線で全くもってお笑いなし。原作があるのもお笑い路線なしってのももしかして初めてなのではないでしょうか?(…でもそんなに恐ろしく回数観てないので偉そうなことは言えませんが。苦笑)なんかちょっと物足りない感じもしないではないですが。(おい)でも気にしなければ問題ないやも。ただ(高田)聖子さんとか2幕目から登場だったりしたじゃないですか?やっぱり登場してすぐは「あー。ここで飛び道具使うのね」な期待もしてしまったりなんかして。(爆)なんとなーくみんなの「早く笑わせてっ!」な空気感がなくもなかったやうな。(勘違い)でも八百比丘尼(高田聖子さんの役どころ)って…果たして必要だったんでしょうか?(おい)そりゃまぁ過去の因縁って言うのかな?吉原の最初を紐解くって意味ではタイムスリップも必要だったんだろうしそのためには何年もの間長生きしてる体が必要だったんだろうしそれが八百比丘尼(ホントに和歌山には人魚の肉を食べて永遠の命を得た老婆伝説として比丘尼伝説があるらしいですが)だったってのは分かる。憑依されて過去に旅するってのも分かる。でもパンチは弱いですよね。(おい)それ言ったらおしゃぶ(田畑亜弥さんの役どころ)の方がもっと必要性ない気がするんだけど。(爆)こっちは比丘尼とは対照的に未来が見えるっつか読み取れる能力を持つ者として描かれてるんだけど未来が見えるってだけでそれが何の解決も生み出さないっつか。予言は出来るけどそれをいい方向に変える力になったりとか手助けになったりとかしてないんだもんよー。ま、変えるのは本人の判断だし(予言を聞いたね)避けられない争いなんだってのも確かにある。でもなんか無駄。(爆)「そっちに行ったらダメだー」って言うんだったら体張って止めてみれば?ホントに好きで好きでたまらないんだったらね。子供だからそれは無理とかそういうのなしでさ。なんかそれがちょっとイラっとくる。(おい)ま、それだからこそ無残な姿になってまでも好きっていう気持ちを貫こうとする勝山太夫(松雪泰子さんの役どころ)が生きてくるのかもしれないけどねー。でも別に勝山太夫に関しては引き立て役も何もなくてもただ彼女がいるだけで壮絶じゃないですか?好きだけど黙って待ってる、動けないんじゃなくて動かない方法で好きって気持ちを示す高尾太夫(京野ことみさんの役どころ)がいればそれで充分だし。もっとどろどろした女の闘いーみたいなのがあるのかと思ったんですけど(何期待?)両方がお互いを立ててるっつか敬意を払ってるっつかね。ライバルなんだけど一番近いところにいる二人って感じ。それに風格あるんだもん。花魁役ってかなり大変だと思うんですよねー。綺麗綺麗な女王様ーだけじゃないじゃないですか?女としての迫力がある人じゃないと難しいし。大体あの格好で普通に歩くだけの所作でも大変だし。比較して申し訳ないんだけど「HAKANA」(観劇日記No.29参照)の井川遥ちゃんはちょっと無理があったかなー?とか。(爆)ま、舞台の性格とかもあるしそればっかりがメインのお芝居じゃなかったってのもあるけどちょっと弱かったー。ま、今回のは吉原そのものが舞台だしね。ちゃんと出来て当たり前っつかそれが基本なんだろうし。その昔吉原の花魁言葉について卒業論文書こうかなー?なんて思ったあたしにしてはちょっと嬉しげな。(結局断念して現代語の省略言葉についての論文にしちゃったんですが。苦笑。とにかく吉原とか花魁ってことに対して資料が少な過ぎるので断念。←おい)花魁言葉がどうしてあるかっつーとそのー地方出身者が多かったりでそういうなまり言葉を隠してその場に共通の標準語?みたいな役割があったってのが通説ですが。それ以外にもこうお忍びでやって来るえらーい殿様とかも通って来たりするわけじゃないですか?今回のじゃないけど柳生直属の人たちとか。そういうえらーい人たちの話してる内容とかも全部聞いちゃってるわけだし吉原には吉原なりの守秘義務ってのがあってそういうのを外に漏らさないために隠語っつか吉原独特の言葉で話したってのもなかなか興味深い説だったりします。って…そういう雑学はいいんですがー。(苦笑)傀儡子(くぐつし)とかそういう今で言う被差別部落って言うのかな?(これって言っちゃダメなんだっけー?)下の階層に無理矢理追いやられた人たちっつか。そういうのもひょっとしたらあったのかな?ってのも思わせてくれてなかなか面白かったでつ。って…原作読んでないので原作読まれた方にはまた今ひとつ物足りないとことかもあったのかもですが。吉原の町を再現した廻り舞台とかはホント目に艶やかでうっとりーって感じで。そんな吉原に咲く仇花とでも申しましょうか?(意味間違ってるやも。おぶおぶ) とりあえず堤(真一)さんは文句なくかっちょよかったっす。当たり前に。年齢設定的にかなり若い設定だと思うんですよねー。17とか18歳ぐらいなんじゃないんですかねい?たぶん。そう思って見たら無理があるのかもしれないけど「ロミオとジュリエット」だって年相応っつかそのずばりな年齢の人が演じてるなんてことはないわけだし。ま、その辺関係ないやも。(え?)枯れた(いい意味で)役って感じだし若々し過ぎるのもかえってちょっと眩しいかも。(は?)でも新ちゃん(古田新太さん)の久々ーなワルーっつか正統派悪役(は?)にめろんめろんでつ。もう大好きだっ!(何)悪役にしてはバックボーンみたいなものはなーんにもなくて(あるのか?)「将軍の命」ってのを大義名分にしてただ単純に人が斬りたいだけっつーもうほぼ殺人マシーンな義仙なわけですが。悪役だからこそ悲しいとか悪役だからこそ虚しいとかもなくホントもうシビアーにただそこに人がいるから斬るだけっつーある意味残忍極まりないわけですがでもストイックにワルーでなんかいいのだ。(は?)宗冬(橋本じゅんさんの役どころ)はやりたくないんだけど柳生家に生まれてしまった宿命として仕方なくっつか斬らないで済むのなら平和的に解決しようとする人でまぁそれが当たり前なんだしそうなれば一番いいんだと思うんですよね。でもわざわざ義仙は誠一郎(堤真一さんの役どころ)に「親兄弟を殺したのは私だ」って吹き込んで「さぁ復讐しろ」とでも誘いをかけるような態度を取るわけで。復讐は復讐しか生み出さない。でも誰にだって憎しみの心はあってそれで殺してやりたいほど憎い相手がいてそれをぶつけてくることが人間らしさなんだと説く。お前と俺に何の違いもないのだ、と。でも踏み止まるのも人間ですよね。ま、義仙は誠一郎に殺されるわけだけど殺したからって死んでしまった人が生き返ってくるわけでもないしその空白はどうやったって埋められないし一生「殺してしまったこと」ってのを背負って生きていかなくちゃいけないわけだし。洗ったって洗ったってその手は綺麗にはならないわけでさ。そこまで狙ってたら義仙ってどうしようもなくワルーだな、と。でも好きだー。(爆)ま、吉原が舞台なわけなのでいわゆるそういうシーンはあるわけですが。(は?)確かに松雪さんも色っぽかったし白いー眩しいーって感じだったんですが。(おい)新ちゃんにはかなわねぇ。(何が)ちょっとぞくっと来た。(言ってろ)役得エロっすねい。(爆)足首にかぶりついちゃってるのとかもうどうよ?(もういい)ある意味新ちゃんだけでいいです。(それシーンとして成り立たないから)おひょいー(藤村俊二さん)はもう全体的におひょいーでした。(は?)自分では動けないから焚き付けるだけのじじい役でラクチンですよね。(おい)丹波哲郎ほどお助けが必要でなくてまだよかったです。(爆)あともう(梶原)善々は全然かっこいいよっ!(これ言いたいだけなんじゃ…?)最初出て来た時はとんだ八方美人野郎かと思ってたんですが。(おい)全然違ってましたねい。男に惚れ込むってホントあるんだなーって感じで。「全然死に花散らせねぇな」ってくぅーっ!(あ。台詞に関してはウロなので違ったやも。爆)たまにはまぁこういうシリアスもアリなのかなーなんて。でも新感線に期待するのはやっぱり脱線キャラなので。(え?)どこかちょっとした息抜きが欲しかったのも事実ー。(おい)新感線がやるっていう括りがなかったら素直に観れたのかもですが。(え?)カーテンコールはもう善さんの自由っぷりに心奪われでした。(は?)その前は堤さん&じゅんさんのアンガールズが見れたとか聞いたんですけどそれはなかったですーん。(残念。←おい)もう最後の方新ちゃんは完全にないと思ってたのかすでにペットボトル持参で出て来たりしててちょっぴりそれは笑えたんですけれど。つか拍手も一回トーンダウンしたのでないかと思ってました。(爆)で。今回パンフの役者さんごとの寄せ書きめっせいじでじゅんさんのがくどちゃんだったわけですが。なんとなーくそれ読んでたらうるっと来ました。(は?)可愛くて。(え?)「キレイ」の楽屋で書かれたとかだったらしいんですけれど。じゅんさんが「何書いてんの?」って言ってるので「またちょっとコントを(ホントはじゅんさんへのめっせいじだけど)」って答えたら「大変やなぁー」って感心されたっていうくだりでなんかほわわんときちゃいましたよ。年だなー。(苦笑)てなわけで次回くどちゃん脚色の「メタルマクベス」も大期待なのですーん。(無理矢理)あぁ…チケット無事に取れますようにー。(念)そして今度こそ早めにDM下さい。(爆) |