多発性骨髄腫 Multiple Myeloma(MM)
研究ノート


■14. 支持療法

● 骨病変の管理

● 疼痛管理

● 高カルシウム血症の治療

● 腎障害対策

● 貧血の治療

● 感染症の予防

● 神経障害

● 過粘調度症候群対策

● ALアミロイドーシス


● 骨病変の管理

ビスフォスフォネート製剤による治療が推奨される。また経皮的脊柱形成術もある。

-> ビスフォスフォネート製剤

-> 経皮的脊柱形成術(日本血管造成IVR学会)

● 疼痛管理

鎮痛剤投与のほか、コルセットの装着、局所の放射線照射を行う。照射量は1日1.5〜3Gy、総量30〜40Gy程度で十分である。またビスフォスフォネート製剤に骨痛の軽減効果が認められている。

鎮痛剤の種類、投与法について日本緩和医療学会”癌疼痛治療ガイドライン”(1999年)に従い投与する。

軽度から中度の痛みに対しては、非ステロイド性消炎鎮痛剤 NSAIDs、又はアセトアミノフェンを用いる。腎臓障害のある患者に対してはNSAIDsの使用は避けるべきである。NSAIDs投与に際しては副作用に十分注意する。特に消化管粘膜障害に対しH2ブロッカー、プロトンポンプインヒビター、ミソプロストール(ムコスタ等)などが予防薬となる。NSAIDsはオピオイド(リン酸コディン)との併用で相加的効果以上の鎮痛効果を示すことが多く、リン酸コディンは20mg/回×4〜6回で開始、1日量200mg〜300mgまで増量できる。

中等度以上の痛みに対しては、モルヒネを使用する。塩酸モルヒネなら4時間ごと、硫酸モルヒネ徐放錠(MSコンチン)なら8〜12時間ごとに投与する。副作用として便秘が最も多く、緩下剤の投与を考慮する。

● 高カルシウム血症の治療

生理的食塩水による補液とBis製剤の点滴を行う。

十分な尿量が確保できず体液過剰が疑われる場合はループ利尿薬を使用する。

PSL40〜100mg/日の併用も有効である。

● 腎障害対策

骨髄腫腎と高カルシウム血症が原因である。脱水、感染症、NSAIDs、造影剤、高尿酸血症、アミロイド沈着などが増悪因子となる。

CVPモニター下に補液と重曹による代謝性アシドーシスの是正と尿のアルカリ化、電解質補正を行う。

Bence Jones蛋白陽性の患者では1日3L以上の尿量を維持するように補液を行うが、心血管系合併症をもつ患者や腎障害の進行した患者には十分な注意が必要である。

尿量が確保できる腎不全を伴なう患者に対する化学療法はVAD療法(心機能障害が認められる場合はHDD)が推奨される。

保存的管理が不可能となった場合は、必要に応じて血液透析を行う。

● 貧血の治療

腎不全を伴なう貧血に対してはエリスロポエチンを投与する。腎機能が正常な患者の貧血においてもエリスロポエチンの有効性が認められているが、日本では保険適用がないので適宜輸血を施行する。

● 感染症の予防

肺炎球菌とインフルエンザウイルスのワクチンの予防的使用が推薦される。発熱を伴なう細菌感染症に対しては早期より適切な抗菌療法が必須であり、細菌培養の結果で投与する抗生物質を再検討する。

化学療法により好中球実数が500/μL以下となった場合、C-CSFを投与する。発熱時は好中球実数1000/μL以下でC-CSFを投与する。

● 神経障害

脊髄横断症状の診断にはMRIが有用で、局所放射線療法とHDDが有効である。整形外科的手術が有効との報告もある。

● 過粘稠度症候群対策

血漿粘稠度の上昇により、口腔内出血、鼻出血、視力障害(blurring)、意識混濁などが見られる。IgA型に多く、稀にIgG型にも見られるが、血漿粘稠度に関わらず、症状があれば速やかに血漿交換を行う。

● ALアミロイドーシス

MMにおいてアミロイド沈着は約30%に見られるが、実際に症状が見られるのは6%程度である。

診断は生検標本のコンゴーレッド染色による。生検部位は病変部から行うのが良いが、皮下脂肪組織、口腔粘膜、胃粘膜生検が簡便で検出率が高い。

アミロイドーシスに対して効果的な治療法は今のところ無く、腎障害,心筋障害をきたしている例はきわめて予後不良である。

原発性ALアミロイドーシスにおいて自家移植を併用した大量化学療法の有効性が示されたが、臓器障害がすでに発症しているため、TRMが30〜40%にのぼる。