多発性骨髄腫 Multiple Myeloma(MM)
研究ノート

■12. 分子標的療法

ベルケード


● ベルケード(Velcade):プロテアソーム阻害剤ボルテゾミブ(bortezomib)

ベルケード(商品名:Velcade)は、プロテアソーム阻害剤と呼ばれる薬剤クラスのひとつで、少なくとも2つ以上の治療歴があり直前の治療でも疾病進行が認められた多発性骨髄腫患者の治療に対して、FDAより2003年5月13日に承認を受けた。

■ 参考文献

製品情報

■ 作用機序

 

■ 臨床試験

1)既治療例(再発/難治性)対象試験

第III相無作為化比較試験APEX trial

再発MMを対象としたボルテゾミブ対デキサメサゾンの第III相無作為比較試験で、ASCO2004(6月)で結果が報告された。ボルテゾミブがデキサメサゾンより病勢進行を遅らすことができる(5.7-3.6/3.6=0.58で58%の改善効果)ことが証明され、デキサメサゾン群の試験は早急に中止された。

 

  • 2002年6月〜2003年10月間に、既治療(1〜3回)後再発したMM患者669名がボルテゾミブ(327名)対デキサメサゾン(330名)に無作為化された。
  • 病勢進行までの時間は、ボルテゾミブ群が5.7か月、デキサメサゾン群が3.6か月であった。
  • 死亡者はボルテゾミブ群13名、デキサメサゾン群24名であった。
  • グレード3以上の感染症は、ボルテゾミブ群22名(6.7%)、デキサメサゾン群35名(10.6%)であった。

第II相試験(SUMMIT trial)

進行した再発/難治性MM患者202症例を対象としたボルテゾミブの第II相試験で、N Engl J Med (2003年6月)で結果が報告された。

第II相試験(CREST trial)

初回治療で進行又は再発した再発/難治性MM患者54症例を対象としたボルテゾミブの2種類の用量を比較した第II相試験で、ASH2002(12月)で結果が報告された。

2) 未治療例対象試験

未治療MMの初回治療に適用した試験結果がASCO2004(6月)で報告された。

未治療MMの初回治療に適用した試験結果がASH2003(12月)で報告された。

3) 他剤との併用療法試験

PAD療法(ボルテゾミブ+ドキソルビシン+デキサメサゾン)

未治療MMを対象としたボルテゾミブ+ドキソルビシン+デキサメサゾンの併用療法が、ASCO2004(6月)で報告された。

VTD療法(ベルケード+サリドマイド+デキサメサゾン)

自家移植後再発した56症例を対象としてベルケード+サリドマイド+デキサメサゾンの併用療法が、ASH2003(12月)で報告された。

Vc+M療法(ベルケード+メルファラン)

再発難治性MMを対象としたベルケード+メルファランの併用療法が、ASH2003(12月)で報告された。

■ ASH2003(12月)で報告されたアブストラクト

■ 関連文献

■ 投薬と処方

3週間サイクルで、1日、4日、8日および11日に静脈内投与する。標準的には8サイクル実施し、効果が得られれば5週間サイクルで3サイクル継続する。

■ 副作用

第II相試験(SUMMIT and CREST, 1.3 mg/m2)における有害事象

Side effect
副作用
Percentage of Patients
患者数%(N=228)
無力症状Asthenic conditions): 疲労感fatigue, 不快感malaise, 虚弱weakness) 65%
吐き気(Nausea) 64%
下痢(Diarrhea) 51%
欲求減退Decreased appetite or 体重減少(weight loss 43%
便秘(Constipation 43%
血小板数低下(Low platelet counts 43%
末梢神経傷害(Peripheral neuropathy* 37%
嘔吐(Vomiting 36%
発熱(Fever 36%
貧血(Anemia 32%

最も多いグレード3と4の有害事象には、血小板減少症 (30%)、無力症状:疲労感、不快感、虚弱 (18%)、好中球減少症(16%)、末梢神経傷害(14%)があった。