コーラスはヒーリングアーツである

 私は、コーラスを聴く時は、歌い手の表情やノリを見るのが楽しみである。技術的なことより、どれだけその気で歌っているかに興味がある。音程や強弱・速さなどの楽譜に忠実な表現よりも、音符や歌詞を超えた歌い手の表情や体から、聴き手に情感が伝わる。私は、コーラスは癒しである、と思う。

ところが、別々に録音した個人の声を同時に流してもそれはコーラスにはならない。同じ部屋の空気と時間を共有して歌わなければコーラスではない。私はコーラスは、歌い手が練習の時間・場所を共有してこそできあがるという、コストの高い(めんどうな)ものだと思う。そこにエネルギーが生まれる。癒しのエネルギーである。

 この春こんなチャンスが巡ってきた。

6月4日(日)「アーケンコール」と合唱祭

<日時>6月4日(日) 9:00〜21:00
<場所>京都会館第1・第2ホール
<曲目&指揮者>
 1.
"All things bright and beautiful"
   J・ラッター作曲
    指揮者:福本研吾
 2.混声合唱組曲「風に鳴る笛」より
“未来”
   谷川俊太郎作詩・高嶋みどり作曲
    指揮者:西川 賢
<練習日>
 4月23日(日) 西陣教会2F PM2:00〜5:00
 5月14日(日) 西陣教会2F PM2:00〜5:00
 5月28日(日) 鴨沂会館2F会議室 PM2:00〜5:00
 6月4日(日) 鴨沂会館1Fホール AM10:00〜12:00

今年3月5日(日)のこまくさOB会で、合唱団のOBとしては歌いたい時には歌えるチャンスが欲しいと話したところ、OB有志で作っておられるアーケンコールという合唱団で6月の合唱祭で歌おうということになった。

5月14日(日)、西陣教会の練習に参加。Nさんの指導で初見の楽譜をにらみ3時間、久しぶりに声出し。

5月28日(日)鴨沂会館は(娘のAが偶然オーケストラの練習で隣の部屋に来ていた)練習は大学院生のTさんが丁寧に指導してくれた。

今回の合唱練習などの連絡はすべてKさんのアーケン通信というEメール配信であった。しかし何といってもすごかったのはMIDIで各パートの音を配信していただいたこと。これはすごい。私も久しぶりに「ミュージロー」のソフトで開き音色を色々変えたり楽譜にコピーしたり、そして実際に一人で発声練習に何度も使わせてもらった。MIDIの音程とリズムは完璧である。これほど練習に適したものはない。合唱練習には最適の方法である。URIBOさんの熱意と努力に感謝。

6月4日(日)朝10時半、集合。2時まで練習。京都会館のそばのそばやさんで遅い昼食。3時過ぎ、第一ホールこまくさ現役のステージは、若者らしいまとまった上品な演奏。4時過ぎ、噴水前広場は雑踏で声だし出来ず。オーダー確認。係員の誘導で控え室へ、そしてすぐ暗い通路からステージの上手そででスタンバイ。最も緊張した神々しい気分になる時。

4時半、はい、出番。指揮者Fさんの合図でピアノが流れ、「All things bright and beautiful,,,」。そして指揮者Nさんが歩きながらピアノスタートで、「青空に向かって僕は竹ざおを立てた、、、」。その間6分半。

そのあと、木屋町三条でビールの乾杯、これが最高。酔い覚ましに夕闇の鴨川で輪になって愛唱歌、、、。

いやー、コーラスって、ヒーリング(癒し)である。すばらしい元気を蓄えさせてもらった。

後日談を一つ。その3日後にアユ釣りに出かけたが、澄んだ川面と真っ青な青空に、思わず「未来」を口ずさむ。

青空に向かって僕は竹ざおを立てた。
それは未来のようだった。
決まっている長さ超えて、どこまでも、
青空にとけ込むようだった。
青空のそこには、無限の歴史が昇華している。
僕もまた、加わろうと、
青空のそこには、とこしえの勝利がある。

なんだ、そうだったのか、あの歌はそういう意味だったのか、無限の歴史に加わりたいという願いがあったのか、人間の営みの悠久さを思って今生きている事に感謝している歌なのか、、、、、と。