226 2015-7-1更新

奈良に旨いもん

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 最近すっかり奈良人になったと思う時がある。他県の観光情報等がテレビで映し出されると「奈良も頑張らなーっ」とついテレビに話しかけてしまう。
 奈良にはこんな諺がある「奈良に旨いものなし」という。この発祥もとは、13年間奈良に住んでいた志賀直哉が随筆「奈良」の中に書いたもので「食ひものはうまい物のない所だ」がもととされている。
これは「奈良には旨いものは何もない」と言っているのではないように思えるが、「奈良に旨いものなし」と解釈され、文豪が書いた一文だけが勝手に歩き出したらしいが、どう解釈していいのか分からない。
 奈良には「大和牛や日本酒(発祥)、醤油、奈良野菜、三輪素麺、吉野葛等など。昨今では米も日本一だ」と声高に言ってみる。
 奈良の人々にとっては「あっ」と言う間に「都」を京都へ移されて以来

おとなしく、柔和で、奥ゆかしい人になり、表に出なくなった。煌びやかな平安文化も平城京から移った奈良の工人たちがその基礎を伝授したのだから、もっと声高に言えばいいのに…。と、すっかり自分が奈良を応援していることに気が付く。
 話は変わるが先日毎日新聞の「余録(2015_6)」に
「≪はしか絵≫は幕末の江戸ではしかが流行したおりに出回った…」とあった。
これを読んだときに「江戸では、しかが流行した…」と濁点を一つ入れて「江戸では、鹿が流行した…」と読んでしまい頭が混乱した。
「しか」と「ひらがな」が目に入ると「鹿」と頭が勝手に漢字変換してしまったのだ。
すっかりと奈良人になっている自分に改めて気づいた次第である。

 


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