235 2016-5-1更新

鰹とツナ缶

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 江戸時代の俳人・山口素堂の「目に青葉 山ほととぎす 初鰹」言う俳句がある。
目にも鮮やかな「青葉」見、「ほととぎす」のきれいな声を聴き、美味しいこの時期の「初鰹」を食べるのが一番と言うことだ。
山口素堂の時代、江戸っ子は、この時期に出回る「初鰹」を食べるのが「粋」とされた。
何でも当時は一匹が小判一枚と言われ、今では数万円に値するらしい。
初物になぜこだわるのかといえば、他にはない生気がみなぎっており、新たな生命力が得られると考えられていたからだ。
 その鰹がいま、不漁で大変なことになっていると言う。
日本で「ツナ缶」といえばマグロの缶詰と思っていたら、なんと世界的には大半が「鰹」が原料とか。鰹のツナ缶の最大生産地はタイ国だと言う。鰹はフィリピン沖から黒潮にのって、エサを求めて九州から日本列島沿いに北上して来て、南下する回遊魚である。特に北上してくるこの時期の鰹は赤みが多く、サッパリとしたみずみずしい味が特徴。
表面をさっと炙った「鰹のタタキ」はこの時期にしか味わうことが出来ない絶品。
それが列島に到達する前に南洋で巻き網漁で一網打尽にされ、黒潮にのって北上してくる「初鰹」が不漁になっていると言う。
 この分ではまたまた江戸時代に逆戻りして「初鰹は女房子供を質に置いてでも食え」という時代が来るかもしれない。


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