254 2018-7-1更新

贅沢な傘

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 コンビニなどで販売されているビニール傘のことを「使い捨て雨傘」など言う。ネットで調べてみると1本80円位から売られている。傘にとっては失礼な呼び方である。
 傘の定義としては「上から降下してくるものに対して直被しないように防護する目的の用具」とあり、大きく分けると洋傘と和傘に分類され、今では「使い捨て雨傘」を始めほとんどが洋傘の部類に入る。その裏ですっかり見なくなっているのが、番傘や蛇の目傘と呼ばれる和傘である。「番傘」と「蛇の目傘」の違いは、竹串が多いか、丁寧に作ら、装飾が施されているか、いないかであると言う。観光地で外国人が和服を着て、洋傘をさしているのを見るとなんだか落ち着かない昨今である。
 さて、今年も梅雨に入った。日本気象協会から入梅が発表されたが、昨年より14日も早い梅雨入りだそうな。
 梅雨に入ると毎年思い出すことがある。
それは、小学低学年の頃の梅雨の真っただ中、今日も「番傘」をさして、
田圃の中の細い1本道を通り約30分かけて学校へ向かう途中のことであった。
その日は何故か傘を開いたときに「柄」の上部にある「突起」の構造が気になり、傘を開いたりつぼめたりしていた。すると、突然「骨」を束ねている糸が切れ、壊れてしまい、傘の役目が果さなくなってしまったのである。
 雨は降り続っている。このまま学校に行くより家に戻る方が近いと判断して戻ることにした。家にたどり着いたときは、衣服は雨でぬれ重かったのをおぼえている。
さー、どうする。祖母との二人暮らしである。祖母は、はや家を出て行っており余分な傘はない。着替えはどうするっ。
で、学校を休むことにした、と言うより雨の中か傘なしでは行けなかったのである。
いま、我が家には、折り畳み傘、ビニール傘、車の中と家族人数分の何倍かの傘がある。「贅沢な暮らしをしているものだ」と、この時期思う。


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