片桐西幼稚園では、“かろやかに たくましく にこやかに じぶんらしく”の教育目標を掲げ教育を進めています。令和4年度は「夢中になって遊ぶ子どもをめざして」~自立心を育む環境とは~を研究テーマに取り組んできました。夢中になって遊ぶ中で、一人一人の子どもたちの自立心を育み、やってみたい、やりとげたいという自分の思いや願いを実現させる達成感や充実感を味わい、友達や先生とともに多様な経験を積み重ねられるように環境構成や援助を工夫してきました。令和4年度を振り返り、本園の取組状況を職員で自己評価したものと保護者の皆様に年度末アンケートで評価していただいたもの、そしてその結果から、学校評議員の方々にご意見をいただきました。
 ○ 幼稚園の自己評価 及び 学校評議員評価
   幼稚園の取り組み状況については、4段階の評価基準を設定し、自己点検・自己評価を行いました。
   学校評議委員の評価についても、4段階の評価基準を設定し、評議員会及びアンケート調査の結果を基に評価 
   頂きました。

極めて達成度が高い(80%以上) 概ね達成できている(80%~60%)
課題を残している(60%~40%) 課題が多く改善が必要である(40%以下)
 ○ 保護者の評価 
    保護者の評価については、5段階の評価基準を設定し、アンケート調査による評価をしていただきました。    
A そう思う まあそう思う あまり思わない 思わない わからない
保護者アンケート調査の結果及び園の自己評価・評議員評価の集計表 
回収率 ( 年少組: %  年中組:  %  年長組:  % )
項  目 内          容 保護者の評価
(%)
教育課程
教育目標
子どもは、幼稚園に通うことを喜んでいる。 90 10 0 0 0
教育内容  2
幼稚園での遊びや活動を通して、子どもが成長してきたことを感じる。 72 28 0 0 0
3 えほんランドやかたにしフォトギャラリーなどの取組を通して子どもたちの経験が豊かになったと感じる。 93 7 0 0 0
組織運営 4 先生たちは、力を合わせて子どもの教育活動にあたっている 83 17 0 0 0
安全管理
保健管理
5 幼稚園は、子どもの健康状態を把握し、安全面に配慮している。 79 18 3 0 0
教育環境整備 6 幼稚園は環境整備や清掃を行い、子どもが活動しやすいようにしている。 79 21 0 0 0
情報提供 7 園の情報を園だよりや通信 、写真掲示、ホームページなどを通じてわかりやすく伝えている 86 14 0 0 0
 
A  
保護者
地域の
連 携
8 幼稚園は、保護者や地域の人たちの意見を聞く機会を設けている。( アンケート調査など ) 79 21 0 0 0
子育て
 支 援
 
9 幼稚園は、教育相談や園庭開放を行っている 86 14 0 0 0
10 子どもを、この幼稚園に通わせてよかった 83 17 0 0 0
保護者アンケート調査から、保護者の回答と感想、園の今後に向けての改善方策、成果の一部抜粋
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

◎総評

・幼稚園の取組である、異年齢縦割り保育『かたにしタイム』や『おはなしだいすきプロジェクト』『えほんランド』は、『響育』として片桐西幼稚園の特色であり、園の良さが表れていてよいと思う。今年度の園の魅力ある取組を、今後も継続してほしい。

・子どもたちとの対話、教師同士の対話を大切にする『かたにしトーク』は、とてもよい取組である。職員が全体的に若くなり、若年層を支え育てていくためにも特に必要だと思う。安定して、職員や保育の質を上げていける職場環境の工夫を今後も大切にしてほしい。

・園と地域との連携『郷育』は大切であり、自分のふるさとは大きくなった時の宝となる。今後も地域として協力していきたい。

・園児数減少が課題であり、公立幼稚園が厳しい現状であることが分かる。課題に対して、園として様々な対策を考えているのを感 じる。園の魅力的な取組や保育内容を、対外的にアピールし、地域の入園前対象の方に事前に伝わるようにしていく必要がある。

・園庭の排水状況が改善されてよかった。今後、老朽化した遊具が改善され、魅力的な環境になることで、園児獲得にもつながると 思う。また、遊具がない状況に応じた保育内容を見直し、援助の仕方を工夫する努力も重ねてほしい。


教育活動

・子どもたちが生き生きと活発に過ごしている姿が印象的であった。各保育室の壁面制作や絵画からも、子どもたちがよい情操教  育を受けていることが感じられた。

・異年齢縦割り保育『かたにしタイム』で、異年齢児同士が自然に関わっている姿が見られてよかった。異年齢の関わりから学ぶことが多くあると思うので、今後も継続してほしい。

・『えほんランド』は、小学校での読書タイムに接続しているよい活動だと感じた。

・今後コロナも5類になるので、来年度からは、保幼小間で子ども同士の交流も再開できればと願う。今後の感染症の動向を見な  がら、幼小交流も
模索し、変わりつつ状況の中で最善のことができるとよい。                                                                                                                 
◎学校運営                                                                                                                                                                                                            
・園内の清掃が行き届き、園内の雰囲気もよいと感じる。

・先生方の丁寧な関わりや、安心・安全を心がけた環境作りがよいと感じた。

・『かたにしトーク』で、自由に話し合えるよい職場関係の構築がなされているので、継続できる状況を望む。

・子どもたちがマスクを外せる状況になったことは、大きな変化である。今後、大人もはずせることで、もっと心が通い合うだろう。                                                                                                              

◎情報発信・ 地域とのつながり                                                                               

・地域に根付いた魅力ある幼稚園を作り上げようと努力している。園児獲得のためにも、園の魅力を地域へ具体的に発信する、地道な努力を重ねてほしい。

・幼稚園の活性化のためにも、小学校との接続という点をアピールし、地域の幼稚園であることを強みにしてほしい。

・園長通信やホームページ、動画等、保護者に園の様子を伝える取組がよいと感じた。保護者や地域の方ともよい関係が築けていると感じる。

・厳しい現状の公立幼稚園を応援できるように、PTA連合も応援する体制を整え支えたいと思う。                                                                                                          


・かたにしタイムやえほんランドなど、保育を工夫し、魅力ある園づくりに努めていると、とても感じます。

・先生が大好きで、入園当初から泣きもせず毎日楽しそうに登園しています。長女から数えて3年目ですが、変わらず子どもたちと真摯に向き合って下さっていて、とても感謝しています。

・連絡メールの確認ボタンをつい忘れてしまいます。用事があり確認できないとたくさんの同じメールが届いていて驚きます。もう少し、時間をあけてもいいのでは?

・異年齢の子と関わることで、色々感じたり、気付いたりできると思うので、かたにしタイムは続けてほしいです。

・片西のメイン遊具であるトントン山やブランコが使えず、子どもたちの遊ぶ楽しみが減ってしまっているような気がして少し残念です。

・除草作業などの行事を毎回参加されない保護者、車で送迎している保護者がいます。小学生になったら自分で歩いて登下校するので、体力づくり、道を覚えるためにも、出来る限り歩いた方が良いと思います。実際、道を覚えていなくて、下校時に迷子になった小学生がいます。送迎時でなくても休日や特に入学前の春休み、親子で登下校の道の確認、子どもが道を覚えているか親が確認しておくべきだと思います。

・この幼稚園に通えて本当によかったと思っています。

・上の子が在園していた時に比べ、家庭の負担がどんどん減ってきているように感じます。遠足の日は、お弁当がおにぎりだけになったり、なわとびやこまのひもの布を縫い付けて記名したりしていたのが、マスキングテープに名前を書いてはりつけてもらったりと、先生方の一つ一つの配慮に本当に感謝しています。

・トントン山、ブランコ早く遊べるようになってほしいと思います。

・園周辺の道路がもう少しきれいになればいいなと思います。

 令和4年度は、「夢中になって遊ぶ子どもをめざして」~自立心を育む環境とは~を研究テーマとして取り組み、幼児の自立心を育み、夢中になって遊ぶことができる環境構成や援助を全職員で試行錯誤し、工夫しながら保育にあたってきました。
 
 幼児期は人格形成の基礎を培う大切な時期であり、幼稚園教育は、主体的・対話的で深い学びそのものです。夢中になって遊び、友達や教師とともに多様な経験を積み重ね、様々な感情を味わいながら、幼児の主体性や自立心は育まれていきます。夢中になって遊ぶ中でこそ、しなければならないことを自覚し、自分の力で行うために考えたり工夫したりし、諦めずにやり遂げる達成感を味わい自信をもって行動する「自立心」が育まれていくのです。一人一人の子どもたちが夢中になって遊ぶためには、自分の思いや願いが受け止められる安心できる環境であること、子どもたちの「やってみたい」「やりとげたい」「あきらめない」という思いや意思を実現できる環境であること、友達や教師とともに試行錯誤をしてやり遂げる経験を重ね、多様な感情を味わい多様な学びがある環境であることが大切であると分かりました。今後も、子どもたちの生きる力を育み、自覚や試行錯誤を促し、達成感、充実感、挑戦意欲、失敗しても乗り越えようとする心や姿を支え、育んでいけるように、一人一人の内面を深くみつめながら、子どもと教師がともに創造する保育を目指していきたいと思います。

 私たち職員は、今、目の前にいる子どもたちの育ちを確かに感じています。コロナ禍でしたが保護者の理解と協力を得ながら、保育の創意工夫をすることで、子どもたちは幼稚園生活の中で豊かな経験を重ねてきました。朝の体操やマラソン、新しく始めたチャレンジタイムを通して、たくましい心や体を育みました。響育として、異年齢縦割り保育「かたにしタイム」を実施したり「おはなしだいすきプロジェクト」を立ち上げ、えほんランドやおはなしタイムを実施し人の話を聴く大切さを感じ、おはなしに浸る喜びや楽しさを味わいました。「かたにしトーク」では子どもたちと先生、先生同士の対話の積み重ねを大事にし、自分の思いの表出と人の思いへの共感の大切さを感じました。自然界の虫たちや、空や風の変化にも心を寄せ目を輝かせて遊び、好奇心や探究心を深めました。縄跳びにチャレンジし、自分がやり遂げたいと思ったことにあきらめず挑戦し達成感や喜びを味わいました。お祭りごっこやプラネタリウムごっこを考え、みんなで遊びを創り出す楽しさを感じました。郷育として、地域の人や自然、文化施設に触れることで親しみをもち、学ぶ喜びを感じることができました。このような幼稚園生活での多様な心に残る経験を重ねて、様々な感情を味わい、子どもたち一人一人の学びや育ちが育まれていきました。これからも、子どもたちが夢中になって遊びや生活を進め「楽しい」「分かった」と思える感情が動くような学びを、大切にしていきたいと思います。

 私たち職員は、これからも、一人一人の子どもたちと丁寧に向き合い、夢中になって遊び生活する喜びを感じられるような、園教育を目指し、試行錯誤しながら保育を重ねていきます。そして保護者や地域の皆様の温かいご理解とご協力をいただきながら、片桐西幼稚園に関わるすべての人が、園教育目標である『かろやかに たくましく にこやかに 自分らしく』生活できる、魅力ある幼稚園であることを願い、目指していきたいと思います。