発達について
できそうなことから こんなことをよくします 聞く
できそうなことから一つずつ
下靴を走りながら脱いで、教室に走りこんできます。
幼稚園のかばんやぼうしを床に放りだします。
そして、自分のしたいことをしだします。
あとからお母さんが追いついてきます。
「くつをこんなにぬぎちらして」といいながら。
子どもの脱いだ靴をそろえています。
「おはようございますってあいさつはしたの」と子どもに声をかけています。
そして、「あーあー」といって、かばんとぼうしを拾い上げ、机の上においていかれます。
一人では、教室で朝の準備ができないようです。
靴を脱ぐー靴箱に入れるースリッパにはきかえるーあいさつをするー帽子を脱ぐーかばんをおろすー机の上に置くといった 一連の行動ができないようです。
それで、次の指導日から、入り口で迎えるようにしました。
「おはよう」と声をかけ、教室に走りこもうとするのを止めました。
「靴をそろえて」と指示しましたが、 脱ぎっぱなしで行こうとするので、しゃがませて、いっしょに靴をそろえました。
「かばんと帽子は大きい机において」と指示し、放り出したかばんと帽子をいっしょに拾い、机の上に置きました。
「気をつけ。朝のあいさつをしましょう」と、もう一度あいさつをして、指導をはじめました。
これを1か月ほど続けました。
次に 少しずつ「〜して」と指示することばをへらし、「どうするんだった?」と問いかけをふやしていきました。
「次はどうするんだった?」と声をかけて、いっしょに靴をそろえました。
「教室に入ったらどうするんだった?」と声をかけて、いっしょにかばんと帽子を大きい机の上に置いていきました。
そして いっしょにすることをへらしていきました。
子どもだけで問いかけに答えさせました。
指導では、動きの絵カードを使い、朝の一連の行動を意識化させていきました。
動きの絵カードを見せて「なにをしていますか」と問い、ことばで表現させました。
「きょうしつに きたとき、このあと なにを しますか?」と問い、動きの絵カードを順番に並べ、それをことばで表現させました。
家ではお母さんが同じように関わって下さったんだと思います。
子どもに言って聞かせる。子どもにやって見せる。
忘れていたら、もう一度やって見せる。
できたときにはほめる。
スモールステップで子どもに関わってくださるようになりました。
ついに これをしつづけたことで、何も言わなくても、自分で朝の準備ができるようになりました。
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こんなことをよくします
やってみたい、見てみたいの1、2歳
ハイハイができて動けるようになると、こんなことをします。
おもちゃ、消しゴム、床に落ちているものならなんでも口に入れてしまいます。
よちよち歩きができるようになると、こんなこともします。
あっちでゴツン、こっちでゴツンとよくぶつかります。
ティッシュペーパーがあれば、箱から全部ひきだしてしまいます。
電子レンジや炊飯器のボタンを押して遊んでいます。
知りたいの3、4歳
人からやりなさいと言われるのがいちばん嫌い。
「これはなあに?」とよく聞いてきます。
けれども、「ちがうよ」と教えようとすると、「もういや」と言ってプイッと横を向いてしまう。
この時期の子どもって、好奇心を育てているんですね。
または、自分の好奇心を表現しているんですね。
何かをしようとしているお母さんのところにきて、「わたしも、わたしも」と手を出してこられれば、イライラするでしょう。
先回りして、やらせないようにすることもできます。
でも、それをすることで、子どもの好奇心をつぶしてしまってはいないですか?
子どもの気持ちを無視して、押し付けても好奇心は伸びません。
子どもの好きなことを広げていきながら、学ぶことを取り入れていく。
この時期の子どもには、生活の中で、遊びの延長線上で字や数字を学ばせていくことが大切です。
そのためにはお母さんの「遊び心」と「ゆとり」が大切です。
これは「初めてのおべんきょう」と言う本の一部をまとめたものです。
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聞く
聞くという力は、次の五つに分けられます。
「聞こえる」「聞く」「聴く」「傾聴」「訊く」です。
「聞こえる」は、聞く意志がなくて、ただ耳に入ってくること
「聞く」は、聞く意志をもって聞くこと
「聴く」は、聞く意志をもち、注意して聞くこと
「傾聴」は、聞く意志をもち、注意を集中して聞くこと
「訊く」は、自分の聞きたい意志を相手にまで及ぼし、答えを求めて積極的に聞き出すこと
という意味です。
この五つの聞くは発達とともに獲得されていきます。
聞く力の発達 新生児期の子どもは、大きな音に反応し、母子間でコミュニケーションが成立していることから、「聞く」という レベルに達しているといわれます。
乳幼児期に「聴く」「傾聴」「訊く」を獲得していくといわれます。
「聴く」というレベルでは、母親の声が聞こえてくると、探し求める行動をします。
「傾聴」というレベルでは、ことばの模倣をしたり、ことばによる指示に従い行動をします。
そして、「訊く」というレベルでは、「これ、なあに?」と質問する行動をします。
やがて子どもは「聞く」という力を基礎にして、「話す」「書く」といった行動を生み出します。
聞くことで、ことばを発達させていくのです。
また、人は、この五つの聞く力を周囲の状況や、必要に応じてうまく使い分けて生活していきます。
ところが、子どもの1日の生活をふりかえってみると
朝、登校中に「おはよう」と声をかけたとき、眠そうな目をこちらに向けますが、「おはよう」と返ってこない子どもがいます。
目では反応していますが、年齢相応のコミュニケーションが成立していません。
この子にとって「おはよう」というあいさつは、ただ音として「聞こえる」ということなのでしょうか?
前の日、夜遅くまでおきていたのでしょうか?
長い休みが終わり、園や学校が始まったばかりで、集団生活のリズムが取り戻せないんでしょうか?
寝坊して朝ご飯を食べないで、出てきたのでしょうか?
家を出るとき、おうちの人におこられたのでしょうか?
出さないといけない宿題ができなかったのでしょうか?
友だちとうまくいっていないのでしょうか?
授業中、先生は子どもにいくつかの指示を出しますが、指示どおりの行動ができない子がいます。
指示が多すぎて、おぼえられなかったのでしょうか?
指示を理解できなかのでしょうか?
休み時間に友だちとけんかでもしたのでしょうか?
授業の内容がわからなくて、先生の指示を聞きもらしたのでしょうか?
五つの「聞く」力を子どもがうまく使えていないのは、なぜでしょう
食欲や睡眠といった生理的な欲求、安心して集団生活を送るといった安全への欲求、自分の役割や責任を果たし大事にされたい、認められたいといった所属や愛情の欲求、尊重の欲求が満たされていないというのも理由の一つではないでしょうか。
このような欲求が満たされていないことが、精神的に不安定な状態を招き、聞く力をうまく使えていないのではないでしょうか。
このような基本的欲求が十分満たされて初めて、知ることと理解することの欲求が子どもに生まれてきます。
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ことばのもり