当注釈に関する著作権は仮想劇団くじら座に帰属します。無断転載・引用はお断りします。
- 【知らざあ言って聞かせやしょう】
- (俺のことを)知らないのなら言って聞かせてやろう。
- 【浜の真砂】
- 石川五右衛門の辞世の句を指す。
- 「石川や 浜の真砂は尽きるとも 世に盗人の種は尽きまじ」
- 石川(底に多くの石がある川:自分の名前にかけている)の浜にある、細かな砂が尽きることがあっても(:俺が死んでも)、世の中から盗人となる者がいなくなることはないだろう。
- 【五右衛門】
- 石川五右衛門。安土時代の盗賊。1558年頃〜1594年10月8日。
- 【歌】
- 和歌。ここでは辞世の句。
- 【七里ヶ浜】
- 鎌倉市南西部、稲村ヶ崎から小動ヶ崎(こゆるぎがさき)に至る間の海浜。
- 【白浪】
- 盗人の別称。後漢書霊帝紀にある「白波賊」(白波谷に出没した盗賊。張角の残党)を訓読したものに由来。直前の「七里ヶ浜」に「白い波」をかけている。
- 【夜働き】
- 夜に仕事をすること。この場合は夜に盗みをはたらくこと。
- 【以前】
- 昔。
- 【江の島】
- 神奈川県藤沢市にある陸繋島。弁財天信仰のメッカ。
- 江島神社の社殿は島のほぼ全域におよび、本社は辺津宮、中津宮、奥津宮の三宮。
- 【年季勤め】
- 年季を定めてする奉公。年季奉公と同じ。
- 【児ヶ淵】
- 江の島にある海食台地。自分が稚児あがりであることをかけて言っている。
- 【百味講】
- 信者が集まり、神仏に百味(さまざまな食物)を奉納すること。
- 【蒔銭】
- 古い言葉で、神仏に投げ手向けた賽銭のこと。丸い穴のある鉛製の小銭(鳩の目銭)が用いられた。
- 【当に】
- あてにして。
- 【小皿】
- 小規模の。
- 【一文子】
- 一文銭を賭ける小規模の博打。岩本院の稚児の間でよく行われた。
- 【百が二百と】
- 百文から二百文と
- 【くすね銭せえだんだんに】
- 盗んだ銭が増えていって。
- 【のぼる】
- エスカレートする。
- 【上の宮】
- 江島神社を構成する三社の一、中津宮のこと。直前の「のぼる」にかけている。
- 【岩本院】
- 江の島にあった坊(参詣する人が泊る社寺の建物)。将軍や大名、勅使などが宿泊した格の高い宿だった。
- かつて岩本坊といい、江の島の三宮(辺津宮、中津宮、奥津宮)の総別当職を務め、江の島全体の大きな権力を握っていた。
- 女人禁制だったため、宿泊客の世話は付近漁村の男子が稚児として働いていた。
- 現在は岩本楼として旅館業を営んでいる。
- 【講中】
- (岩本院に宿泊している)参詣グループ。
- 【枕探し】
- 眠っている旅客の枕元から金品を盗むこと。またその盗人。
- 盗られた方も弁財天への喜捨と考えて、あまり騒ぐことはなかったという。
- 【お手長講】
- 盗人仲間。手長とは盗癖、または盗癖のある人のこと。洒落て「〜講(=参詣グループ)」といっている。
- 【札付き】
- 悪い意味で名前が知れ渡っていること、またはその人。
- 【若衆】
- この場合は男娼。陰間。
- 弁天小僧が美少年を使って美人局をやってたのか、自分自身が女装して自ら脅しを行ったのか、どっちかしら。通説ではノンケらしいので、前者かな。
- 【美人局】
- 自分の妻や情婦などに男を誘惑させ、それをネタに金品をゆすりとること。またはその人。
- 【ここや彼処の】
- あちらこちらで。
- 【寺島】
- 初演した十三代目市村羽左衛門(後の五代目尾上菊五郎)の本姓。尾上菊五郎家の姓でもあり、寺島しのぶもその仲間。
- 「江の島の寺」とをかけている。
- 「えっ、寺? 江の島って神社じゃねーの?」と思ったら、鎌倉〜江戸時代は神仏習合されて「金亀山与願寺」とも呼ばれていたのだ。
- 【じいさん】
- 初演の十三代目羽左衛門(後の五代目菊五郎)からみて、祖父である三代目菊五郎を指す。
- この部分、六代目菊五郎は「小耳に聞いたとっつあんの」、菊五郎家と中村屋は「小耳にきいたじいさんの」としていたが、実際にそれぞれ五代目菊五郎が「とっつぁん」であり「じいさん」なのである。よって菊五郎家と勘三郎家以外は,たいてい「小耳に聞いた音羽屋の」としている。
- 【似ぬ声色で】
- (大役者であるじいさんの)似ていないモノマネで。
- 【小ゆすりたかり】
- 金品を脅し取ること。「小」は前の「ここや彼処の」「小耳」「声色」に頭韻を踏ませている。
- 【名さえ由縁の】
- その上名前までもがつながりのある。楽屋オチのとどめ。
仮想劇団くじら座