「宇都曾見乃 人尓有吾哉 従明日者 ニ上山乎 弟世登吾将見」
「うつそみの 人にあるわれや 明日よりは 二上山(ふたかみやま)を 弟世(いろせ)とわが見む」
(巻2・165)大伯皇女

大伯皇女の哀歌

大津皇子の墓

この歌の作者は大伯皇女(おおくのひめみこ)で、大津皇子(おおつのみこ)の姉に当たるとか・・・。

大津皇子は、天武天皇の第三皇子、容姿はいかめしく弁舌に長じ、文武に優れ教養高い逸物であったらしい。
その大津皇子が686年に天武天皇崩御の直後、謀反を企てる。
が、事はたちまち密告により露見し、皇子は磐余の池で死罪に処せられる。
その皇子の遺体をこの二上山の頂上に葬ったという。

大津皇子の姉は、「あとに生き残った私は明日からあの二上山をわが弟と思って眺めよう」と詠んだ悲痛の歌。
姉の大伯皇女は伊勢神宮の斎王となって赴任していたが、
大津皇子が埋葬されて後斎王職を解かれて帰京の際この挽歌をよんだ。
姉弟の情愛が感じられる。

大津皇子本人の歌に「あしひきの やまのしずくに いもまつと われたちぬれぬ やまのしずくに」(107)というのが有る。 

*推奨コース=近鉄二上神社口駅〜二上神社〜大津皇子の墓〜雄岳〜雌岳・・・1時間30分。
             雌岳〜祐泉寺〜当麻山口神社〜当麻寺〜近鉄当麻寺駅・・・1時間20分。

2016/1/5 単独当麻寺に参拝。
そのすぐそばの公園に大伯皇女の歌碑があった。