千鳥鳴 佐保乃河門乃 瀬乎廣弥 打橋渡須 奈我来跡念者」 
 (巻4/528)大伴坂上郎女 
千鳥鳴く 佐保の河門の 瀬を広み 打橋渡す 汝が来と思えば 
「千鳥が鳴いている 佐保川の渡し場の瀬が広く、渡りにくいので橋板を架けましょう。
あなたが来てくれるからと思えば・・・。」
 
 恋する女は愛する彼のためになら何でもしてくれる。
「あなたが来てくれるなら・・・」と家の前の川幅が広いので橋を渡してまで待っていてくれる。

 当時の結婚形態は「通い婚」だから、彼氏が来てくれて初めて結婚が成り立つ。
来てくれなければそれまで・・・。
ああ、あなた、早く会いに来て!


佐保川の橋

*推奨コース=近鉄奈良駅〜興福寺〜東大寺〜正倉院〜般若寺〜佐保川沿いに〜聖武天皇陵〜佐保橋〜新大宮駅

*所要時間=3時間



生駒山「万葉の路」で、  2004.10.28


「打上 佐保能河原之 青柳者 今者春部登 成尓鶏類鴨」

「うちのぼる 佐保の河原の 青柳は 今は春べと なりにけるかも」

という歌が巻8-1433に坂上郎女により歌われている。
ここにも「もう春で暖かくなったから、そろそろ彼氏は来てくれるだろう」との期待・心情が想像できる。