「茜草指 武良前野逝 標野行 野守者不見哉 君之袖布流」
(巻1-20)額田王)
「あかねさす 紫野行き 標野行き 野守は見ずや 君が袖振る」 
 勝手解釈
「あかね色に夕日で輝く紫野、標野でそんなに袖を振ったら、番人の野守が見ますよ。
あんまり派手な振る舞いは慎みましょうよ。
もうすぐ夕日が沈み、暗くなったら誰にも見えなくなるから、それまでいい子で待っててね。」


*紫野=紫草の生えている野原。
*標野=皇室の御料地の野原。

額田王は大海人皇子(後の天武天皇)との間に十市皇女を儲けていたが、この歌の時期には大海人皇子を離れ天智天皇(大海人皇子の兄)のもとにいる才女。推定年齢40歳。

この時代の女性の年齢としては相当のオババ。それでも自由奔放に男を渡り歩いている。
男からすれば、こんな女性に魅力を感じるのか?

主題の歌に対して
「むらさきの にほえる妹を 憎くあらば 人妻ゆえに われ恋ひめやも」(巻1-21)天武天皇

「紫草の匂うように美しいあなた あなたが憎いのであれば、すでに人妻であるのに 
なんで私が恋するものか? ああ〜、あなたが欲しい。」

という返句がある。
2003.6.30
梅雨の合間を見て、この歌の標野(しめの)を訪ねた。

大津から東、湖東一帯三上山繖山(きぬがさやま)のあたり蒲生郡(がもうぐん)という。
このあたり、半世紀前までは名前のとおり「蒲」の群生地であった。
(今は京都・大阪のベッドタウンとしてずいぶん開発が進んでいるが。)
 コース JR安土駅〜徒歩60分、観音正寺表参道入り口〜徒歩40分、観音正寺〜徒歩10分、観音寺城跡〜35分、
桑実寺(入山料300円)〜15分信長の館〜10分安土城考古博物館
*総所要時間=4時間。+αで安土城ほか見所多し。 
 
安土、三上山