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泥眼(でいがん)
Deigan


妖気のただようきびしい相貌の面で女の生霊をあらわします。 名称の由来は、金泥を施した目を持っている女面であるところからの命名で、金泥は鞏膜の部分に塗ってあります。 この工作は、目に金具を入れてあるのと同じように、超人的存在としての表現で、能面工作の一つの約束です。女面とはいえ、口の両端を後方に引き、 全体がまゆ型に似ており、金泥を施した歯も上下にともあり、(この面には無い)さらに毛描きも適当に乱れ、妖気のただよった霊的にかなりきびしい相貌をしています。室町末期にいたって、このすさまじさが女の生霊 の面としてふさわしいと考えられ出し、「葵上」や「鉄輪」の前シテに使うようになりました。しかし、どちらかというと、美しさと品の良さが残っているので、「葵上」の上流婦人の方が一層ふさわしいと思われます。