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顰(しかみ)
Shikami


顔の筋肉をしかめて極端に怒った相貌の鬼神の面。 古くはこの字を使わず獅噛と書きました。獅子が上下の歯でかんだ状態を示す言葉です。四天王など仏像の腰帯の中央に、こうした顔がよく見られます。 また、正倉院の鎌倉時代の所蔵目録に、獅噛文という字が見えますが、これもそうした獅子の文様を画いた布地です。時代は下りますが、歌舞伎の世界にも シカミの火鉢という言葉が登場します。能の記録では「歯噛,観世の鬼の面也。羅生門、紅葉狩などに用います。両の歯を合する故名付る也」とありますように、歯噛とも書きました。 この歯噛の顔の表情からしかめ面という言葉が出てきたくらいです。