2008年度の主な変更点は次の通り。
<競技規則>
1.スペアカー、エンジン、ギアボックスに関する規定の変更
2.予選に関する規定の変更
<技術規則>
3.ECUの標準化
4.頭部の保護強化
5.バイオ燃料の採用
■1.スペアカー、エンジン、ギアボックスに関する規定の変更
・スペアカー
コスト削減のため、スペアカーの使用が禁止された。
・エンジン
昨年までは同一エンジンの2レース使用が義務付けられ、これに違反した場合、エンジン交換1回につき原則として10グリッド降格のペナルティが科せられていたが、今季は1回目の交換についてはペナルティが科せられない事となった。2回目以降は昨季と同様のペナルティが科せられる。
・ギアボックス
同一のギアボックスを、原則として4レース使用しなければならない。違反した場合は5グリッド降格ペナルティが科せられる。コスト削減を目的とする規定変更。
■2.予選
昨年はQ2、Q3共に15分間のセッションであったが、今季からQ2が20分間、Q3が10分間に変更された。また昨年は、Q3の走行により消費した分の燃料を、Q3後に給油する事が出来たが、これも禁止された。
昨年は、セッション終盤までに走行を重ね、燃料を沢山消費し、タンクをなるべく軽い状態にしてからタイムアタックに入る事が常態化していた。これは、軽くすればタイムが出やすくなる事や、消費した分の燃料をQ3終了後に給油できるため、幾ら燃料を消費しても決勝の燃料戦略に響かない事などが要因である。
しかしこれは、セッションが終盤になるまで燃料消費目的の走行だけがなされることを意味し、退屈で意味が無く、そして燃料の浪費でもあった。
従ってこれを防止する為に、前述の変更がなされた。
■3.ECUの標準化
これまで各チームごとに開発されていたECU(Electronic Control Units/電子制御ユニット)が標準化(FIA指定のECUのみ使用可)された。トラクションコントロール等のドライバーを補助するシステムの禁止を主な目的とする。
ECUとは、エンジンをはじめとするマシンの動きを制御する為のもの(プログラム)であり、マイクロソフトMES社製が使用される。
「マイクロソフトMES」はマイクロソフトとマクラーレンの共同出資会社であり、かつての「TAGエレクトロニクス」(マクラーレンの子会社)である。
このことから、ECUが標準化されることよりも、マクラーレン以外のチームに対する公平性を危惧する声もあがっている。少なくともマクラーレン以外のチームは、昨季とは全く異なるシステムで挑まなければならないため、その点でのハンデがあるとは言えるだろう。
しかし公平性に関しては、マイクロソフトの存在(市販車用OS等を押さえるための戦略の一環と思われる)を考えれば心配ないとも考えられる。
■4.ドライバー頭部の保護
コックピット側面の高さを上げたり、パッドの厚みを増す等して、ドライバーの頭部の保護を強化する事となった。
■5.バイオ燃料の採用
最低限、燃料の5.75%は生物起源のものでなければならない。環境への影響を考慮しての規定変更。