ボーダーコリーと楽しもう


ボーダー・コリーといえば、頭にまずドッグスポーツを思い浮かべる人が多いかもしれません。ディスクを追う犬や障害物を飛び越える犬、羊を追う犬、カッコいいですよね。でも特別な訓練な競技会に参加しなくても一緒に楽しめることは沢山あります。ここではその一端をご紹介します。


オビディエンス

日本ではよく服従訓練とも呼ばれていますが、欧米ではこれもドッグスポーツの1つです。
犬を飼えば誰もが教える「おすわり」や「伏せ」。躾の一環として教える方も多いと思います。教えることで日常生活で犬が落ち着けばすごく楽。でもオヤツやご飯のときだけ犬が命令に従うのでは楽しくないですよね?

「お手」や「ゴロン」も教える人が多いでしょう。これは躾とは直接関係ありません。教えるために、最初はオヤツで動作を誘導することが多いです。犬はオヤツ目当てで覚えているように見えるかもしれませんが、人が喜ぶ様を見て「指示をマスターすると良いことがある」と覚えるのです。芸が出来て、人が喜び、褒めてもらうと犬はとても嬉しいのでどんどん意欲的になります。

沢山のことを犬が出来るようになったら、家族の前だけでなく、他の人にも披露してみたくなりませんか?
芸を見せる場の1つに「家庭犬訓練競技会」というものがあります。

JKC(ジャパンケネルクラブ)の場合、一番基本的な家庭犬訓練初級(CD1)では紐をつけて飼い主さんと並んで歩くこと、紐を外して歩くこと、呼ばれたら来ること、伏せること、立つこと、この5つです。
訓練所に預託して「服従訓練」をお願いしなくても、何度かドッグスクールに通って教え方を習えば、ちょっとした時間を利用して家や庭などの場所で教えることが出来ます。

中級になると、それらのほかに歩きながらの伏せと、歩きながらの座れが加わり、あと3つはその犬の持ち芸を皆に披露して良いのです。
上級になればなるほど沢山持ち芸を披露することが出来ます。もし御宅のワンちゃんが、色んなことを覚えるのが大好きなら訓練試験や訓練競技会に是非挑戦してみてください。

訓練競技会は他の犬と競う場でもありますが、周囲の雑音に惑わされず自分の指示がどのぐらいきちんと犬に伝わるか、犬がそれを喜んで機敏に実行するか、犬と共通目的を達成する喜び、や一体感を味わえる場でもあります。機会があれば是非参加してみてください。

競技会に出ない場合、目立ちたくない場合でも、この時培った犬との信頼関係と基本動作をマスターしたことは後々色んなことに役立ちます。
例えば、あなたの具合が悪いとき、ワンちゃんが水のペットボトルを運んできてくれたら?パパが散らかした洗濯物を片付けてくれたら?机のビール缶を片付けてくれたら?起こすのが厄介なパパや娘や息子を起こしてきてくれたら?ちょっとしたことですが嬉しいですよね?
教え方のコツを掴むと、貴方のお仕事を手伝うように教えることも可能です。
これらの動作は全て基本的な動作の組み合わせです。犬が色々覚えることが大好きになったら、家族として是非仕事分担を与えてあげてください。

アジリティー

障害物競走みたいなものです。人と一緒に犬が走り、障害を越えるのは犬だけです。人は動きながら犬に次はどの障害に行きなさい、という指示を送ります。一緒にリンクに居ても人は障害を乗り越えたり、踏んだり倒してはいけません。

ほとんどの犬、特に若いボーダーコリーは走ることが大好き。ジャンプも登ることも穴を潜り抜けることも好き。人の指示をいかに機敏に実行するか犬自身が工夫することもでき、ほとんどのボーダーコリーはこの障害物競走を喜びます。

もし近所にきちんとした施設を備えた場所があり、指導者がいれば、是非チャレンジしてみてください。
ただ若い犬(2歳未満)の関節の結合が緩く、ボーダーコリーは夢中になりすぎて、何でも無理無茶をしがちな犬種なので、十分配慮して腹八分、少し物足りないな、というぐらいの練習で最初は良いと思います。

最初は出来たはずの障害が途中で出来なくなったり、速かったのが遅くなったり、バーをやたらと落としたりして「あれ?後退しちゃったの?」「嫌いになったの?」と思う時期も時にはあります。

大会で目にも止まらない速さで駆け抜ける犬も、そういう苦労を乗り越えてきた犬たちばかり。
1年とかより、3年スパンぐらいで計画を考えて理想の実現に向けてゆったり努力を。犬にわかりやすいハンドリング技術を身につけ、犬に負担なく走らせ、かつタイムを縮める工夫が必要です。コース攻略は幾つも方法があり、ペアによって異なります。どの方法が現段階の自身と犬に適合するか、失敗したときどうフォローするか、犬やグラウンドコンディションにより、様々なことを想定するのも必要。一般的に犬は1年程度で障害をクリアすることが出来るようになりますが、人がハンドリング技術は習得するには3年かかるといわれています。

競技会はJKCなどが開くものから、OPDES、草アジなどの団体が開くものの他、各種のコンペがあり、またホテルやドッグランのイベントに付随して開かれることも多いです。

よく似たスポーツにエクストームという障害物競走があります。こちらはアジリティーよりも気軽に始めることが出来ます。各地で講習会が開かれるので練習会や体験会に申し込むと良いと思います。一方向(左旋回)のサークル上に障害は並べられていて、犬はスピードにのりやすいので、危険性を心得て安全な速度で最初は走らせてあげてください。

ディスク

ボーダーコリーといえばディスクを追う姿が一番人目に触れる機会が多いかもしれません。
ディスク1枚あれば、何時でも始めることが出来る、というイメージがあります。

でもこれこそ人は犬の10倍は練習を積んで欲しいもの。犬がとり易いスローイングを、どんな天候やコンディションでも投げることが出来るまではかなり時間と根気がかかります。
ディスクの軌道は投げ手の心理を反映するので、上がったり、いきむと変なところに飛びがちです。

ボーダーコリーの中には三度のご飯よりディスクが好き、時には飼い主よりディスクが好き!?という犬まで居てディスクはやりだすと大抵の犬は夢中になります。少々の無理をしても犬は何も言わず続けるので、体の管理とグラウンド状態の整備はとても気をつける必要があります。

各地にディスクドッグクラブがあり、スローイングや犬の管理の仕方を丁寧に教えてもらうことが出来ます。
また団体によって使うディスクの種類が違うので、飛び方が微妙に違ったり、ルールやクラス分けも違います。
団体によっては、ディスタンス、フリースタイルのほか、「ウェイト」と言って待つゲームがあったり「レトリーブ」と言ってディスク以外のものを投げてとりにゆくゲームもあります。

ダンス(フリースタイル、ヒールワーク・トゥ・ミュージック)

うちの犬はディスクも興味がないし、飛んだり登ったりも怖がるし。。。何だかいつもつまらなそう。
または関節などに負担をかけずにすむアクティビディを探したい。
そういう子は是非ダンスに挑戦してみてね。自身のダイエットにもなります。

これもオビディエンスの延長にあるので、基本動作(一緒に歩く、座る、伏せる、立つ、待つ)ぐらいは覚えている必要があります。出来ればお手、回る、八の字で歩く、バックする、ゴロンする、匍匐する、お辞儀する、輪とびする、どんどん得意な動作を増やしてください。

空いた時間を利用して、鼻歌でも歌いながら犬と一緒に歩いてみてください。お散歩の途中でも構いません。
(車や人や自転車の邪魔にならないようにね)4ビートのリズムになるものが基本です。1,2,3までゆっくり数えて、4番目で何か動作を入れます。「座れ」と声をかけたらまた1,2,3と数えて4番目で一緒に立って歩き出します。1〜3が短すぎるなら1〜7に変えて、8で動作を入れてみてください。もしその間犬が動かないようなら、人は犬の周囲を1〜3、または1〜7の間回ってみたり、犬を飛び越えてみたり、自分も何か動作してみましょう。さらにダンスっぽくなります。左つきで出来たら、次は右サイドで、座れが出来たら次は伏せで、自分と犬の出来る範囲の動作で楽しむことが出来ます。

沢山動作が出来ると複雑な組み合わせが出来るので、曲のイメージに合わせて、盛り上がりを演出したり、自分の動作とは全く違う動作を犬にさせることで、ちょっとしたドラマ仕立てのストーリーを作ることも出来ます。

ダンスは教えてくれる指導者の数がまだすごく少ないので、競技会に実際出たり、皆にお披露目する機会に恵まれる人は僅かかもしれません。HPやブログを検索すると、ダンスをしている方の様子が見れるのでその方に連絡をとり、近所で教えてくれる施設を尋ねるか、またはインターネット、DVD、ビデオで欧米での競技風景が沢山紹介されているので、それらを参考に自分で工夫を重ねることになります。自分のよく出来たダンスを
VTRで納めておき、動画で公開する、ビデオ審査に応募するというやり方もあります。

あくまで余得ですが、多芸なワンちゃんはタレント犬登録もしやすく、コンテストでも選ばれやすいので、もしかしたら各種イベント会場や、もしかしたらテレビや雑誌で活躍する可能性も。。。

ドッグショー

うちのワンちゃんってとっともハンサム(または美人)皆褒めてくれるし、愛想も抜群だし、誰もが振り返るほど。犬自身も可愛いのがわかっているみたいだわ・・・ということなら美のコンテストであるドッグショーに挑戦してみましょう。ジッと立っている姿が有名ですが、これもれっきとしたドッグスポーツです。

BCは作出目的によって、作業犬系統、ショー系統に分かれ、ショー系統の犬の方が犬種標準と呼ばれる姿を意識して作られていることが多いのですが、BCはつい最近までどの犬も性能本位で作られていました。だから同じ家族からショードッグとワーキングドッグが出ることも珍しくありません。

ショーでは立っている時の姿のほか、走る姿、犬種らしさ、健康状態、性格、様々な要素で審査されます。