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シンプルな杉の家

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杉の家はこうなっている

 真壁づくり
真壁とは構造体である木を壁で覆わずにアラワシ(目に見える)にする構法をいいます。この構法では大工さんの仕事がすべて見えます。また地震があっても駆体が損傷を受けているかいないかわかりやすく、万一雨漏れがしても発見が早く修繕も容易です。さらに全ての構造材がその調湿性をフルに発揮できます。

 屋根・・・杉厚板の野地板と通気工法
屋根の構造は登り梁とよばれる小屋組を採用しており、屋根の勾配に沿った天井面によって広々とした空間が得られます。
野地板には厚み4センチの杉板を用いており、そのまま仕上げ材となっています。またその厚み故に十分な断熱性が得られ、石油化学製品系断熱材(新建材)等の断熱材を使用する必要がなく、強度があるからタルキなどの下地材も不要となり、木の材積こそ増えるものの工事の合理化が計られコスト的には相殺されます。
さらに軒先に吸い込み口、棟(屋根の一番高いところ)に吐き出し口を設けて屋根の熱気を追い出すことにより夏でも二階天井面が熱くならないようになっています。
屋根葺き材には熱反射に優れきわめて軽量で耐久性に富んだガルバリウム鋼鈑を基本仕様として採用しています。

<屋根の詳細>

 
基本仕様としては厚み4センチの杉板を1・2階の床板とし、2階の床は1階の天井を兼ねています。
杉板はナラ・ブナなどの堅木は勿論のこと、檜・松などに比べても柔らかいものですから足触りがよく膝への負担も少ないものです。逆にその柔らかさ故に表面が傷つきやすいのですが、例えば柿渋を塗って色味を濃くすることで傷を目立たなくしたり、少し堅めの材を上から張ることもできます。
また特に階下への音を気にされる方には希望と予算に応じて様々な遮音仕様を用意しています。

DSCN2556

杉の落とし板

 壁・・・板倉づくり(杉落とし板工法)
板倉(杉落とし板)とは、柱に溝をほってこれに3センチ厚の杉板を落とし込んでいくことで壁をこしらえる方法。床・野地板同様、厚い杉板を用いることで断熱材と仕上げ材を兼ねます。高温多湿の日本の家の壁は解体後も文字通り土に還る?こと、森林資源の貴重さを考えれば土壁がベストといえますが、工期の問題をクリアーしにくい街の家では土壁ならぬ板壁は新建材に頼らない最良の選択といえます。
(板倉の快適さについて「甲陽園の家」お施主さんの感想文)
「杉の家」では落とし板が使われる建物外周壁では落とし板をそのまま見せ、間仕切り壁では漆喰塗り壁としています。勿論工期が許せば土壁とすることもできますし、落とし板でも表面を漆喰塗りなどの塗り壁仕上げにすることも可能です。
外壁仕上げには焼き杉板を基本としています。焼き杉板は表面を炭化させることで耐久性を高めたもので、年を経ることに味わい深くなります。

焼き杉の壁
焼き杉板の外壁により町並みが情緒あるものになります。

 葉枯らし乾燥・自然乾燥
葉枯らし乾燥とは、切り旬の伐採後、枝葉を付けたまま一定期間林内に寝かせ、太陽光を利用して自然乾燥することをいいます。杉の場合、立木の状態での含水率は120〜200%あり桧の70%と比べても遙かに重く、未乾燥のままでは重すぎて移動が困難なばかりか、乾燥後の収縮が2割にも及んでしまうことから精度の高い加工が困難となります。
葉枯らし乾燥で水分の多い辺材の含水率を下げ、全体の水分分布を均一化することでワレ・クルイ・ソリの少ない木材がえられ、材の色艶が良くなり、重量を約70%まで軽減して運送エネルギーコストが下がり、バラツキの多い心材色がほぼ揃うという特徴があります。

葉枯らしされた杉は製材所で所定の寸法に製材され、可能な限り高く桟積みされて内部応力をゆっくりと解き放ちながら自然に乾燥されます。化石資源でボイラーを炊いて人工乾燥するという環境問題に逆行するような愚行はする必要ありません

一般的に行われている「高温乾燥」ではこのような内部割れが報告されています。
全ての人工乾燥材がこのようになっているわけではないようですが、写真のように目に見える表面には割れがなく、目に見えない内部で割れが発生しているので材をカットしないと確認できないのが怖い!
割れの方向は仕口の強度に関わる具合に入っているので始末が悪い!

「シンプルな杉の家」の構造材は原則として全てTSウッドハウスの材を使っていますが、奈良県内で建てる場合には奈良県産材とします・・・ご相談ください。

 建築構造寿命の適正化
なにより構造材の母材となった杉の樹齢を超える構造寿命をもつことが必要です。
戦後の木造の主流になった「短ホゾ+金物」による仕口では材の乾燥収縮に伴って緩くなったナットを締め直す作業が必要となりますが、現実には肝心な場所のナットは隠れていて締め直すことができず、仕口内部での金物の錆の問題も避けられません。(U建築工房が開発した「鬼に金棒」は締め直すことのできる優れた金物です。U建築工房ホームページ
http://www.sunfield.ne.jp/~u-koubou/
大地震時には短ホゾ故に仕口内部におけるホゾによるめりこみ耐力が期待できず、細くて堅いボルトによるめりこみは割裂しやすい杉材にとっては好ましくありません。こうしたことがあるにもかかわらず「単ホゾ+金物」(多くはプレカットによる)が普及してしまったのは、大壁では構造材が見えないので梁に極端に細い材を使ったりする手抜きが可能であり、金物に頼る簡略化した仕口故に構造材の刻み賃が安く建築費を下げられるからです。

刻み・仕口
くわえ煙草が決まってる。

実物大振動実験
京大で行われている。伝統的「柔」な木構造の本当の強さはその「粘り」にあることが科学的に実証された。
ガチガチに固めるのではなく柔らかく作って地震力を受け逃がす知恵は深いぞ。

平面形は基本方針で明らかにしたように単純な矩形ですから、軸組はたいへんバランスの優れたものとなっています。
通し柱には5寸角を採用しています。また梁をわたり顎で組むことで梁のホゾによる通し柱の欠損は集中することなく、梁のホゾのせいも十分にとることが可能になっています。

長ホゾとこみ栓
5分(15ミリ)角の込み栓はこれ以上大きくても細くてもだめ。構造的にも工作的にも見た目にも配慮されたバランスよい寸法。

金物を用いない伝統的な仕口では、地震などの短期的な外力に対しては、まず耐力壁が抵抗し、続いて仕口がコミ栓と部材同志が互いにめりこみ合いながら粘り強く抵抗するという二段階の破壊モードをもちます。この粘り強さのお陰で、変形量は大きくなるものの躯体そのものの損傷は最小限に抑えられ、例え家が傾いたとしても立ちを直して壁を修復することで再び住居として使用可能となるのです。
長期的には、材の乾燥に伴い仕口はさらに締まってくるのですが、そのような仕口の加工は先人の知恵なのです。またコミ栓を取り去ることで構造材はすべて分解できますから移築などの再利用も可能です。

倒壊実験
幾多の台風・地震に耐えてきた本物の古民家を引っ張って倒し貴重なデータを得る実験。

 軒の出
昔から軒は深くとることが大切であると言い伝えられてきました。「庇(ひさし)」と書いて「庇う(かばう)」と読むことからもそのことがうかがえます。
外壁も木でできた「シンプルな杉の家」では軒の出を十分にとるとで雨から外壁を守り、夏場の直射日光が室内あるいは南側開口部前の地面を熱することがないようにします。
物理的あるいは法的な制限がない限り南側に6尺程度の軒の出を確保するようにしています。
(参考:南中時の太陽高度/夏至:約77゜、冬至:約31゜)

 建具
外部に面したアルミサッシや家の中の扉のことを建具といいます。外部建具はアルミサッシを標準としていますが、昔ながらの木製建具やペアガラスをしこんだ木製・アルミ各種サッシを好みや予算に応じて選んでもらっています。
内部建具は原則として無垢の桧の框戸です。乾燥が完璧とはいえぬ無垢材のため一年近くは狂いますが、一回の調整をすればあとは大丈夫です。

↑ 軒の出
深い軒の出は日本の気候風土による必然。雨が降ってきても慌てることはありません。

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