奈良県同和保育基本方針
奈良県・奈良県教育委員会
昭和62年 5月21日

1.同和問題についての基本的な考え方
 日本国憲法は、民主主義を基調とし、すべての国民に基本的人権を保障している。しかし、同和地区においては現代社会の矛盾と相まって、今なお市民的権利と自由が十分に保障されていない状況にある。
 この問題の解決は、民主主義社会実現のための基本的な課題であり、国及び地方公共団体の責務である。また、県民一人一人の理解と協力のもとに推進されなければならないことである。以上の観点により、県は国、市町村と連携を図りながら、同和行政の推進、県民の人権意識の高揚に努めるものである。
2.同和保育の目的と意義
 同和保育は、人間形成の重要な過程にある乳幼児に対し、その心身の調和的な成長発達を促すとともに、すべての乳幼児に、基本的人権を尊重し差別を許さない資質を培うものである。
 これがため、幼稚園、保育所においては、保育活動の中の教育、擁護面を重視しながら計画的、系統的な活動の中でこの目的を達成しなければならない。
 また、地域や家庭の暮らし、乳幼児の成長発達などの実態を的確に把握し、集団生活の中で、なかまへの連帯感を培うとともに、基本的な生活習慣や態度を養い、豊かな感性や社会性及び科学的なものの見方、考え方の芽生えを育てるなどに努めなければならない。
3.同和保育の推進
(1) 乳幼児をとりまく環境は、心身の発達や人間形成に与える影響が大きい。したがって、望ましい環境の整備を図り、それを生かすよう努めること。
(2) 乳幼児の実態を的確に把握し、保育課題を明確にするとともに、保育内容の充実を図るため指導計画を作成し、計画的、系統的に指導すること。
(3) 保育に携わるすべての職員は、乳幼児に強い影響を及ぼすものであることを自覚し、保育者としての資質を高めるための研修に努めること。
(4) 家庭、地域、関係機関及び団体が互いの連携を更に深め、同和保育の目的を達成するための活動をより一層推進すること。


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