第33回天理市人権教育研究大会 ― 各分科会の概要 ―

人権教育の進展に向けて新たな一歩!
2004年1月21日(水),第33回天理市人権教育研究大会は,丹波市小学校と山の辺小学校を会場として開催されました。400人を超える参加者は,15の分散会に分かれて熱心に討議を行いました。

第1分科会「人権・部落問題学習」
第1分散会 / (報告所属)山田保育所・朝和幼稚園
 各園所の保育内容を交流し,形は違っても,どの園所も異年齢保育に取り組んでいることが明らかになりました。また,保護者に保育内容に対する関心を持ち理解を示してもらうための工夫を交流しました。さらに,子どもたちが人と関わる力をつけていくための討議を行い,以下のことを確認しました。
  • 異年齢保育は年齢相応の保育へこだわりすぎていたのを打ち破ってくれた。
  • ぶつかり合っても年上の園児が三歳児の個性をつかみ対応している。
  • 思いやる力・譲る力など年齢相応の力が育っており,お互いに認め合う集団になっている。
 一方で,素材選びやルール作りが難しいという声や,保育内容を知ってもらう懇談会への親の参加が少ないという悩みも出されました。

第2分散会 / (報告所属)前栽幼稚園・柳本小学校
1-2分科会 社会の人間関係が希薄になっていることや子どもたちに実体験が少なくなっていることから,学校・園・所で人とのふれあいを意図的に作る必要を感じるという意見などが出されました。

第3分散会 / (報告所属)二階堂幼稚園・二階堂小学校
 全体討議で,以下のことが大切であると確認できました。
  • 言葉だけで指導するのではなく,子どもたちが体験を通し,その中で感じたり考えたりする取組。
  • 保護者が「障害」のある我が子を受け止め,どのように変容されていくかを見つめていく。
  • 一つの教材にどう取り組むかを考える前に,なぜ取り組むのかという起点をもう一度考える。

第4分散会 / (報告所属)櫟本幼稚園・天理中学校
1-4分科会 討議では,交流も含め様々な意見が交換されました。その中で,一人一人に見つけた素晴らしさを,他者との比較だけに陥らないよういかに表現するかがキーポイントになると学びました。また,自尊感情の重要性を再確認しました。

第2分科会「進路・学力保障」
第1分散会 / (報告所属)南保育所・柳本幼稚園
2-1分科会 討議を通して,以下のことが大切であると確認しました。
  • 一人ではなく教職員が連携しながら,あるいは関係機関などとの連携も活かしながら,子どもに関わっていくこと。
  • 保護者の不安や心配を取り除くため,子どもの具体的な様子を伝えること。
  • 保護者とともに子育てをしていくうえで,子どもの良いところ,保護者の良いところを認めていくこと。
 一方で,気になる子どもの多さから十分関わりきれないという悩みも出されました。

第2分散会 / (報告所属)嘉幡保育所・天理幼稚園
2-2分科会 討議を通して,以下のことを確認できました。
  • 一人一人の発達段階に合わせ,きめ細かく育ちを見ていかなくてはならないこと
  • 家庭との連携においては,親を支えながら共に子育てをしていくことが大切であるということ
  • 遊びを充実させ,保育内容を工夫する必要性があること

第3分散会 / (報告所属)北保育所・丹波市小学校
2-3分科会 2本の実践報告を受け,校種を交えたグループ討議を行いました。子どもたちの主体的な遊びや学びをいかに大切にしているのか,家庭とのつながりのありよう等について,各所属から実践や課題を交流しました。改めて,子ども一人一人が安心て遊び,学べる居場所の大切さや,保・幼・小・中の教育内容に関わる具体的な連携の大切さが確認されました。

第3分科会「共生教育」
第1分散会 / (報告所属)丹波市幼稚園・前栽小学校
3-1分科会 2本の報告は,どちらも温かみがあり,元気をもらえる内容でした。その後のグループ討議では各所属の取組の交流ができました。そして,以下のような意見が出されました。
  • 子どもの実態から子どもに寄り添える教職員でありたい
  • 保・幼・小・中の連携を深めていきたい
  • 地域の中で障害のある子どもをどう見つめ育てていくのかが課題である

第2分散会 / (報告所属)福住小学校・南中学校
3-2分科会 全体討議では,学校や地域,子どもの実態に応じて,子どもにとって最善の方法を考えていくこと,そのための研修の重要性が確認されました。
 グループ討議では,各所属の具体的な取組を通して,「共生」の課題に迫ることができました。

第3分散会 / (報告所属)櫟本小学校・北中学校
3-3分科会 討議を通して,以下のようなことが確認されました。
  • マスコミ報道で北朝鮮の悪いイメージばかりが流されている中で,教職員の意識を点検する必要がある。
  • 新渡日の子どもたちに対する教育は現場に任されるだけのことが多いが,経済的な側面や言葉の壁を乗り越え,いかに母国の文化を大事にしながら,その子の教育を保障していけばよいのかが課題である。

第4分散会 / (報告所属)天理小学校・夜間中学
3-4分科会 全体討議では,取組の素晴らしさに感動したこと,盛り沢山の資料を読み返すことに時間がかかり,はじめはあまり活発だとは言えませんでした。しかし,後半には建前に終わらない意見が多く出されました。そして,しんどいことや苦しいことを出すことができ,その中で頑張っていることを見ていける,つながっていけるなかまづくりの大切さが確認されました。

第4分科会「子育てと地域ぐるみの教育」
第1分散会 / (報告所属)中央保育所・井戸堂幼稚園
4-1分科会 討議では,親同士のコミュニケーションや交友関係が乏しくなってきている現状から,保護者同士の人間関係づくり,つながりづくりの大切さ,そして親が楽しく子育てできる親育ての支援が必要であると確認しました。

第2分散会 / (報告所属)福住幼稚園・井戸堂小学校
4-2分科会 討議の中で,最近は,セキュリティーの問題から地域との結びつきが以前に比べ難しくなってきているという課題が出されました。一方で以下のことが大切であると確認できました。
  • 地域とのつながりを大事にしながら,色々な取組を継続していくこと。
  • 地域の連携を一つのイベントだけに終わらせるのではなく,継続的な取組として深めていくこと。
  • 人材バンクのような協力者を確保しておくこと。

第3分散会 / (報告所属)山の辺幼稚園・朝和小学校
4-3分科会 2本の報告を受けて,グループ討議を行い,活発に意見を交流することができました。その中で,異年齢の交流,保・幼・小・中の交流,地域に人々との交流は子どもたちに優しさや思いやりを育てることになると話し合われました。また,子育てにおいては,子どもへ関わる時間よりも関わり方が重要なのではないか,教職員は,保護者と共に子どもへの関わり方を考えていくことが必要であると話し合われました。

第4分散会 / (報告所属)山の辺小学校・西中学校
4-4分科会 討議を通して,保育所・幼稚園と小学校,小学校と中学校,地域との連携においては,お互いの信頼関係ができていることが子どもたちの心を耕すことになることが確認できました。また,学校が行っている活動の趣旨について保護者にも十分理解してもらうとともに,保護者からの声をさらにくみ取っていくことも必要であることも確認できました。



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