第35回天理市人権教育研究大会 ― 各分科会の概要 ―

各所属の実践を交流!
 2006年1月18日(水),第35回天理市人権教育研究大会が,丹波市小学校と山の辺小学校を会場として開催されました。参加者は420人を超え,16の分散会に分かれて実践報告や討議を行いました。
 教育・保育内容,人間関係づくり,なかまづくり,コミュニケーション力,学力保障,不登校生に対する取組,障害児教育,ハンセン病問題,子育て支援の取組など,様々な分野の実践が報告されました。そして,報告をもとに熱心に討議がなされ,様々な成果や課題を確認しました。

第1分科会「人権・部落問題学習」
第1分散会 / (報告所属)嘉幡保育所・井戸堂幼稚園
1-1分科会 討議では,以下のことが交流されました。
  • 自尊感情を高めるためには幼児一人一人を丸ごと受け止める保育者の支えが基盤である。
  • 保護者のとの連携を深めるには「子どもの育ちは保護者の育ち」としながら,互いに子育て観を共有しあうことが必要である。

第2分散会 / (報告所属)朝和小学校・中央保育所
1-2分科会 討議を通して,自尊感情を育てるような集団をつくっていくことの大切さや,きめ細かい学級経営のためエクササイズを取り入れる際,子どもたちが自分から気づくことの大切さなどが確認し合えました。一方で,教師の願いを聞いてもらいにくい保護者とのつながりを,どうつくるのかいう課題が残りました。

第3分散会 / (報告所属)前栽幼稚園・前栽小学校
1-3分科会 グループ討議では,各所属で,どのような「子ども人権学習支援事業」が行われているのか,子どもたちにみられる偏見を除き,人権意識を高めていくにはどうすればいいのか等について話し合い,事例や意見を交流しあうことができました。

第4分散会 / (報告所属)二階堂幼稚園・櫟本小学校
1-4分科会 討議では,集団のルールからはみ出す子どもへのフォローの仕方,多様な価値観を認め合い,評価する大切さを確認しあいました。また,意識的にお互いの良さを認めていくこと,良さを認め合う関係をつくっていく中で,問題と思われることを克服していくことの大切さを確認しあいました。

第5分散会 / (報告所属)西中学校・夜間中学
1-5分科会 全体討議では,西中のコース別学習の実施時期や具体的な段取り,また,報告以外のコースの紹介,夜中の普段の授業の様子について話された後,中学校を中心に人権感覚を育むための各校の取組について話し合いました。「直接聞いたり,体験したりする活動で,生徒たちが感じることは多く,大切にしていきたい」などの意見が出されました。

第2分科会「進路・学力保障」
第1分散会 / (報告所属)天理小学校・二階堂小学校
2-1分科会 グループ討議では,各所属の実践例や参加者の意見を交流しあえました。心が安定する支援や子どもに自信をもたせるための取組が大切なこと,担任だけでなくいろんな立場の教師の連携の大切さなどが話し合われました。また,学習内容についての保・幼・小・中それぞれの連携の必要性も出されました。

第2分散会 / (報告所属)天理中学校・北中学校
2-2分科会 討議の時間が十分確保できなかったことが課題となりましたが,生徒の自尊感情を育む教育活動にどのように取り組んでいるのか,不登校生や別室登校生への取組をどのようにしているのか,2本の報告から考えあうことのできた分科会となりました。

第3分科会「共生教育」
第1分散会 / (報告所属)北保育所・丹波市小学校
3-1分科会 全体討議では,各所属の障害のある子どもたちの現状を出し合い,以下のことが大切であると確認できた。
  • 子どもや親の思いに寄り添い,受けとめていくこと。
  • 子ども同士をつなげていくために,教師同士の話し合いをもち,互いに認め合う関係づくりをしていくこと。
  • クラスの実態に合った教材選びや視点の持ち方について考えること。

第2分散会 / (報告所属)天理幼稚園・福住幼稚園
3-2分科会 「子どものありのままの姿を受け止める」というテーマに絞って話し合い,参加者の悩みやそれに対するアドバイスが出され,大変有意義な討議となりました。

第3分散会 / (報告所属)柳本幼稚園・二階堂小学校
3-3分科会 グループ討議では,
  • 家庭や専門機関との連携の大切さ。
  • 地域に出かけ,人材,教材を活用し学ぶことの大切さ。
  • 学んだことを今後の活動にどうつなげるかが課題である。
など,活発に異校種間で話し合うことができました。

第4分散会 / (報告所属)山の辺幼稚園・山の辺小学校
3-4分科会 2グループで各所属の取組を出し合い,交流を深め,以下のことが課題として残りました。
  • 障害者理解の取組が子どもにとって建前に終始していないか。
  • 「例えば総合学習と教科学習,あるいは原学級保障と抽出指導を巡る教師の本音と建前の使い分けを子どもたちは鋭く見抜いているのではないか」との視点からの論議も必要ではないか。
  • 制度が変わって,養徳院の子どもたちを受け入れるようになった所属への加配も含めた手だてを緊急に考えていくこと。

第5分散会 / (報告所属)朝和幼稚園・井戸堂小学校
3-5分科会 グループ討議では,以下のことが確認できました。
  • 共に生き共に育つなかまを育てるためには,教師も共に育っていくこと。
  • 特別支援に関わって学校・園・所内で子どもの実態を出し合い,全員で理解していける体制をつくること。
  • それぞれの所属での取組を次へ引き継いでいけるような保幼小中の連携を進めていくこと。

第6分散会 / (報告所属)櫟本幼稚園・二階堂小学校
3-6分科会 報告の後,4グループに分かれて,保・幼・小・中の連携のあり方や,「共生教育」に取り組むとき,私たちがどのような思いを大切にしているかについて活発に討議が行われました。

第7分散会 / (報告所属)南中学校・夜間中学
3-7分科会 グループ討議では,コミュニケーション能力を高める大切さや,今日,課題をもつ子が多い中で,教師が関わることの大切さについて話し合いました。また,エイズやハンセン病等に対して誤った知識をもっていることが多いので,正しく理解し,どのように向き合っていくかが課題であると話し合いました。

第4分科会「子育てと地域ぐるみの教育」
第1分散会 / (報告所属)丹波市幼稚園・南保育所
4-1分科会 子育てに悩む親の増加や親の子育て観の変化といった状況の中で,どのように保護者と連携し子どもたちの個性を伸ばしていけばよいのかということで活発な討議ができました。保護者との信頼関係をつくることが難しいという課題があるが,教職員・保育士全員で子どもをみていき,保護者との共通理解を深めることが大切であること等を確認できました。

第2分散会 / (報告所属)山田保育所・福住小学校
4-2分科会 2本の報告が同じ校区ということで,お互いに親への働きかけやその変容などでの意見交流がなされました。その中で,各々が地域の中でどのような役割を担っているかを話し合うことができました。また,連携とは何かということも確認できました。そして,異年齢でついた力が自信となり個の力になっていくことも学べました。



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