現地研修会を開催!
「御座所」予定地跡と考えられるトンネルのフィールドワークを行いました。

トンネル内部 2月23日(月),天理高校2部の野眞幸さんに案内していただき,一本松山のトンネルをフィールドワークしました。このトンネルは,何人かの証言と新聞記事とから「御座所」の予定地跡であると考えられています。
 前日の春を思わせる暖かい気候が一転して,日中の最高気温が約8℃という寒い日でした。藪をかき分けてトンネル開口部に到着し,狭い入り口を注意深く下り降りると,中は人が立てるほどの大きなトンネルになっていました。そこには,暖かい空気が満ちていました。山腹深く掘られたトンネルであるため,年中,気温は一定しているのでしょう。
 トンネルは,野さんの案内がないと,迷って出てこられないくらい複雑に枝分かれしていました。高さ約2.5m,幅約3m,そして,わかっているだけで長さは約400mもあるということでした。内部は,天井からの崩落があり,トンネルの床面は天井から落ちてきた岩石がゴロゴロしており,大変歩きにくい状態となっていました。
 このトンネルは1945年5月頃より,奈良海軍航空隊予科練生約2,000人が使われて,掘られていたものだと言われています。壁面には,つるはしで掘った傷跡が多数ありました。トンネルの行き止まりの壁には,発破のための小さな横穴も掘られていました。
 当時のトンネル内は,丸太の柱を立て,それに板を張って天井や壁にしていたということです。戦後ほとんど持ち出されたということですが,今でも,少しの丸太や板,かすがいが残っていました。

 トンネル内をフィールドワークしながら,わずか3か月で,このような大規模なトンネルを掘っていたということに驚きを覚えました。そして,海軍が必死になって,本土決戦に備えていた様子を伺い知ることができました。もし,戦争が長引き,この周辺が戦場になっていたら…と考えると,空恐ろしいものがあります。二度と戦争をくり返さないという決意を風化させぬよう,今回の現地研修会で学んだことを胸に刻んで,反戦・平和学習に取り組んでいく必要性を感じました。
トンネル内部
鶴嘴の跡鶴嘴の跡
鍾乳石鍾乳石

〈参考図書〉

幻の天理「御座所」と柳本飛行場
―朝鮮人強制連行・強制労働ガイドブック―

野眞幸編
発行=奈良県での朝鮮人強制連行等に関わる資料を発掘する会
発売=解放出版社
A5版 143ページ 定価 1,200円+税
ガイドブック


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