2004年度 人権・部落問題講座 |
7月21日,29日,8月11日の3日間にわたり,天理市文化センターにおいて,人権・部落問題講座が開催されました。のべ390人の参加があり,研修を深めることができました。 |
A講座 7月21日 「差別の現実と市民の人権」 奥田 均さん(近畿大学人権部落問題研究所教授) | |
奥田さんは,2000年に行われた大阪府の市民意識調査結果をもとに,部落差別の現実は結婚問題を中心になお厳しいが,解決に向けて前進しているので,取組を緩めてはならないと述べられました。そして,差別の現実を塗り替えつつあるこれまでの取組の大きな成果を確認したいと述べられました。さらに,部落問題を解決するために,部落出身の人々が被っている人権侵害の中に,市民一人一人の人権の課題が提起されていると捉えて取り組むことが必要であると言及されました。 差別の現実を学ぶとともに,今後も部落問題学習に取り組んでいくことの重要性を指摘していただいた講座となりました。 | |
B講座 7月29日 「自尊感情を育む学級・学年づくり」 園田 雅春さん(甲子園短期大学教授) | |
園田さんは,自尊感情について詳しく説明され,子どもたちの生活の現実を捉えるから,自尊感情を育てることが今の教育にとって最重要課題であると述べられました。さらに,学校だけではなく家庭や地域の中でも子どもたちの自尊感情を高めていく必要があると指摘されました。また,集団づくりの重要性について触れられ,文化活動や授業(教材),総合学習のテーマなどを,子どもをつなぐ“ボンド”とすることによって,子どもたちをつないでいくことの大切さを指摘されました。 講演を通して,子どもたちの自尊感情を高めることの大切さとそのためのヒントを数多く得ることができました。 | |
C講座 8月11日 「これからの人権教育〜自尊感情・エンパワー・ピースフルの視点から〜」 金 香百合さん(HEALホリスティック教育実践研究所所長) | |
金さんは,「人間には“からだの栄養”と“こころの栄養”の両方が必要であり,栄養が足りていると自尊感情が高まりエンパワーがおこる。しかし,20世紀の経済至上主義の価値観が,“競争,比較,優劣,評価,失敗を恐れる,人と関わらない”といった複合汚染的現状をつくり出し,栄養不足から自尊感情が低められ,暴力が蔓延するようになっている。今こそ,“こころの栄養”を互いに与えあい循環させることが必要である」と強調されました。 子どもたちはもちろん,私たち自身の自尊感情を育むためのヒントを沢山いただけた講演となりました。 | |