2005年度 人権・部落問題講座
7月21日,28日,8月12日の3日間にわたり,人権・部落問題講座が開催されました。のべ415人の参加があり,研修を深めることができました。

A講座 7月21日
   「音楽で伝えるノーマライゼイション」
   和洋アンサンブル「ウルル」(井口信明さん・久保比呂誌さん・金子鉄心さん)
ULULU

井口さん

久保さん

金子さん
 久保さんのオリジナル曲で始まった公演は,南米の楽器ケーナとカフォーン,ピアノによる「コンドルはとんでいく」「花祭り」の演奏へと続きました。その後,みんなで一緒に歌ったり,手拍子を打ったりして,全員が公演に参加することができました。
 井口さんは,視覚障害があることで小学校時代にいろいろないじめにあって辛い経験をしたこと,そんな中で6年のときの先生が関わってくれたおかげで今の自分があるということを話されました。また,白杖についての解説もしていただきました。
 戦争を二度と繰り返さないために,生の話を聴いて,それを伝えていくことの大切さも話され,戦時中に船に魚雷が当たって沈み,子どもを亡くした親の悲しみを伝えた歌を歌っていただきました。
 久保さんのコーナーでは,「津軽よされ節」という曲を津軽三味線(太棹)で演奏していただきました。津軽三味線には,東北地方で目の不自由な瞽女(ごぜ)という人たちの辛い悲しい歴史があるということにも触れていただきました。
 金子さんのコーナーでは,「イミグラント」という曲をアイルランドの伝統的な楽器ティンホイッスルで演奏していただきました。差別を受け続けてきたケルトの人たち。彼らが自分たちの文化を守ろうという思いが音楽に込められているということに触れていただきました。
 ウルルの皆さんの心にしみ入る素晴らしい演奏で,心をいやすとともに,「苦しいことがあっても負けないで。一度しかない人生,楽しく明るく朗らかに,勇気を持って歩んでいこう」というメッセージをいただいた公演となりました。

久保比呂誌さんのHP
鞴座(金子鉄心さんが主宰)のHP

B講座 7月29日
   「子どもの心を知る〜音楽を使ったメンタルケアの導入〜」
   高本 恭子さん(音楽療法士)
高本さん 音楽療法とは音楽を薬として心身の機能の維持改善のため、意図的・計画的に行なわれる療法であること,またその基本的な原理をお話しいただきました。また,音読指導や絵本の読み聞かせに効果のある曲,夏休みにくずれた生活リズムを取り戻すために役立つ曲,不登校の生徒に効果的な曲,アスペルガー症候群やAD/HD,LDの子どもたちに効果のある曲やその使い方など,教育や保育の現場で活用できる曲をたくさん教えていただきました。
 また,課題のある子はいるが諦めないでほしい。課題解決のための方法として音楽療法を活用してほしい。そして,互いの命を大切にする,そんな社会をつくりたいという思いもお話しいただきました。
 最後に,「一生懸命になればなるほど,子どもたちは受けとめてくれる。子どものためにしっかり前を向いて歩いていってください」と,私たちにエールを送ってくださいました。
 エネルギッシュな高本さんから,再度,学ばせていただいた講座となりました。

C講座 8月12日
   「死んだら終わり だから生きるんだ」
   具志アンデルソン飛雄馬さん(三重県国際化対応指導員)
C講座

具志さん
 具志さんは,初めに,15年前に11歳で来日してから今日に至るまでことを話されました。学校へ行って間もなくいじめが始まり,だんだんひどくなっていったこと。日本語を理解すること,日本語を話すことの困難さに苦しんだこと。非行に走らざるを得なかったこと。様々な人との出会いを通して立ち直っていったことなど,波瀾万丈の人生を送ってきたことを話していただきました。
 そして,日本に来て苦しんでいる外国の子どもたちの力になろうと日本語指導を行っていることなど,現在取り組んでいることを話されました。また,外国人を差別する日本社会の厳しい現実を具体例を挙げて指摘され,外国人と日本人が協力してくらしていく社会をつくっていくため,人権教育を進め一人一人の人権意識を高めていくことの重要性を指摘されました。また,日本人・外国人と分けるのではなく,合わせて「世界人」と捉えていきたいとされました。
 講演を通して,異なるものを排除し同化を強いる日本社会の厳しい差別の現実と,その差別が如何に外国からやってきた子どもたちを苦しめているかということを,改めて受けとめることができました。私たちが,外国から来た子どもを「ようこそ」という姿勢で学校・園・所に迎え入れ,その子どもたちのサポートに力を入れるとともに,異なる文化を理解し,違いを豊かさに変えていく取組を進めていくことの大切さに気づかされた講座となりました。

グシグループのHP



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