日常生活の中で、あるいは旅先などで手軽にスケッチを楽しむためには、早く描けるほうが便利です。
又、時間とともに変化してゆく自然の形や色をとらえて、いきいきとした絵を描くためにも同様のことが言えます。
奈良スケッチ会では一年を通じて現地で絵を描いています。真夏や真冬のスケッチは厳しいものがありますが、
スケッチもスポーツと同じでしばらく練習を怠ると退化してしまうため、描き続けることが必要と考えるからです。
この場合でも、悪い条件のもとでは比較的短時間で仕上げることが出来ることの有利さはいうまでもありません。
線描き彩色画法は、この目的にマッチした画法です。
この画法では、線が優先します。そこでは線で描く形の面白さ、そして迷いの無い線の勢いが魅力のポイントとなります。
そして、彩色はあくまでも線の魅力を損なうことなく、その絵をより魅力的なものとするものでなければなりません。
スケッチは現地で彩色まで仕上げることを原則とします。風景の中には、その場所の風も音も香も含まれています。
ですから、それを感じて描くことが、いきいきとした絵を描くための必要条件となります。
又、描く人の心も絵に反映します。楽しい気持ちで見る風景は楽しく見える。その意味から人の気持ちも風景の一部と言えそうです。
自然の静けさの中に、あるいは街の喧噪の中に自分を埋没させて、時を忘れて絵を描く、そんな至福のひと時を味わってください。
線描きのペンについて、私は主にSAKURAのスケッチペンを使っています。
奈良スケッチ会のメンバーもこのペンを使っている人が多いですが、その他PIGMAやソリッドマーカー、ダーマトグラフなど色々です。
どんなペンでもいいのですが耐水性のものを選んでください。
今まで鉛筆デッサンの上に絵具で仕上げる水彩画を描いてこられた方には、ペンで描きはじめることに違和感を持たれるかも知れませんが、
この画法によりスケッチをより身近なものにすることができると信じています。