Homeへ戻る


私のスケッチ技法

5、彩色について(つづき)
私は、殆どの絵を、ホルベインのクリムソンレ−キ、ビリジャン、イエローオーカーの3色で描いています。ただしこの中で、クリムソンレ−キとビリジャンはとても個性が強く、この二色の混色をする場合 少しの配分や水の量の変化で突然変化を起こす厄介者です。そこで、私の彩色作業は殆どこの2色との格闘で、何度も別の紙に試し塗りをすることに時間と労力を費やしています。その点イエローオーカーは 性格が穏やかでどの色とも仲良く馴染んでくれます。
絵を描く時、影色をどうするかというのが第一の問題ですが、私は、このクリムソンレ−キとビリジャンの混色です。これは、むらさき系の影色になります。そして、その色をグレイ系にする場合は、 少量のイエローオーカーを加えればよいのです。
殆どの風景画に必要な、樹木の緑は、ビリジャンとイエローオーカーの混色、そして少し暗い緑はそこに少量のクリムソンレ−キを加えます。そして、神社などの赤い建物、紅葉などはクリムソンレ−キとイエローオーカーの混色。
これで、殆どの絵は描けます。ただし、次の場合、他の色を使うこともあります。
1)新緑などの明るい緑(イエローオーカーの代わりにカドミウムイエロー)
2)遠景の山、空など(インディゴ)
また、奈良町など、殆ど建物のみの風景には、上記の3色の替わりに、バートアンバー、ウルトラマリン、イエローオーカーを使います。理由は、ビリジャンは自然界にはあまり存在しない色で そのまま使うには、抵抗がありますが、ウルトラマリンは単独でも使え、また影色を作る場合、バートアンバーとウルトラマリンはなじみがよく作業が楽です。ただし、この3色を使う場合は あまり緑が重要でない風景です。理由は、 ウルトラマリンとイエローオーカーの混色の緑は暗くなるからで、明るい緑が必要のときは、カドミウムイエローを使うか、イエローオーカー、ビリジャンの混色が必要となります。
以上、私の使っている色について説明しました。 まとめますと、私の使用している色は、クリムソンレ−キ、ビリジャン、イエローオーカーの3色にインディゴ、バートアンバー、ウルトラマリン、カドミウムイエローの4色を加えた計7色です。
そして、私の彩色は、目の前のある景色の色に近い色を、手持ちの絵具を使って表現するのではなく。先に自分の持ち色があって、それを絵のどの部分に使うかという選択 作業であるとも言えます。