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私のスケッチ技法

7、何を描くか
前項まで書いてきて、彩色ことや構図のことより、もっと重要なことが抜けていたことに気が付きました。それは、何を描くかということです。 風景スケッチは自分の足で歩いて、対象物を探すことからはじめなければなりません。
私の描く絵はあくまでも風景スケッチで、その場所で描くことを前提にしています。風景写真を見てそこから感じるものを絵にすることを決して否定はしません。 そのような絵画があってもいいと思いますが、私は長年やってきたスケッチライフの中で、どうしても目の前に対象物を置きたいのです。写真で見る風景は私の眼で見たものではなく、 カメラの眼が見たものであって、そこには、暑さ寒さや、風の音、人や車の騒音も一切感じられません。その環境の中にいる自分の心で感じる風景の魅力を描きたいのです。
そして、「何を描くか」ということですが。私の描くのは殆ど奈良公園とその近くで、特に目新しいものはありません。しかし春夏秋冬スケッチ日和で、歩いていれば、 ふと目に留まるものがあります。それは今まで何度も描いた風景であっても何か小さな発見(描きたい衝動)です。描きたいのはその景色ではなく、その(描きたい衝動)を描くことです。
そして、その意図を最後まで持続しながら描きつづけることが必要と思っています。 しかし,ここで気を付けなければならないことは、描き進むうちに、つい目先の形や色彩の方にとらわれて最初に意図したものを忘れてしまうことです。