2.奈良町(Feb.2022)

毎年、1,2月と3月前半の寒冷期は、奈良公園に比べて、いくらか寒さがましで、冷たい風も防ぐことのできる奈良町でスケッチしています。
奈良町は、同じ古い町並みのスケッチ場所である今井町に比べてみると、景観規制が遅れたためか、新しい建物が混在している場所が多く、
魅力に欠けるものがありますが、それでも、新しい家にも、壁面に格子デザインを取り入れたり、いろいろ努力のあとが見られ、そんな街並みにとても愛着を感じます。
私の主なスケッチ場所は、昔、芸妓町として栄えた元林院町、椿井小学校の向いの古梅園、音声館のある鳴川町の坂道、庚申堂、菊岡漢方、吉田蚊帳の界隈、 元興寺前の通りの鵲(かささぎ)町、毘沙門町などです。
そして、そこでは随所に縦格子、虫籠窓(むしこまど)袖うだつ、屋根の煙だしのある昔ながらの町家建築が見られ、楽しいスケッチポイントとなっています。
又、ここ奈良町はやたらと電柱が多く、これを景観上の問題から見ると、敬遠する人もいるかもしれませんが、私は、昔から見慣れた、電柱のある風景が好きで、奈良町の私の絵には、必ずと言っていいほど電柱が描かれています。
そして、その電柱には統一されたデザインの街灯は勿論、トランスや腕木、足掛け金物など細かいところまで描き込んであるものもあります。
また電線も重要な道具で、空間に変化を与えたり、画面に奥行きを感じさせるためにはおろそかにはできません。

奈良町は、訪れる度に少しずつ変化しています。毎年、そのような変化を見つけてスケッチするのも楽しみの一つです。