奈良スケッチNOTE




6.国立博物館前の松林(June.2022)

奈良公園及びその周辺に、まとまった松林は他に見当たらず、ここの松林は貴重な存在となっています。
松は落葉樹などと比べて、存在感があり、樹木それ自体の 美しさに加えて、林越しに対象物を描く場合に独特の効果を見せることが出来ると思います。
残念ながら、その松が近年早いスピードで減少しています。前項でナンキンハゼの伐採のことに触れましたが、 ナンキンハゼの場合は、この樹木の繁殖力が強く、春日山の原始林に悪影響を及ぼすのを防ぐためときいています。松は恐らく松枯れ病のためのやむを得ずの伐採と思われます。
私は、ここの松林の中でスケッチをする場合、いつも事前に頭上を見上げるようにしています。理由は、ここでは時々枝が落ちているからで、ときにはかなり大きな枝が見られ、これに直撃されたら 大怪我になるのではと危険を感じているからです。この原因がこの林全体に松枯れ現象が進行しているためか、あるいは松の枝そのものが折れやすいのか、 素人の私にはわかりませんが、管理者の方のご苦労、お察しいたします。
とにかく、スケッチをしている我々が気をつけるしかありません。
話を戻しますが、ここの松の切株がこの数年めだって増え、特に博物館のすぐ前の大木数本が完全になくなってしまいました。ついこの間まで、この博物館を描けば、 必ずいずれかの松越しとなり、これらの松の中には、極端に傾斜したものもあり、独特な面白い構図ができたものですが、まことに残念です。