くちばしに火を灯した鳥が空を飛んで 飛行機雲みたいな煙をばら撒いた 巻き戻した映像に映るのは決して君ではなく もう名前も思い出せない誰かと 俯いたままの僕 あの丘に咲いていた花は何という名前だったか 忘れられた断片が紙の上にじわりと滲み浮かぶ そこで泳ぐ 赤い空に散らばった煙は風に混ざってどこかへ消えた 鳥をその手に呼び戻した君は あっさりと離れてしまって 体をむかしに浸からせたまま あの日の誰かにそっと抱かれる 俯く <<